★スーパー・アイ

僕は米国のスーパー・アイ・テクノロジー社(略称・SET)に勤務しています。人間の視力を爆発的に向上させる製品を開発しています。手術により当社開発の眼球を頭部に埋め込むと望遠鏡なしで月や土星など、遠方にある天体の表面を観察することができます。天体望遠鏡を販売しているたくさんのメーカーが倒産しました。

また、細菌、ウィルスなど、通常の視力では観察できない微生物を見ることができます。そのため、顕微鏡メーカーは全滅状態になりました。

また、スクリーンモードにすると眼前に大スクリーンが現れ、大画面で映画を観ることができます。眼球には通信機能があるため、映画はサイトから自由にダウンロードできます。

野球観戦の時も便利なんです。好きな選手を間近で観ることができます。外野席でも全く不自由なく野球観戦できるようになりました。

手術費用は二万ドルぐらいでしょうか。どちらかと言えば富裕層向けの製品と言えるかもしれません。社員は無料で眼球を交換できますので僕の目もスーパー・アイです。毎晩夜空を見て新しい星を探しています。

ところで視力が飛躍的に良くなったからと言って、幸福感が増す、とは言えないのです。社員がこのようなことを言うと会社に対する裏切りみたいな感じになってしまいますが、僕は一日の大半、スーパー・アイの稼働モードをオフにしています。なんでもかんでもはっきり見えると、なんだか疲れてしまうんですよね。

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