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吉田信正 国際武道正風会

望月稔師範の理念と技の継承へ

「日本の文化の魅力として武道が注目されるのは、弱者救済という非常に明解な目標をもっているからだと思うんです。」
師・望月稔の教え、それは柔道家であり教育者でもある、嘉納治五郎の理念「自他共栄」であった。
望月の技と稽古法とともに、武道家のあるべき姿を語る。
(取材 2003年11月8日 渋谷区スポーツセンターにて)
※所属や肩書きは、季刊『合気ニュース』139号に掲載当時のものです。

―― 『合気ニュース』138号の望月先生の追悼特集では、望月先生の武道理念を中心に振り返ってみました。今号では、その理念がどう正風会に引き継がれているか、また先生が体系化された技の流れとその特徴、稽古体系についてお伺いしたいと思います。
 望月先生が体系化された養正館の技は、一般の合気道のように攻撃の種類で分けるというより、足技、手技、といったように技を施す身体の部分でまとめられている感じですね。

 そうですね。先生の考え方は、非常に合理的でわかりやすいのです。
稽古体系ですが、まず受身をやり、それから手解きをやります。これは相手に掴まれたのを、どのようにとるかという稽古です。この手解きには6本あります。こういった手解きの説明は望月先生が最も得意とするところでした。普通一般には、技を自分がやって見せて、それを真似てもらうというものですが、望月先生の指導の仕方は、なぜこういうふうにすると手がとれるのか、といった形で、特に初心者の人達に説明をする。合理的で非常に理解しやすいんですね。これだけで実は護身術の講習会にもなります。まったくの初心者にもこの方法を教えるとできるんです。

 手解きのあとは、手を掴まれた時にどう握り返すかという、握り返しをやります。目的は、腕力の養成という点が一つと、掴まれた時に相手の手をとるだけではなくて、自分のほうが技を掛けるために握り返して、自分が有利な形にもっていく必要がある。そういう目的があります。

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