はじめに

　今回は、春季キャンプが始まり今季の陣容が固まったこのタイミングで、中日の各捕手への期待と陣容の分析、それを踏まえた2024ドラフト候補を考えました。

昨季からの陣容の変化

In：日渡騰輝 ←茨城アストロプラネッツ（育成ドラフト1位）
Out：大野奨太 →引退（中日2軍バッテリーコーチ）昨季出場数：33試合52打席（2軍）

春期キャンプ振り分け

1軍：木下拓哉、宇佐見真吾、加藤匠馬、石橋康太
2軍：味谷大誠、山浅龍之介、日渡騰輝

#35 　木下拓哉　32歳　9年目　右投右打

通算成績：535試合 1682打席 打率.248 出塁率.306 32HR 長打率.367 OPS.673昨季成績：89試合 315打席 打率.237 出塁率.313 5HR 長打率.345 OPS.658
2軍成績：7試合 25打席
今季目標：100試合 350打席 打率.250 出塁率.325 5HR 長打率.350 OPS.675

　怪我せず正捕手として攻守に貢献を期待。ベテラン一歩手前だが、まだ老け込む年齢ではない。将来の正捕手候補石橋の高い壁となって欲しい。

#39 　宇佐見真吾　30歳　9年目　右投左打

通算成績：369試合 993打席 打率.224 出塁率.283 16HR 長打率.307 OPS.590昨季成績（中日）：69試合 226打席 打率.282 出塁率.339 3HR 長打率.354 OPS.694
今季目標：70試合 250打席 打率.275 出塁率.325 5HR 長打率.350 OPS.675

　サブ捕手としてはもちろん左の代打、緊急時のサブ一塁手としても期待。30歳を越えたが、打撃面で昨季魅せた高いパンチ力を維持し、将来の正捕手候補石橋や豊富な一塁手候補と争いたい。

#49 　加藤匠馬　31歳　10年目　右投右打

通算成績：217試合 431打席 打率.174 出塁率.203 2HR 長打率.234 OPS.437
昨季成績：10試合 8打席 打率.000 出塁率.000 0HR 長打率.000 OPS.000
2軍成績：30試合 50打席
今季目標：15試合 10打席 打率.200 出塁率.300 0HR 長打率.300 OPS.600

　昨オフロッテから無償トレードでやってきたもののわずか10試合の出場にとどまった。今になってこれまで苦しんできた打撃が開眼するとは思えない。来季の契約をつかみ生き残るため、強肩以外の捕球、リードなど守備面全体でアピールして1軍での出場機会を増やしたい。

#58 　石橋康太　23歳　6年目　右投右打

通算成績：93試合 186打席 打率.196 出塁率.220 2HR 長打率.321 OPS.541
昨季成績：39試合 77打席 打率.257 出塁率.268 2HR 長打率.429 OPS.696
2軍成績：22試合 51打席
今季目標：70試合 200打席 打率.250 出塁率.300 5HR 長打率.400 OPS.700

　昨季はチームトップクラスの長打力や強気なリードを見せたものの出場機会には恵まれなかった。しかし、昨年のアジアプロ野球チャンピオンシップ侍ジャパンメンバーに選出され、球界屈指の捕手プロスペクトとしての立場をつかんだ。今季はブロッキングや捕球などの守備力、捕手としての総合力を高め、スタメン出場数、長打を量産できる引っ張り中心かつ強いスイングの打撃アピール機会（打席）を増やしたい。3番手捕手は怪我などのアクシデント発生時に備えて出場機会が限られるため、捕手としての信頼度で宇佐見を追い越し2番手捕手の立場をつかみたい。

#43 　味谷大誠　20歳　3年目　右投左打

昨季(通算)成績：6試合 7打席 打率.286 出塁率.286 0HR 長打率.286 OPS.571
昨季2軍成績：54試合 135打席 打率.227 出塁率.241 0HR 長打率.281 OPS.522
今季目標：10試合 10打席 打率.200 出塁率.300 0HR 長打率.300 OPS.600
今季2軍目標：50試合 150打席 打率.250 出塁率.275 1HR 長打率.350 OPS.625

　昨季高卒2年目で1軍初昇格初出場初安打を果たしたが、2軍では打率2割台前半、OPSも5割台と苦しんだ。昨季2軍で出場数を増やし、体力はついてきたはず。今季は2軍戦を中心にアスリート型の捕手としてリストの強さを生かした打撃力、強肩や身体能力を生かした守備力を高めたい。2軍で好調を維持して1軍昇格し、1軍経験を積めればベストか。

彼に一言：背番号38の味谷が見たいので松葉さん譲って&味谷くん奪ってください

#57 　山浅龍之介　19歳　2年目　右投左打

昨季(通算)成績：7試合 2打席 打率.000 出塁率.000 0HR 長打率.000 OPS.000
昨季2軍成績：67試合 170打席 打率.169 出塁率.226 0HR 長打率.182 OPS.409
今季目標：10試合 10打席 打率.200 出塁率.300 0HR 長打率.300 OPS.600
今季2軍目標：50試合 150打席 打率.270 出塁率.300 0HR 長打率.300 OPS.600

　昨季捕手陣の中で2軍戦に最多出場し、高卒1年目にして1軍の舞台を経験した。昨春のキャンプ～オープン戦にかけて天才的なバッティングを見せていたが、2軍では打率1割台前半、OPSも約4割と苦しんだ。昨季でプロの水に慣れ、体力はついてきたはず。今季は2軍戦を中心に同世代の味谷、日渡ら若手捕手陣と争いながら期待値を高めていきたい。

#215 　日渡騰輝　19歳　1年目（新人・育成）　右投左打

昨季BCL成績：27試合 130打席 打率.267 出塁率.315 2HR 長打率.347 OPS.662
今季2軍目標：50試合 150打席 打率.270 出塁率.300 1HR 長打率.325 OPS.625

　昨年は独立・BCリーグで高卒1年目から多くの出場機会を得た、身体に力がある捕手らしい捕手。プロ1年目も2軍で実戦経験を積みながら打撃守備ともにレベルアップし、夏までの支配下昇格を期待したい。が、現実的には2024ドラフトでの捕手獲得を阻止し、来オフの支配下昇格を目指したいところか。

今季捕手序列予想

1軍主力：木下拓哉
1軍サブ：宇佐見真吾　石橋康太
1軍2軍運用要員：加藤匠馬
2軍で育成：味谷大誠　山浅龍之介　日渡騰輝

5年後捕手序列予想

1軍主力：石橋康太
ベテラン：木下拓哉（宇佐見真吾）
1軍挑戦：味谷大誠　山浅龍之介　日渡騰輝

2024ドラフトで捕手指名は必要？

宇佐見（木下）が今季不振だった場合、石橋以外に1軍控え級の力を持つ若手捕手が不在となるため、即戦力（1~3年後から使えそうな）大学生or社会人捕手

味谷ら若手捕手陣（石橋含む）が2軍で低調の場合、石橋が定着するまでは木下、宇佐見ともに健在なはずなので、即戦力の選手の優先度は高くはない。しかし、石橋に次ぐ存在がいないので、大卒以下の世代で捕手を確保したい（ただし下位or育成）

2024ドラフト獲得候補

印出太一（早稲田大）　右投右打

　打撃力に優れる髙橋宏斗の元女房役。中日としては年代、選手タイプともに石橋と近い部分が難点になりそう。ドラフト全体では、郡司裕也（慶應大⇒中日⇒日ハム）クラス、つまり三冠王クラスの打撃を六大学野球で見せられるかが焦点になるか。

清水智裕（中部大）　右投右打

　大学日本代表候補が集う昨秋の松山合宿で打撃力の高さを見せつけた強肩強打の大型捕手。印出太一と同様、中日にとっては少し獲得難易度が高そう。肩は強いが捕球、ブロッキング能力に課題があり、そこを克服したい。また、全国大会でのアピールもしていきたい。

坂本達也（富士大）　右投右打

　強肩を生かした高い守備力が売りの大学日本代表候補。昨秋の神宮大会に引き続き全国大会でアピールしたい。現状だと育成で獲得できればうれしい選手。

渡辺悠斗（富士大）　右投右打

　一塁手としても出場する長打力が自慢の大型捕手。先述の坂本捕手や佐々木遊撃手、麦谷外野手、佐藤投手らドラフト候補を多く抱えるチームを4番として牽引し、全国大会制覇を目指したい。

箱山遥人（健大高崎）　右投右打

　1年秋から正捕手を務める強肩強打の現状高校生No.1キャッチャー。今春のセンバツに出場予定。

中村優太（桐光学園）　右投右打

　1年春には正遊撃手を務めた高い身体能力を誇る四番兼正捕手。ショートの座は同学年のドラフト候補森駿太に譲ったが、身体の強さを生かしたアスリート型の大型捕手としてスケール感を見せつけたい。惜しくもセンバツ出場は逃したが、最後の夏の甲子園を目指したい。

只石貫太（広陵）　右投右打

　名門広陵高校で1年秋から正捕手を務め、エース高尾響投手をリードする新主将。進学が基本線だが今春出場するセンバツなどの全国大会で活躍してプロ志望に転じる可能性も。

椎木卿五（横浜）　右投右打

　椎木匠氏（元ロッテ、中日、西武）を父に持つサラブレッド捕手。豪快な本塁打を量産する一方で巧みなリードで投手陣を引っ張る。

熊谷俊乃介（関東第一）　右投右打

　石橋康太に憧れるフットワークのよい捕手。中日としては先輩の石橋に期待している以上獲得難易度は高いか。今春のセンバツに出場予定。

麹家桜介（市立和歌山）　右投右打

　同じ貝塚ヤング⇒市立和歌山の先輩松川虎生（ロッテ）に憧れる4番捕手。成長が楽しみ。

吉村航希（小林秀峰）　右投左打

　捕手出身ながら外野もこなす万能ユーティリティープレイヤー。打撃はまだ粗が見られるもののライナー性の強い打球を飛ばし、守備では身体能力を活かして好守を見せる。