鮨よし田での晒し行為に厳罰が必要な理由

高級寿司店である鮨よし田で、怒った大将とそれを止めるお弟子さんと思われる男性が、客の女性にSNSで晒されるという出来事が起こった。

大将の普段の温厚な人柄などがネット上で知れ渡り、晒した側の女性を非難する声が多い。
事の真偽や詳細はわからないが、このような晒し行為には厳罰が必要だ。その理由をいくつか述べたい。

今回はたまたま大将擁護の声が大きいから事なきを得たと言えそうだが、まかり間違えば店を閉めるところまで追い込まれる可能性もあった。
ネットでこのように晒されてマイナスイメージがついてしまえば、それこそ例え移住したとしてもやり直すのに支障をきたすこともあるだろう。
デジタルタトゥーとして残ってしまい、個人に対する影響はとんでもなく大きいのは言うまでもない。

名誉毀損というのは「公衆の場で」つまりみんなが知れる状況で、不名誉な事実を示す犯罪だ。
テレビや新聞などの大手メディアももちろんだが、もともとは例えば大学などの大きな教室で不名誉な事実をみんなが聞こえるように言ってしまうことなどを想定していた。
そんなことがあっても、縁もゆかりもない土地に行けばよっぽどの犯罪などでなければ、出直すことも可能だ。つまり影響はその場限定的で済むこともある。「人の噂も75日」という程度で済む。
今回のように、店主が怒って身を乗り出す仕草程度のことが大手メディアで取り上げられるわけはないから、グルメな人たち界隈での噂話程度で昔なら終わっていた事柄だ。

だが現代のようにネットで顔写真や名前が拡散されれば、出直すことが難しくなることだってある。
特に関係が構築されてない段階で新しく関係を作るときに、「曰く付き」の人と積極的に関わろうとしない人は多いだろう。

名誉毀損の刑罰や賠償金の相場は拡散力が今より圧倒的に小さい時代に作られたものであり、この点だけからも影響が圧倒的に大きくなったことに対応して罰則や賠償金の相場を作り直さなければ公正ではないと言えるだろう。

そしてもう一つ最大の理由は、迷惑系YouTuberなどにも言えることだが、悪目立ちして炎上してもそれが再生回数やフォロワーという形で、迷惑をかけた側が得をする構造がSNSにはあるという点だ。
どんなに外野が非難しようと、それをものともしない人間なら、ほんの数%が賛同したり、試聴するならば大炎上して母数が大きくなることはむしろ彼らの利益になるのだ。1000万人が知ってる話題について1%が賛同すれば10万人のフォロワーを獲得することになるのであり、非難や嫌悪の声が990万あったとしても関係ない。
犯罪レベルのとんでもないコンテンツでも多くの人が野次馬根性でクリックしてしまったということが近年もあったのではないだろうか。
燃やし得を防ぐには社会的非難などではなく、とんでもなく重い刑罰や賠償を認める法整備しかないように思う。

犯罪級の特ダネとぶち上げておきながら、結局は合コンで集める女の個人的好みを嬉々として晒して大衆に嫌悪感を与える印象操作をしてるだけの週刊誌などもこの手のゴロツキと同類であり、同じような処置が必要だ。このような不良媒体も世間で話題になり続けることで得しているのは言うまでもない。

ネット上で今回の女性を特定するなどの制裁は私刑であり、それ自体ふさわしくないばかりか無関係な人を勘違いで晒してしまうなどの危険性もある。そんなカオスなことになるぐらいならきちんと公的な罰則を取り決めておくべきだ。
非力で愚かな人間が、正しく扱いきれない道具を手にしてしまったことによる被害をどのように贖うのかがこの時代には問われる。

何の取り柄も才能もない人間、粘り強く何かに取り組んで名を成す能力のない人間が、どうしても目立ちたくてスーパーで購入前の商品を食うという程度なら笑い飛ばしても構わないが、とんでもない人権侵害をやらかせば、自分も出直すことができないぐらいの報いを受ける、それだけの力をもつ道具を使っているということを自覚してもらい、きちんと実効性ある形でやめさせるには残念ながら厳罰化しかないように思う。


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