イベルメクチンがワクチン接種後膵臓ターボ癌に有効である可能性

こんにちは。ワクチン接種後の膵臓ターボ癌のかたが結構いらっしゃるようです。膵臓癌の多くは腺癌です。そして通常でも多くの人に有効な薬剤はありません。膵臓癌に使われることの多いゲムシタビンという抗がん剤にイベルメクチンを一緒に使用すると癌の抑制作用が増強した、という研究をご紹介します

現在、膵癌に対する抗癌剤として使用されているゲムシタビンという薬があります。ゲムシタビンは、静脈から投与されます

ゲムシタビンにイベルメクチンを併用すると、膵臓癌の増殖抑制効果が高くなる、という基礎研究のデータがあります。デマやインチキではないという証拠となるデータをご紹介します

有効性の機序

1. ゲムシタビンは がん細胞をS 期停止させる。これに対してイベルメクチンとゲムシタビンの併用治療では、(1) 用量依存的に G1 期停止細胞が増加した。(2) CyclinD1、CDK4、CDK6 が減少しているこれによりサイクリン D1 および CDK4/6 複合体の形成が減少し、G1-S 細胞周期移行が阻害された。同時にp21 蛋白が増加している

2 イベルメクチンとゲムシタビンの併用治療でがん細胞のアポトーシスが増加する*アポトーシスとは細胞の自然死です

3   膵がんPANC-1 細胞を BALB/c ヌードマウスに皮下注射し、マウスをランダムに 4 つのグループに分け、イベルメクチンおよび/またはゲムシタビンを週に 2 回腹腔内投与した(図5A)。その結果、マウスの体重に大きな差は出なかった(図5B)。イベルメクチンとゲムシタビンの併用は、ゲムシタビン単独による治療と比較して、腫瘍の増殖を有意に抑制した(図5C)。腫瘍サイズと重量は両方とも、ゲムシタビン単独群よりも共治療群の方が低かった(図5D、E)。これらの結果は、イベルメクチンとゲムシタビンの組み合わせが膵臓がんの増殖阻害において相乗効果があることを示している

データは実験マウスまでです。まだ人体で治験は行われていません
ターボ癌で肝転移があると肝予備能によってはイベルメクチン使用も難しいことがあるかもしれません。イベルメクチンの併用可能で抗癌作用が増強するという情報でした。役に立つと良いです

和訳ブログ
原著リンク
タイトル Ivermectin and gemcitabine combination treatment induces apoptosis of pancreatic cancer cells via mitochondrial dysfunction
Front Pharmacol. 2022; 13: 934746.

イベルメクチンは肺腺癌細胞の増殖を抑制する

肺癌にサブタイプがあります。イベルメクチンが、サブタイプの一つの 肺腺癌細胞 の増殖を抑えたという研究をご紹介します

実験1 図1B
肺腺癌細胞株(H358, A545, H1299) とヒト正常肺上皮細胞株 (Beas-2b) を、イベルメクチン (0、2.5、5、10、20、または 40 μM) で24時間 処理し、細胞生存率をCCK-8アッセイによって評価した。
24時間後の肺腺癌細胞株の生存率はイベルメクチンの用量依存性に低下した

図1B

実験2 イベルメクチンは、肺腺癌細胞のアポトーシスを誘導する
H358、A549、H1299、および Beas-2b 細胞を、濃度を増加させたイベルメクチン (0、5、10、または 20 μM) で 24 時間処理し、アネキシン V-FITC/PI 染色後にフローサイトメトリーでアポトーシス細胞を分析した。
Annexin V アネキシンとPI ピーアイ で二重染色した。右に行くほどAnnexin Vの染色強度が高い (黒線より右がアネキシン陽性)。上に行くほどPIの染色強度が高い(黒線より上がPI陽性)。そして右上の区画はアポトーシス後期。右下の区画はアポトーシス前期です。イベルメクチンの用量依存性にアポトーシスした肺腺癌細胞が増加しています

実験3 イベルメクチンは肺腺癌細胞に作用してp21 活性化キナーゼ1 (PAK1)の発現を低下させる
*p21 活性化キナーゼ (PAK)は成長、アポトーシス、細胞分裂、免疫応答、細胞の運動性、炎症、遺伝子発現などのさまざまな細胞プロセスに関与している大切なセリン/スレオニンキナーゼです。特に発がん性シグナル伝達経路に関与しています

図4A. 肺腺癌細胞株H358とA549を異なる濃度(0, 10, 20μM)で24時間処理し、
細胞内に発現するPAK1をウエスタンブロット法で検出した。
バンドの濃さがタンパク量に相関すると考える

実験4 
1. 肺腺癌患者組織のPAK1発現量は増加している
2. PAK1発現量の多い肺腺癌患者の生存期間は、PAK1発現量の少ない肺腺癌患者よりも短い

B. 正常組織および肺腺癌LUAD患者における 癌組織 PAK1 の発現レベル (GSE40791 データセットに基づく)
D. PAK1 発現レベルによって肺腺癌LUAD患者を2グループに分けた全生存解析 (GEOデータセットに基づく)

実験5  肺腺癌細胞を BALB/c ヌードマウスに皮下注射し、イベルメクチンを腹腔内投与した。イベルメクチンはヌードマウスにおいて効果的に肺腺癌細胞の増殖を抑えた。

結論:イベルメクチンは培養細胞株とマウスの移植実験の両方で肺腺癌細胞の増殖を抑えた。
補足:この論文ではさらにイベルメクチンによる増殖抑制機構についての実験も行われている。

タイトル:Ivermectin induces nonprotective autophagy by downregulating PAK1 and apoptosis in lung adenocarcinoma cells
Cancer Chemother Pharmacol. 2023 Sep 23. doi: 10.1007/s00280-023-04589-6.
訳ブログ









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