★走れないメロス
ナンパ専門家の俺はメロー&スケベということでメロスというあだ名なんだが、先日、飲み屋に行ったら財布に3,000円しかないのにお姉ちゃんたちに酒をバンバンご馳走しちゃって、気付いたら会計が三万円を超えていた。
初めての店なのでツケも許されない、困ったなあ。友達に電話してお金を持ってきてもらおうと思いつき、あちこち電話したんだが、遅い時間だったせいもあり、誰も電話に出てくれない。
やがて店の奥から怖いお兄さんが出て来て言った、免許証は持ってるか?それを店に置いていけ、そしてサラ金に行って金を借りてこい!
サラ金?いやー、それはちょっと、俺はサラ金から金を借りたことがない、それは勘弁して欲しい、明日、必ず持ってきますから。
しかし、兄ちゃんは言った、ダメだ、今すぐだ。
俺は困ってしまった。もうね、これはね、逃げるしかないね。
俺はいきなり兄ちゃんを突き飛ばして店の外に飛び出した、そして、走った、走った、、つもり。
しかし、酒を飲み過ぎたせいで、実際は走れなかった。あっちにふらふら、こっちにふらふら、すぐ、兄さんに捕まり、ボコボコと殴られた。
そして、再び店に連れて行かれて、奥の、事務室みたいな部屋に閉じ込められる。
兄ちゃんは誰かに電話している。それからしばらくして、二人の男がやってきた。明らかにヤクザ系統の風貌だ。そのうちの一人を見て俺は驚いた、健児じゃないか。思わず叫んだ、
健児!
俺の中学の後輩で、一緒に野球をやっていた。俺はレフトで、健児はショートだった。その健児が目の前に立っていたのだ。
健児!
メロス兄さん!
45年ぶりの再会だ。俺たちはしっかり抱きあった。
健児は兄ちゃんに事情説明して、俺を解放してくれた。いやー、健児、助かったよ、お前の奢りで一緒に飲もうぜ!
俺たちは歌舞伎町に繰り出して朝まで飲んだ。
そして、飲み過ぎた。
健児は四万円しか持ってないのに、10万円も飲んじまった。払えない。初めての店なのでツケもできない。やがて、奥から怖いお兄さんが出て来て....
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