★2文字共和国

仕事の関係で海外出張が多い。だいたいの国は英語でOKなのだがマンコン共和国だけは特別である。この国はマンコン国王の命令により英語の使用が禁止されており、「マン語」が唯一の言語である。

マン語を少しだけ並べてみよう。

おは!→おはよう

はろ!→こんにちは

せば→じゃあ、またね。

んだ→YES。賛同、肯定を表す

まね→だめです。そんなことをしてはいけません。

わあ→わたし

なあ→あなた

まぐ→男女の交わり

だいたいこんな感じである。

私は本とインターネットでマンコン語を学習し、一年でペラペラになった。ひらがな2文字の組み合わせなので簡単だと思う人もいるかもしれないが、同じ単語でもイントネーション、アクセントで意味が変わるので要注意である。

たとえば、「なあ」であるが、なあ↓、と下げる場合は「あなた」という意味だが、なあ↑、と上げる場合は「なんだてめえこの野郎、コンクリート詰めにして海に沈めるぞ」という意味になるので十分に注意が必要になる。

マンコン語の習い始めの外国人がついつい、なあ↑、と上げてしまいマンコン人に殴られる事件が多発している。

「わあ、なあ、まぐ」は、私はあなたと一夜を共にしたい、という意味になる。

「なあ」を省略し、相手の目を熱く見つめて「わあ、まぐ、まぐ」と言うこともできる。同じ単語の繰り返しは強調の意味になる。すごくあなたを欲する、という意味だ。

ところで、「愛情」はマンコン語で「あむ」である。これはマンコン国王が若い頃フランスに留学した影響ではないだろうか。

愛はフランス語でアムール、amour、である。恋人同士がしょっちゅう、あむ、あむ、と言っている国、それがマンコン共和国だ。

注意点としては、やはりイントネーションの問題がある。あむ↑、と上げればなんら問題ないが、あむ↓、と下げた場合は

「あなた、浮気したでしょ、相手は出会い系で知り合った女だよね?隠したって無駄よ、ちゃんと興信所に頼んで証拠写真もある、あー憎たらしい、今からたっぷりお仕置きするから覚悟してちょうだい、今日から食事はご飯一膳と漬物だけだよ」

という意味になる。

くれぐれもイントネーションには注意して欲しい。


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