見出し画像

裏ハムラ改良術式【裏ミッドフェイスリフト】〜脱脂・脂肪注入しない根本的クマ治療〜

はじめに

 あなたはクマ治療と聞いて何を思い浮かべますか。

 いわゆる「クマ取り」や「切らない目の下のたるみ取り」と言われる「経結膜的脱脂」を思い浮かべる人が多いと思います。

 少し調べたことのある人であれば、「脂肪を取るだけだと凹むので、一緒に脂肪注入しましょう」と言う広告や、宣伝を目にしたこともあるかと思います。

 美容医療は医療行為ですが、自由診療ですのでどのような施術でも受ける・受けないはその人の自由です。もちろん、治療に一定以上の妥当性があることが必要ですが。

 ある治療を受ける人がその内容を、メリットだけでなくデメリットも含めてきちんと理解し、十分に納得した上で受けるのであれば何も問題はありません。

 何が言いたいかというと、クマ治療で最も多く行われている脱脂や脂肪注入は唯一の選択肢ではないということです。このことを知らずに、施術を受けている人が本当に多い。私はそれが大きな問題だと考えます。

 脂肪注入は自分の脂肪でボリュームアップできると言うすばらしい治療ですが、弱点もあります。

 クマ治療の場合、注入した脂肪が上手く定着しないと、半年から1年くらいでクマが再発したように見えることがあります。

 クマ治療と言われる施術の中には、きちんと原因を取り除く根本的な治療法があります。

 それを知らずに、限られた選択肢から治療を選ばざるを得ない状況の人が多数いることが問題です。

 このnoteでは、私が考えるベストなクマ治療についてお話します。もちろん、きちんとそれがなぜベストなのかを、基礎知識を含め、できるだけ専門用語をつかわずに説明しています。

 つまりこれを読めば、自分に合った正しいクマ治療を、幅広い選択肢から選ぶことができるようになります。

 とは言え、私は裏ハムラや裏ミッドフェイスリフトなどの皮膚切開しない脂肪移動術をライフワークとしていますので、それらの治療に詳しく、また得意でもあるため、偏った意見となっているかと思います。ぜひ色々な意見を見て、聞いてからゆっくりと自分に合った施術を検討して下さい。

クマ治療の選択肢

脱脂

 クマ治療を「クマ取り」と言う理由の一つが、この「脱脂」と言う治療法の存在です。

  目の下の膨らみに注目して、それを下瞼(まぶた)の裏から、小さな穴を開けて除去するのが、経結膜脱脂です。

 別の方法として皮膚切開し、余剰皮膚切除と同時に表から脱脂を行うものもあります。

 これらは目の下の膨らみを、治療を受ける時点で過剰な分を適量除去する治療です。

 加齢と共に目を守る脂肪(眼窩脂肪)は下にずれ落ちてきます。脱脂しても、また膨らみが出てくることになります。

 そもそもの話になりますが、顔の脂肪、特に中顔面の脂肪は年齢とともに必ず減っていくので、脱脂は行わないほうが良いと言う認識が学会などでも徐々に広がって来ています。そのため脱脂をする場合は、取りすぎないように必要最小限の除去にするべきと考えています。

脂肪注入

 脱脂は、ボリュームを減らす治療ですので、凹みは膨らみません。そのため、脂肪注入の併用を勧めているクリニックも多いです。

 「脱脂で膨らみをとると目の下が凹んだ感じになる」ため、または「元々ある凹みはなくならないため」その凹みを埋めましょうと言うのがよくあるパターンです。

 脂肪注入はヒアルロン酸よりずっと長持ちですが、もちろん一生そのまま残るわけではありません。

 術後半年くらいまではある程度減り、その後の減り方は緩やかになります。

 半年から1年までに残る割合を定着率と呼んでいることが多いですが、個人差が大きいため、最終的にどのくらい残るかを完全に予測することは難しいです。

 つまり、術直後にちょうど良くなるように注入すると、いったん腫れてふくらみます。

 その後、腫れが落ち着き定着しない脂肪も減って、もう一度ちょうど良い時期が1-3ヶ月の間にやってきます。

 さらに術後半年くらいまでには定着しなかった脂肪が減って完成となります。

 定着率に個人差が大きいため、完成と言われる6ヶ月以降で凹みをぴったり平らにすることは非常に難しいことです。

 ちなみに脂肪注入が本当に上手な医師は、減る分を見越して多めに入れて、定着しない脂肪が減ったときにちょうど良くする方針で治療を行っています。

 ただ、多めに入れるやり方は、思ったより定着しすぎて不自然になるリスクがあり、その場合の修正が非常に困難なためかなりの技術と経験が必要です。

 さらに、多めに入れる場合は半年の完成のときにちょうどよくするので、それまでは脂肪が多い状態になりますので、膨らんだ不自然な感じになります。

 そのため、短期的な結果が悪くインスタ映えしないので、短期的な集客上の優位性がありません。

 本当は正しい脂肪注入のやり方だとしても、そのような治療方針の医師は、SNSで医師を選ぶお客様からは選ばれにくくなっています。

 そのため、脂肪注入でのクマ取りは、術直後にちょうどよいか、わずかに多く入れることが多くなっているのが現状です。

 そのため、一時的にキレイに見える術後1-3ヶ月の症例写真は経過写真として参考にするのは良いです。

 しかし、完成は半年以降なので6ヶ月以上の写真も必ず確認して下さい。

 脂肪注入のクマ取りで術前、術直後、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月と時系列の症例写真を出している医師がいたら、その先生は非常に誠実なドクターです。

注入後に一度だけある単に一時的にベストな状態の写真を仕上がりとして集客目的に使用しているドクターがとても多いです。

 もちろん脂肪注入はそれ自体、決して悪い治療ではありません。

 加齢と共に減ってきたボリュームを補う目的で使う場合にはとても良い治療法の一つです。

 たとえばこめかみや頬等、年齢とともに顔の脂肪が減って来たときに、そのボリュームを脂肪注入で補うと、とても若々しくキレイになります。

 異物をつかわずに自分の脂肪で若返りたい人はたくさんいますし、入れた脂肪が全て定着することはなくてもそれを受け入れて、理解した上で希望する人は多いです。

 つまり脂肪注入はある程度以上に膨らめば良い場所にはとても良い治療です。

 しかし、凹みをぴったり埋めるというような、膨らみ過ぎても足りなくてもいけないような、厳密な調整をする使い方にはベストとは言えません。

ハムラ法

 ハムラ法は簡単に言うと、目の下の膨らみをその下の凹みに移動して凹凸を同時に改善する治療法です。

 クマが目立つ人の目の下の凹み部分には、目を閉じる筋肉(眼輪筋)と、目玉が入っている骨の凹み(眼窩)の下縁(眼窩下縁)のさらに少し下、との間に強い繋がりがあります。(専門用語を使うと、眼輪筋眼瞼部起始の上顎骨への強力な付着です。)

 結論から言うと、これがクマの根本原因です。そして、それを解除・調整できるのがこのハムラ法です。そういう意味で、クマの根本原因を治す根本的治療法です。

 この手術は、くまの原因の筋肉と、骨の付着を剥離・調整し、その下に脂肪を挟み込んで再びくっつくことがないようにします。

 そのため、目の下の凹みティアトラフが目立たない状態になる効果はなくなりません。

 挟み込んだ脂肪を通り越してまた筋肉と骨がくっついてしまうことはないからです。

 つまり、クマになる人とをならない人の差を埋める効果については半永続的や半永久的と言って過言ではないと私は考えています。

 もちろん皮膚がたるんだり、頬が全体として下がっていく加齢性変化は起こります。

 当然ですが老化が止まる治療はこの世に存在しません。そのため歳を重ねる毎に全体的な質感は落ちて行きます。

 ハムラ法には、表ハムラと、裏ハムラがあります。

 表面から皮膚切開や余剰皮膚切除をしてその下の眼輪筋を切開しで術野に到達するのが表ハムラです。

 そして、下まぶたの裏から結膜を切開して術野に到達するのが裏ハムラです。

 表ハムラのメリットは余分な皮膚を切除できることです。逆に、リスクとして皮膚を取りすぎたりすると外反と言ってあっかんべーをしたような状態になってしまう可能性があります。

 そうなった場合の修正術式など色々と検討されていますが、一度外反をおこすと当然満足度はかなり低下します。

 下瞼の皮膚を切除したり、眼輪筋を切開すると涙袋の自然な形状が損なわれて、のっぺりとした不自然な下眼瞼になることもあります。

 ちなみに、それをさらにカバーするために涙袋形成という技術もありますが、原因を作っておいて修正というのもやりすぎな気がします。

 また、この部位の皮膚は非常に薄く、切り取って伸ばしても皮膚はより薄くなるので、そのうちにまた伸びてしまいます。つまり、また皺ができてきます。

 傷ができて、のっぺりとした不自然な印象になる可能性があり、その上、外反(あっかんべー)のリスクがあることを考えると、シワをわずかに一時的に伸ばせるという
ことは大きなメリットではないと私は考えています。

 もちろん表ハムラの方が術野の展開が良いため、裏ハムラに慣れていないドクターにとっては手術がしやすいという医療者側のメリットがあります。

 皮膚切除を控えめにすることで、安全に行えると表ハムラをメインに行っている先生もいますし、それはそれで正しいと思います。

 本当に上手く余分な皮膚を除去し、眼輪筋を引き上げて固定し、裏ハムラでは不可能な皮膚表面のタイトニングまでしっかりと行えるドクターであれば表ハムラは素晴しい治療です。

 私の場合は、皮膚を切らずに経結膜的に行う裏ハムラに慣れているため、一人ひとりのクマの状態や、骨格等の特徴に応じて細かい術式(眼輪筋オーバーラップ、隔膜(CPF前葉)タイトニング、SOOF引き上げ等)を使い分けて対応しています。

 ヒフを切らなくても、しっかりと必要な剥離と脂肪の移動固定が行えるので、裏ハムラの方がメリットがあると考えています。

 また、小ジワを取るために皮膚切除をしたい方には、術後半年の完成を待ったあとで、希望があれば皮膚切除を保証適応で対応しています。

 この場合には眼輪筋を切開せず、ダメージが最小限のため外反のリスクはまずありません。

 ただ、皮膚切除も考えている人の殆どは、実際は皮膚を切らずに結果にご満足頂き、結局裏ハムラだけで済むということが多いです。

ハムラ法には弱点がある

 ハムラ法は凹み部分の原因を解除し、膨らみを凹みに移動して整える施術です。

 しかし、凹みを埋められる程度にふくらみがないと、良い結果が出ないという弱点があります。

 その弱点を補うために、ハムラ法に脂肪注入を併用すると言うドクターもいます。

 しかし、私の知る限り正しく脂肪移動術(裏ハムラ、表ハムラ、裏ミッドフェイスリフト等)を行っている医師で脂肪注入との併用を進めているドクターはいません。

 なぜなら、脂肪移動術で十分だからということ、そして、脂肪移動術の際にきちんと剥離を行っているとすれば、剥離した部分には脂肪注入が定着しにくくなるからです。

 つまり、脂肪移動術をきちんとやれば脂肪注入の効果を発揮できないし、脂肪注入を優先しようとすると脂肪移動術を十分に行えなくなるからです。

 脂肪移動術か脂肪注入のどちらかまたはその両方が不十分になるということです。

 そもそも、脱脂・脂肪注入でも一旦はクマが良くなるので、性悪説に基づいて考えると、裏ハムラ+脂肪注入と言っていても、本当にきちんと裏ハムラをやって、脂肪も注入しているかは・・・。5年後にはわかりますが。

 結論ですが、もしボリュームアップが必要なら、まずはハムラ法を行い完成の半年を待ってから、きちんとクマ改善効果が出ているのを確認して、その後、脂肪注入を行うのが良いです。

 つまりクマ治療とボリュームアップは分けて考えるべきだと言うことです。

 ハムラ法には膨らみが少ないときに結果を出しづらい弱点があります。

 そこで、その弱点
を克服するために工夫したのが裏ミッドフェイスリフトです。

裏ミッドフェイスリフト

 裏ミッドフェイスリフトは、裏ハムラと同様に皮膚切開せずにまぶたの裏の結膜切開から行う施術です。

 途中までは裏ハムラと同じですが、ゴルゴ13で有名なゴルゴライン上、中顔面の外側下方の部分にあるリガメント(骨と皮膚をつなぐ靱帯|zygomatic cutaneous ligament)を適度に切離してほほの脂肪(メイラーファット)が上方に移動できるようにします。

 その上で、適度に頬の脂肪・骨膜・筋膜を引き上げて固定します。裏ハムラでは目の下の脂肪のふくらみをその下の凹みに移動しましたが、裏ミッドフェイスリフトでは凹みのさらにその下のほうれい線のうえにあるふくらみを引き上げて凹み部分に持ってきます。

 つまり、上から下への脂肪の移動だけではなく、下から上への脂肪の移動も同時に行います。

 またこの際に、メイラーファットの下部は瞼の裏側からは直接届かないため、スレッドリフト用糸を利用して、メイラーファット全体を垂直方向に持ち上げるように挿入することで治療効果を高めることができます。

 これは、通常の糸リフトとは異なり、手術部分の負担を減らす目的つまりフェイスバンドの代わりの役割を果たします。手術の結果が安定するまでの間、手術した部位を支える目的で使用します。

 つまり、癒着が完了した後は、糸が溶けても問題なく、糸リフトを入れ続ける必要はありません。

 癒着が終わり可塑性があるとされる半年まで維持できれば十分です。

 中縫いで使うものも溶ける糸ですが、癒着後は溶けても問題ないのと同じで、たとえば、切開した傷を縫ってくっついたら抜糸しても開かないのと同じです。

 裏ミッドフェイスリフトは上下から目の下の凹み部分に脂肪を持ってきます。

 そのため、凹み目クマにもしっかり対応できます。

 涙袋とほうれい線の間のボリュームがひとまとまりになって、さらにそのピークが少し上に上がることになります。

 年齢が一番出やすい場所の一つである中顔面を引き上げて、若返った印象になる理想的な術式です。

 クマ治療として非常に高い効果が得られる治療ですが、クマではない人の中顔面の若返りとしても良い治療です。

 繰り返しますが、皮膚を切らずに、裏ハムラとほぼ同等の侵襲(ダメージ)でクマもほうれい線も少し改善できて中顔面の若返りができる点で理想的な術式です。

まとめ

 クマ治療では、皮膚を切るリスクに対するメリットが少ないので、瞼の裏から行う術式が良いと私は考えています。どうしてもという場合には、必要に応じてあとから皮膚だけ切除できます。

 また、脱脂のように凹みすぎたり、脂肪注入のように定着率と言う不確定要素がなく、根本的原因の目の下の凹み、リガメントや眼輪筋の骨への直接的で強い付着の処理が出来る治療が理想的です。

 それらを満たす術式の1つ目が裏ハムラです。そして2つ目は、裏ハムラが適応となりにくいタイプ、目の下の膨らみが少ない「凹み目クマ」にも対応できる裏ハムラの改良術式【裏ミッドフェイスリフト】です。

 最後までお読みいただきありがとうございます。美容医療で正しい選択をするための情報をこれからも発信していきます。ぜひノートとツイッターのフォローをお願いします。

ご相談はこちらからお気軽にどうぞ!ツイッターには匿名で質問可能な質問箱があります!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?