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島田五郎 合気会川越道場長

鉄舟を心の師として

「合気道や鉄舟との出会いがなかったら、私の人生、いいかげんだったと思います」と語る島田師範は、鉄舟への思いを胸に合気道を修行中。入門以来45年、「合気道のおかげで、ものの見方がおもしろくなった。合気道はすべてにつながっています」と現在の心境を語る師範に、その鉄舟観、合気道観をうかがった。
(取材 2004年2月4日 島田師範宅にて)
※所属や肩書きは、季刊『合気ニュース』140号に掲載当時のものです。


鉄舟の書が呼んだのです

―― 136号の清水次郎長、今号の双葉山、次号に予定されている高橋泥舟と、島田先生のお書きになった原稿を拝見しまして共通しているところは、いずれもバックにある山岡鉄舟の存在だと思います。今日はその山岡鉄舟について、鉄舟の思想や、それが先生の合気道や日常に、どのような影響を与えているかということにつきまして、おうかがいしたいと思います。
 そもそも山岡鉄舟に先生が惹かれたきっかけは何だったのですか?

 私は大学の講座で合気道の素晴らしさを知り、卒業後すぐに合気会本部直轄の産経道場というところに通ったのです。この道場は今はありませんが、増田誠寿郎先生や優秀な諸先輩が一緒だったのです、吉祥丸先生や藤平先生などが来られていました。昭和30年代です。
 合気道を始めてから山岡鉄舟という名前を聞くわけですよ、それまでは知らなかった。調べれば調べるほどすごい人だということですね。
 縁ですね、縁というのが結びつくかつかないかは、その人の心がけ次第で変わってくるんですよ。この鉄舟との出会いがあったお陰で、私は今、明るい人生を送らせていただいております。

 25年くらい前のことになりますが、ある時、骨董の売り出しを見に行ったところ、私の目についたのが山岡鉄舟の書なんです。どうして目についたのかと言うと、山岡鉄舟のほうが私のところに来たいと…。私が欲しいのもさることながら、あちらが来たがっているんじゃないかと、大事にしてもらえるというんでね。そういう通ずるところがあったんですね。
 鉄舟の書を見ていると、植芝先生の書もそうですが、すごい元気をいただけますよ。

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