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2023年に出会ったアルバムたち

だいたい発表順に並んでます
多分
じゃあいきましょう


菅原圭 「round trip」

これは22年の12月のアルバムですが便宜上今年ってことにしてます。
22年にMAISONdesでやっていたTani Yuukiとのコラボ「Cheers」がとにかく最高だったSSW。
この人の歌声は中性的で穏やかなトーンが魅力なのですが、「カーテン」や「ミラ」で聴ける消え入るような儚い歌い方も素敵です。「シーサイド」の歌詞のフレーズなんかは、MAISONdesをさりげなく思わせます。


ELLEGARDEN 「The End of Yesterday」

私が音楽を聴くようになった頃にはすでに解散して、伝説の存在になってしまっていたエルレ。私の世代にとっては半ば必修科目のようなバンドという絶対的な立ち位置でした。そんな彼らが復活して新譜を出すんだから、聴かないなんてありえません。
昔のような爆速のメロコアをやらないのは、意外でしたが驚きは無かったです。メンバーがどこか旧交を温め合っているような雰囲気の復活作って、思えば色んなバンドがやってますしね。でも「チーズケーキ・ファクトリー」の"We get it get it go"のタメなんかはやっぱエルレだ!って気持ちになります。


V.A. 「おしるこパンクキッズ」

インディー・レーベルの"おしるこレコーズ"による、22曲入りにして全曲1分以下という凶悪なパンク・アルバム。
何が面白いって、参加アーティストごとにハードコアあり、ノーウェーブあり、ガバあり、ヒップホップありと、様々な解釈でパンクを表現しているところです。フィジカル限定のオマケだったサムライピックを目当てに速攻で注文したのですが、私はギターを持っていないので宝の持ち腐れですね。


氣志團 「THE YⒶNK ROCK HERØES」

年が明けて2023年、最初にやられたのは新年からロックオタク全開のジャケットをお出ししてきた氣志團のアルバムでした。
スカパラとコラボしたサンバ曲「房総魂」、トリビュート精神にあふれた「This is YⒶNK ROCK」、レゲエからアンセム感のあるロックに展開する「No Rain, No Rainbow」が特にお気に入りです。


礼賛 「WHOOPEE」

新曲を適当にシャッフルしてたら耳に飛び込んできた「TRUMAN」で、一気に惹かれた礼賛。
いざアルバム聴いたらラップは堂に入ってるし、「NO SWEAT」みたいにメロウな曲もあるし、なによりビックリしたのは、ギターの上手さ。気になって調べたら、なるほど川谷絵音が芸人のボーカルと組んだバンドでした。でもロック然としたジェニーハイとはまた違う個性です。


Neon Vectors & マクロスMACROSS 82-99 「CLUB 84」

ヴェイパーウェーブの時代を経てフューチャーファンクの筆頭格になったマクロスMACROSS 82-99が、Neon VectorsとコラボしたEP。
やっぱ本物のボーカルをフィーチャーしてるだけあって、ドストレートに上質なディスコですね。ヴェイパーウェーブのリアタイ世代なんで、私にとってこの人は思い入れの深いアーティストの一人です。
セーラーウェイブのLPは今でも持ってますもの。


DENIMS 「Sugly beauty」

穏やかな日常の心地よさを歌わせたら、もうこの人たちが一番です。
このバンドらしさがよく表れた「Life Is Good」、ギターさく裂の「RAGE」がお気に入り。「ふたり」はアユニDとのコラボ曲ですが、こころなしかアユニの歌声もリラックスしてる感じです。この人は普段PEDROであんだけ屈折した歌を歌ってるのに、こうして聴くとギャップがすごいですね。


Flat Line Classics 「THROW BACK LP」

とにもかくにも「NO FASHION」と「BIG STEPPER」のトラックにぶっ飛ばされた一枚。こういうトラックで酔わせてくれるタイプのユニットに弱いので、これはヒップホップでは今年ベスト級の一枚でした。でもリリックは決して古臭くなどなく、間違いなくサブスク全盛の現在を捉えてます。もちろんマイクリレーの鮮やかさも最高です。


なきごと 「NAKIGOTO,」

これまでEPしかリリースしてなかったなきごとのファーストは、まさかの2枚組のボリューム。「メトロポリタン」みたいな昔の名曲が入ってるんで半分ベストみたいな感覚ではありますが。
「私は私なりの~」はたしかラジオとかでも流れてましたね。この人たちはこういう"愛してる"を伝える歌ももちろん良いんですが、「癖」みたいな"嫌い"を歌う歌も、これまた良いのです。


倖田來未 「WINGS」

最近は割と大作主義が続いてた倖田來未。『WINGS』はサイズで言えばEPなんですが、個人的に今までで一番好きです。「Wings」みたいなバラードから、トラップ全開の「Trigger」や「It's "K" magic」に展開していく流れがコンパクトに収まっているんですが、こういうシンプルな音楽のコントラストは、やっぱり聴いててとても心地が良いです。


アルコサイト 「仄かなる黎明に捧ぐ」

アルコサイトの新譜を聴くのは「WOLF」以来で、だいぶ久々になってしまいました。
それまでギターでガンガン攻める系のバンドってイメージだったもんだから、1曲目の「夢で逢えたら」を聴いて、こんなハイトーンが綺麗なバンドだったんだ!って変に感動してしまいました。でも「火花」や「髪を切って」のような、突っ走るあの感覚は変わっていません。やっぱりいいバンドです。


JYOCHO 「云う透り」

残響世代が聴いたら悶絶するポストロックと、透き通るような女性ボーカル。ここまで食い合わせが良いものだったんですね。ただ、このバンドはそれだけじゃなくて、そこへさらにフルートをはじめとした、どこかエスニックな要素をプラスすることが多くて、それがまた最高です。


moon drop 「僕の唄で君に永遠を」

moon dropは聴くたびに本当に良い歌歌うなぁって思うバンドです。
片思いのツラさというよりは恋の喜びそのものを歌うことが多くて、特に「タイムマシン」は今現在だけに飽き足らず自分たちの幸せな老後まで見据えた、ある意味とんでもない歌なのです。まぁ呑気といえば呑気なんですが、やっぱこの人たちの持ってるポップセンスが本物なので、全然イヤミなく聴けるんですよね。こういうバンドは強いなって思います。


GEZAN 「あのち」

毎年色々な音楽が出てきますが、その中でもこれは触れなきゃいけないって気にさせるアルバムってあるんですよね。これはそんな一枚です。
『KLUE』の頃はノイジーで変わったサイケロックをやるバンドってイメージだった下山が、GEZAN & Million Wish Collectiveという十数名の音楽集団となって発表した新作。こういう色んな音楽性を統合した作品って"マンダラ"みたいって形容がよく使われまけど、『あのち』はさらに儀式的な高揚感もあるんで、まさにマンダラって呼びたくなりますね。
とにかく人の"声"に圧倒されます。ボーカルはとくとくと語り掛ける一方で、コーラスは呪文のように何度も同じフレーズを繰り返されるので、いつの間にか聴いてる自分の意識も音楽の中に取り込まれていくような、不思議な気分になります。ジャケットやサウンドは異形に見えますが、決して聴く側の人を置いてけぼりにするような音楽ではない。そう断言できる一枚です。


相川七瀬 「中今」

実は日本の伝統音楽や祭り文化に造詣の深い相川七瀬。
同じ年に出た『ROCK MONSTER』は相変わらずロックなアルバムでしたが、これはだいぶ思い切った一枚だと思います。
サウンドでは雅楽などを取り入れていますが、日本語のもっている原始的(根幹的?)な美しさを模索した一枚です。「ことのは」や「むすんでひらいて」はまさに意欲作と言いたいですね。歌詞の言葉を、漢字ではなくひらがなで少しずつ噛みしめるような雰囲気、といえばいいのでしょうか。


SHHE & 高田みどり 「MSCTY x V&A Dundee」

スコットランド系アーティストのSHHEが、大御所の高田みどりと組んだスプリット作品。隈研吾が建築を手掛けた"V&A Dundee"という美術館に捧げられた演奏とのこと。
SHHEはおだやかな波の音をフィーチャーした45分の美しいアンビエントを、高田みどりはマリンバによる静謐なサウンドスケープを生み出していきます。マリンバの暖かい音色は美術館の独特な佇まいを思わせます。


からあげ弁当 「オレんじいろ。」

このアルバムを最初に聴いた時は、とにかくドラムの存在感に圧倒されまして、すごいモン見つけたな…って気になりました。「HERO」は何度か転調を挟むんですが、終始ビートに心惹かれっぱなしになる曲です。彼らは今年UKからフルアルバムも出したんですが、正直この一曲のインパクトだけでEPを選んでしまいました。とにかく、からあげ弁当はドラムが良いんです。


マカロニえんぴつ 「大人の涙」

髭ダンといいこの人たちといい、バンドが本当にやりたいように作ってるってなんとなーく分かるアルバムは、聴いてて本当にしあわせになれますね。EPで一足早く聴いてきた「PRAY.」や「リンジュー・ラヴ」が良いのはもちろんですが、このバンドはやっぱフルアルバムで聴きたいって気にさせてくれるんです。「嵐の番い鳥」から「Frozen My Love」に流れていくところなんか特に。


MAISONdes 「ノイジールーム」

音楽プロデューサーと歌い手のコラボプロジェクトMAISONdes。
そもそもアルバムとして捉えることにこだわる必要もあんまないコンセプトなんですけど、取り上げないわけには絶対いかないです。死ぬほど聴いた一枚なので。うる星やつらのアニメで使われたトラック4曲に、新曲「トラエノヒメ」と「もういいもん」を追加したEP。かわいくてめんどくさい、このひねくれた恋愛観は、るーみっくわーるどそのものですね。


ヤングスキニー 「歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた」

騙されたあなたが悪い、なんて最低なセリフをこんな最高なメロディに乗せて歌われたらもう敵いません。「ヒモと愛」から「ゴミ人間、俺」と、いろいろ聴き進んでいくうちにウソとホントの境界がどんどん分からなくなっていくんですが、「ごめんね、歌にして」みたいな信じられないくらい正直なバラードもあって。なんとも不思議な魅力のバンドです。


FUNKY MONKEY BΛBY'S 「ファンキーモンキーベイビーズZ」

私の世代にとってファンモンはGReeeeNと並んで、クラスで聴いてないヤツなんかいないよって断言できるくらいにドストライクなグループだったので、DJケミカル抜きとはいえこの復活はとても嬉しいニュースでした。「エール」は変わらずファンモン節な曲で良いですが、「荒野に咲く花」の静かに心を突き上げる詞が円熟味を感じてまた良いですね。


フリージアン 「FREESIAN」

今年初めて知ったバンド、フリージアンのファースト。
「悲しみの全てが涙ならば」のPVで一発で惚れた人たちです。今どき"悲しみ"とか"涙"なんて歌詞はもはや陳腐極まりないはずなのに、この歌を聴くとそんな言葉が信じられないほどストレートに心に飛び込んできます。「サトラ」の繊細な言語感覚、「蛍」のボーカルの爽やかさや、ロックンロール全開なギターソロもとにかく素晴らしいです。


PENGUIN RESEARCH 「逆光備忘録」

常に闘争心むき出しで戦っているバンド、ペンギンリサーチ。
今年はライブアルバムも出した人たちですが、この『逆光備忘録』は最高傑作って言っていいんじゃないでしょうか。「Crier」や「HATENA」のストレートな疾走感と、「変幻自在」のダンサブルな雰囲気が次から次へと押し寄せます。もうずっと走るか踊るの2択です。


MOSHIMO 「CRAZY ABOUT YOU」

2018年からずーっと好きなMOSHIMOの新作。
歌ってる内容は基本かわいいし、本気で涙出るくらい切ないラブソングもあるんですが、たまにグランジやメタル並みのハードなリフで殴ってくる時があるんで、聴いてて全く油断なりません。EPの収録曲「恋のディスマッチン」、これぞMOSHIMOって感じのワードセンスが光る「諸行無常ディスティニー」がお気に入り。


ピロカルピン 「円心」

ピロカルピン10枚目のアルバム。
「サマーデイ」、「アーティスト」、「ガンダーラ」と、冒頭3曲の流れが完璧です。ボーカルはとてもかわいらしい感じなのですが、「檻」や「ファイター」みたいにハードなサウンドを聴かせるのが良いです。


ずっと真夜中でいいのに。 「沈香学」

聴きまくったアルバムってことで言ったら、もうこれが年間ベストになっちゃいますね。「残機」はチェンソーマンのEDで一番好きだし、「袖のキルト」なんか去年からEPで聴きまくったし、なにより「花一匁」っていうあまりにも完璧なポップチューンがあるので。
この人らの音楽で好きなのは、歌詞をまくしたてるサビの直後にちょっと気分をチルアウトするパートがある所なんですよ。「残機」だったら"試したいわ"のコーラスが、「花一匁」だったらラストで"ハナイチモンメ"のコーラスがそれぞれ入る、みたいなアレです。やや単調めな歌声とかジャズっぽいピアノソロがサビの後に入るおかげで、一つの曲がすごくドラマチックに感じられるんですよね。


THE BACK HORN 「REARRANGE THE BACK HORN」

バクホンのセルフカバーアルバム。
選曲はなかなかベスト感ありますが全体的にジャジーで落ち着いた雰囲気なのが、かえって思い切りがあって良いですね。「幾千光年の孤独」のベースラインがオシャレになってたり「夢の花」のスキャットがすさまじくなってたり。でも一番驚いた、というか意外だったのは「罠」のイントロのドラムでした。邦ロックの古典が好きな人ならきっとビックリすると思います。


スカイピース 「SkyPeace TOUR2022 Grateful For」

23年に2枚出たスカイピースのライブ盤の中でも、「Grateful For」のツアーアルバムは素晴らしかったです。スカイピースは21年の『ピースピース』が文句なしの傑作だったので、「愛w君」が入ってるこちらをよく聴きました。コーラスの上手さはもちろんですが、ABCの歌からソーラン節まで、なんでも貪欲に取り込んで自分たちのポップスにしてしまうこの人たちのパワーが好きです。


髭 「XX」

髭の20周年記念アルバム。ジャケットにハイジ君が使われてるって時点で、ファンにはじーんとくるものがあります。
でもいざ振り返ると髭はずっと髭だったなって思わされます。「Birthday」のミニマリズム、「無人島」の浮遊感のある歌声、「アイタイシタイ」の言葉遊び。アルバムのすべてに髭らしさを感じます。愛すべきバンドですし、これからも愛しつづけます。


跡地 「跡地」

山形出身のハイパーインプロヴィセーションいも団体『跡地』。久々の、そして待望のアルバムです。
Twitterで流れてきたティーザー動画があまりにも素晴らしくて、始めて見た時"跡地だ!"って思わず声が出ました。「沼踊り」の凶悪なグルーヴ、「デス・ピクニック」のラップ、どれも最高でした。でもやっぱ一番は「地獄釜ハゲ太郎」の爆音のインプロです。跡地のカッコよさが全部詰まってます。


OZROSAURUS 「NOT LEGEND」

オジロ久々のアルバム。10年待たされました。
MACCHOが『NOT LEGEND』と言ってくれることのありがたさと来たらないですね。「BJブルース」なんか冒頭からしてオジロにしか書けないなあって思うし。その一方で、KREVA参加の「Players' Player」は、お互い時間を経た今だから言い合えるんだろうなあって思わせる、感慨深いリリックの応酬です。でも丸くなったわけではありません。そんなことは絶対あり得ないと確信できます。


HIPPY 「夜明け -Be Alive-」

広島で活躍するソウルシンガーHippy。この人も今年初めて知った歌手です。
とにかく「君に捧げる応援歌」が最高でした。初めて聴いた時、速攻今年のベストトラック候補になってたんですが、実はこの曲、2017年から歌われてたナンバーのセルフリメイクだったんです。こんなすごい歌に6年も気づかずに過ごしてたって思うとなんか情けなくなりました。
「YOAKE」、「意気揚々」、「We Can Make It」どれも素晴らしいです。大傑作。


ザ・シスターズハイ 「凶天使Vitaる」

新潟出身のシスターズハイ。そろそろフルアルバム出ないかなって思ってるバンドです。
シンプルなワードで畳みかける「真里」や、ハイトーンで歌い上げる「タンジェリン」などありますが、どれも聴いたら一発で覚えちゃうくらいにポップです。


オレンジスパイニクラブ 「Crop」

名曲「リンス」を聴いて以来ずっとハマってるバンドです。
「リンス」も「ルージュ」もそうですが、恋愛が持っているどこか汚い生活感みたいなものも、包み隠そうとせずにしっかり描いてくれるところが好きです。こういったミクロな視点で描かれた生々しい歌詞こそこのバンドの魅力なんですが、とはいえタイトルトラックの「Crop」みたいな明るい歌も良いですね。


YOASOBI 「THE BOOK 3」

まぁ当たり前のことなんですが、2023年のうちに耳にした回数で言ったら『沈香学』に負けないアルバムです。水星に始まって、フリーレンに終わった1年って感じでしたし。
歌詞にこだわってるってのはもちろんですが、「祝福」は結構ハードめなビートのシンセポップで、「勇者」や「アイドル」では例の特徴的なコーラスで、それぞれ作品の世界観に合わせてサウンドをきちんと使い分けてるのはすごいですね。そのコーラスだって「勇者」と「アイドル」では聴いた時に受ける印象が全然違いますし。こういう細やかさは、これからのタイアップ系の音楽にますます求められていくのでしょうか。


ラッパ我リヤ 「CHALLENGER」

もうすぐ30周年に手が届く我リヤの堂々とした新作。
アルバム名を見ればわかりますが、我リヤのような大御所グループが、現場の最前線に自らいるということを改めて示してるのは、上のオジロと共通していて面白いですね。「やったもんガチ」みたいな90s感のあるどっしりしたトラックにまずやられて、そこに若い人には全然ピンとこない漫画ネタが乗っかるんだから、もう最高です。


渡辺貞夫 「渡辺貞夫meets新日本フィルハーモニー交響楽団」

日本の宝ナベサダ。ここ数年ライブ盤をコンスタントに出してるのがすごいですね。
これは今年の春に新日本フィルをバックになじみの深いナンバーを吹き込んだ一枚です。ナベサダのライブと言えば、80年の武道館『How's Everything』っていう大傑作がありますが、嬉しいことに今回のアルバムはそのレパートリーが地味に多いんですよ。名曲「Sun Dance」のノリはもちろん、「Mzuri」の曲の展開なんかはオーケストラの面目躍如といった感じです。


サウンドトラック 「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」

ブルーレイ用PS5のオマケのつもりで適当に買ったはずのアーマードコア6。見事にどハマりしてこのサントラも結構聴きこみました。全体的にミニマルで淡々とした雰囲気で、強烈なトラックというものは無いのですが、それでもラスティ関連の「Steel Haze (Rusted Pride)」とか、ルビコンの火ルートで流れる「The Man Who Burned It All」みたいなカッコいい曲は印象に残りました。


ユッコ・ミラー 「Ambivalent」

ジャズ・サックス奏者ユッコ・ミラー6枚目のアルバム。
J-Popのジャズアレンジで有名な人ですが、ビルウィザースの「Just the Two of Us」みたいに、いつの間にか歌も歌うようになってました。「KICK BACK」なんかは、原曲の造りの奇抜さのせいもあったんでしょうけど、こうしてアレンジしてみると意外とジャズ映えする歌なんですよね。そんな気づきもジャズの面白さのひとつです。


Trio San 「響 (Live At Kesselhaus Berlin)」

ピアニスト藤井郷子とヴィブラフォニスト齊藤易子は、これまで何枚か"フタリ"の名義でアルバムを作っていました。『響』はそこにドラマーの大島祐子を迎えたトリオ体制でのライブ・アルバムです。フタリのときの静謐なイメージから一転して、フリージャズとしての強度が何倍にも増した印象です。ミニマルな「Hibiki」より、やっぱトリオらしさを味わえる「Ichigo」みたいなインタープレイが良いですね。


King Gnu THE GREATEST UNKNOWN

約3年ぶりの新作。
インタビューではバンドのフォーマットに縛られずに作ったといってましたが、ストリングスとバンドのパートが明確に分かれた「BOY」なんかは、その姿勢の表れなのでしょうね。「一途」と「逆夢」みたいに全く正反対の作風の歌が同じ映画の主題歌になってるのも凄いです。
こうしてみるとほとんどのトラックが映画やアニメの主題歌になってる、とんでもない豪華さです。21曲入りってことで、最初かなりの大作なのかなと思ったんですが、曲間のインタールードをかつてないほど丁寧に作りこんでるんですね。収録曲はどれも違ってどれも新しいのに、その全てがきちんとひとつのアルバムの形に見事にまとまっています。


まとめ

なんというか、嬉しい一年でした。
YOASOBIのような第一線の人たちが最高傑作を毎年塗り変えてる一方で、エルレやオジロのような大御所が、復活作もしくは久々のドロップで喜ばせてくれたので。
あと、今年知ったアーティストの中で特にベストなのは、初見でガツンと来たフリージアン、そしてHIPPYです。この二組に出会えただけでも今年は大戦果と断言できる、そんな気分です。

音楽の作風として印象深かったのは、やっぱGEZANですかね。人間同士が同じ場所に集まって、ちょっとずつですが声を出し合うことに抵抗が無くなりつつあるなかで、あれだけコーラスってものを音の核に据えた作品が生まれたのは象徴的というか。

また、そんな風に時代を見事に映した新しい音楽が生まれる中で、髭みたいに自分の好きなバンドが、彼ららしいアルバムを作り続けてくれているのも大きな喜びでした。

声出しの解禁にともない、ライブシーンにもかつての賑やかさが戻りつつある23年。来年生まれるライブアルバムや映像作品も、昔みたいに騒がしいものが、ちょっとずつでしょうけど増えてくるかもしれません。

あとは、1974年生まれの名盤の50周年記念リイシューとか。
いろいろと楽しみは尽きません。
皆さんもそんな気持ちで新年を迎えられますよう。