TUT3系の研究室配属はライアーゲームじゃない

どうも。TUT3系B3のハトです。
B3は研究室配属の時期ですね。3系B3の学生がほとんど参加しているLINEグループでは学生が独自に現在の希望研究室調査を行うなど、研究室配属も佳境のようです(他人事のようなのは私がステークホルダーではないからです)。
さて、同級生のSNSを観測していると、どうやらTUT3系の研究室配属アルゴリズムについて誤解が広まっているようだったので、その誤解を解くべくキーボードを叩いています。

忙しい人のためのまとめ

TUT3系の研究室配属アルゴリズムは耐戦略性を満たす安定マッチングであり、他の学生の希望の分布に関わらず自分の希望順位を正直に申告するのがベスト

研究室配属アルゴリズム

TUT3系の研究室配属アルゴリズムは12月にあった進学ガイダンスで我々に公開されており、その内容は「お茶の水女子大学理学部情報科学科の研究室配属アルゴリズムに(ほとんど)準ずる」というものでした(TUT3系B3の学生は12月10日のメールfrom系長からソースを確認できます)。

正直申告がベスト

上述のアルゴリズムは一般に受け入れ保留アルゴリズムと呼ばれるもので、このアルゴリズムはゲーム理論における耐戦略性を満たす安定マッチングです。
どういうことかというと、このアルゴリズムでは、「すべての学生が自分の希望順位を正直に申告すること」がナッシュ均衡かつパレート効率的(誤解を恐れずに言えば全体における最適解)なのです。
巷(私の観測するSNS投稿)では、現在の他の学生の希望研究室の分布をみて「第1希望の研究室の希望人数が多いから第2希望の研究室を第1希望として提出しようという考えができる」などと言われていますが、アルゴリズムの性質から考えて、このような考えをするべきでないことは明確です。他の学生の希望がどんな分布であったとしても、自分の希望順位を正直に申告しましょう
このことについて多くの人が誤解してるのではないでしょうか(自分もごく最近まで誤解していました)。

研究室配属はライアーゲームか?

さて、ここでは巷で言われている「研究室配属はライアーゲームだ」という言説は本当か?ということについて考察します。
自分の希望を正直に申告することが最適解であるため、この点でうそをつく必要はなく、ライアーゲームではなさそうです。
しかし、これは「自分以外の学生の希望順位が所与である」という前提の下でしか成り立ちません。つまり、他の学生に「第1希望の研究室の希望人数が多いから第2希望の研究室を第1希望として提出しようという考えができる」などという風説を流布して、その学生の希望順位を操作することで、自分だけ得をする、ということは可能です。あるいは、自分の第1希望研究室のネガティブキャンペーンをするだとか、自分の希望する研究室ではない研究室のポジティブキャンペーンをするだとかで他の学生の希望順位を操作するのでもいいでしょう。
このように、他の学生を騙す/操作するインセンティブが生じうるという点からみると、研究室配属はライアーゲームなのかもしれません。
記事タイトルで「ライアーゲームじゃない」と謳っておいてこの結論とはタイトル詐欺だ!と思われた方、申し訳ありません。ちょっと盛りました。
(念のため言っておきますが、誤解に基づいて誤った言説の流布をしている学生を殊更に非難する意図はありません)

厳密には耐戦略性を満たさない

TUT3系の研究室配属アルゴリズムは耐戦略性を満たすと言ってきましたが、実は、厳密にはこのアルゴリズムは耐戦略性を満たしません。
これは、TUT3系では「第5希望までしか希望調査を行わない」ためです。TUT3系には26の研究室が存在し、希望調査ではすべての研究室に順位付けを行うわけではないのです。そのため、アルゴリズムにおいて、未決定の学生が出てくる可能性があり、この未決定の学生は第2ラウンドに飛ばされます(この学生以外の配属が本決定します)。この瞬間、このアルゴリズムは耐戦略性を満たさなくなります。
しかし、進学ガイダンスの資料によると、「2020年度は,第1希望で80%決定,第2希望までで95%決定」らしいので、実際には第5希望までで未決定の学生は出てこなさそうです。
目的にとって十分な精度で耐戦略性を満たすので、工学的には耐戦略性を満たすといって差し支えないのではないでしょうか。

まとめ

色々と書いてきましたが、とにかく私が主張したいのは、「研究室の希望順位は正直に申告しよう」ということです。この戦略をとって、(ほかの戦略をとるよりも)不幸になることは基本的にはあり得ません。
もう成績は変えられないので、正直申告して天命を待ちましょう。
あと、耐戦略性みたいな性質は経済学のメカニズムデザインという分野でよく研究されているようです。ちょっと勉強してみようかな。

参考

http://www.is.ocha.ac.jp/~kudo/lab_algo.html
https://www.slideshare.net/YosukeYasuda1/ss-54841742

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