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エンド大神殿遺跡の歩き方

エンドに村を作るというプロジェクトの最中に発見された、古代の大神殿遺跡。
本島から遠く離れた場所に唐突に現れたそれは、失われてしまった古代エンドの文化を今に伝える貴重な遺産である。

さあ、謎と魅力に満ちた遺跡を訪れ、古代エンドにタイムスリップすることにしよう。

・訪問

エンドに入り村方面へ向かう。途中エンダーマンに遭遇することもあるが、目を合わせなければ彼らは無害である。

エンド入口より村を望む


また村はしっかりと対策がなされており、危険はほぼないだろう。
村の最奥から見上げると、まずは長大な城壁にも似た回廊が私達を出迎えてくれる。

村方面から見上げた回廊の偉容


『仮想の回廊』と名付けられたそれは大神殿遺跡をぐるりと囲んでいる。かつては巡礼者が中を歩き、休憩や観光に役立てていたことだろう。

回廊の内外


回廊を抜けると遺跡が堂々とそびえ立っている。
正面には大階段があるが、まずは外周から回ることにしよう。

・外周

まず目に入るのは水をたたえた堀と、本来はエンドに存在しない木々と草花だろう。
放置されて長い時が経っているため雑草が生い茂っているが、いまだに木が生え美しい花が咲いている。さぞ美しい庭園だったに違いない。

雑草やツタが目立つ


掘に流れ込む水は発見当時から流れており、恐らく数千年の昔から枯れたことはなかっただろう。
出所については後述するが、なんとも素晴らしい灌漑技術である。

外壁は経年劣化によるヒビやコケが多く見られるが、それでも崩れ去った部分はかなり少ない。

今もなお崩れることのない外壁


特徴の一つとしてアーチ状のくり抜きがある。
このように薄い壁を、さらに大部分くり抜いているのに強度には問題がないらしい。驚くほかない建築技術である。

このようなアーチ状の様式が随所に見られる


敷地には赤砂が敷き詰められており、私達の世界でも貴重なそれを用いていることから、古代エンド人にとってここがいかに重要な場所だったかがうかがえる。


コラム:古代エンド人は存在したか

現在エンドの主要な住民はエンダーマンであることは誰しもが知っているが、ではこの神殿は彼らが建造したのであろうか?
私は違うと考える。
理由として、彼らからは建築ができるほどの知性を感じられないからだ。
目が合えば奇妙な雄叫びと共に襲いかかってくることは読者諸兄もよくご存知だろう。その振る舞いに知性は感じられず、要するに彼らは人型の獣なのだ。
また、エンドにいるエンダーマンは知性を持つ、などと荒唐無稽な仮説を立てても疑問は残る。
勇敢な冒険家スティーブ氏によると、エンド本島から離れたところにはエンドシティという建造物があるそうだ。
シティをエンダーマンが建造したとして、それはエンドストーンとプルパァブロックによって構成されているという。
大神殿遺跡とは建築様式がまったく異なるのだ。
ゆえに私は、古代エンドには未知の人々、それも我々とそう体格が変わらない人種がいたと考える。
便宜上古代エンド人と呼ぶことにしよう。


寄稿  人類学者 ムーラ・ビィト氏


遺跡裏側に回って目に付くのはコーラスプラントだ。本島から遠く離れた島に生育しているというが、私には危険すぎて確かめようがない。

コーラスプラント。栽培されていたものか


古代エンドは危険な場所ではなかったか、もしくは神殿を建造した人々は並外れて強かったかのいずれかだろう。
後述するが食堂跡と思われる場所にコーラスフルーツの残骸が残っており、ここにいた人々は食用にもしていたようだ。

外周に限ったことではないが、あちらこちらに模様入り石レンガが用いられている。

模様入り石レンガで隔てられた神殿


配置された場所を見るに、どうやら境界を表す目的があるようだ。

ネザー産の建材も多く見られる。
現代の私達にも入手困難な素材がふんだんに使われていることからも、この神殿が聖地として古代エンド人の中心地だったと推測できる。


建築こぼれ話~始まり・外周編~


モデルにしたのはバビロンの空中庭園です。
ネザーと違ってエンドでは水が使えるので、支部を作るときから建築や土地には水をふんだんに使おうと思っていました。
それで、エンドで大規模な建築になにがいいかと考えたときに空中庭園が思い浮かんだのです。
ただ一枚絵ぐらいしか資料がなく、そのため空中庭園に加え、かのソロモン王が建てたエルサレムの神殿もモデルに混じっています。
色合いや遺跡の性質から主な建材は石レンガを選びました。それはよかったのですが、使用した丸石の量がとんでもないことになり、しばらくは石レンガ建築はしたくありません。
貴重なブロックを使って神聖な場所であることを強調したかったのですが、集めるのが非常にめんどくさかったので赤砂はやめとけばよかったです。
全体としてはダメージ加工が一番時間がかかりました。
外周に限った話ではないですが、水に接した部分はコケレンガが多くなっているなど、こだわった部分でもあります。


それでは、次は庭園と地上階を訪ねるとしよう。

・地上階~庭園

神殿横の小ぶりなアーチをくぐり堀を越えると、復元されたカウンターが出迎えてくれる。

アーチもまた模様入り石レンガである


発掘調査により、片方のカウンターは両替所、もう片方は生け贄の動物の販売所であることが分かっている。
現代の地上と異なり、神殿では金塊を貨幣として用いていたようだ。
エメラルドの絵が掲げられているが、実際にはあらゆる鉱石を両替していたらしい。
巡礼者は金塊を手に入れ、納税や寄付、動物の購入をしていた。

人が多かったゆえかカウンターの前は広い


エンドには生息しない動物を購入するため、巡礼者は決して安くはない金額を支払っていたようだ。
生け贄の習慣自体地上になじみのあるものではないが、動物の存在しないエンドにおいて、なぜそのような習慣が生まれたのかは分かっていない。

二つのカウンターの間を抜けると沐浴漕がある。
堀と違い発見当時水は枯れていたが、今は観光用に張られている。
とは言え、観光に訪れたときにここで沐浴を行うのはやめておいた方がいいだろう。
巡礼者は身を清め、次の間へ向かった。しかし沐浴漕は狭く、シーズンにはずいぶんごった返しただろうと思われる。

隣の部屋では炎が燃えている。
一度火がつくと永遠に燃え続ける性質を持つネザーレックが使われており、これも古代からずっと燃え続けている。
巡礼者は購入した、もしくははるばる持ち込んだ動物を祭司に渡し、ここで生け贄を捧げたのだ。

燃え続ける祭壇の炎


地上階中央の部屋は大きなスペースが取られている。

沢山の人が集っていたのかも知れない


恐らくここで説教が行われていたのだろう。今では壇がポツンと残るだけとなっている。

さて、ここまで地上階を見てきたわけだが、ほとんどの部分は巡礼者のための施設となっていたようだ。
古代に賑わっていただろうこの場所は、グロウベリーのツタが茂り、経過した長い年月を感じさせる。

用途は不明だが棚のような物も見える


説教部屋以外の部屋からは庭園に出ることができる。
ここには色とりどりの花は植えられておらず、当時はサッパリとした草地のみが広がっていたのだろう。

当時はスッキリとした庭園だったと思われる


石レンガで小道が作られており、雑草に足が取られ歩きにくいということもない。

上層階から流れる水が巨大な貯水池に溜まり、中央にそびえ立つ巨木を潤している。

トウヒの巨木と貯水池


トウヒの木は神聖なものとして扱われているらしい。


建築こぼれ話~地上階・庭園編~


ひととおり建物を建て終わり、中があまりにスッカスカだったため始めた内装工事。
思いのほか苦戦しました。
地上階は神殿全体で見ると重要度が低い箇所なので、外部の人専用の施設に仕上げています。
復元されたとはいえ、古代の遺跡という設定上あまり色々物があっても変だし、かといって石だけを積み上げても説得力がないしで非常に塩梅が難しかった部分でした。
神殿がモデルなのでそれっぽく部屋を作りましたが、宗教色が全面に出るのも避けたかったところ。
結果はバッチリ出てしまいましたが。
俺自身古代の神殿なんかが大好きなので、その点は仕方ありません。
庭園も最初は何もなく寂しかったのですが、小径を作り、草地と石レンガのコントラストを出すことによって多少は賑やかになりました。
ちなみに巨木は、一回トウヒを成長させ、葉をすべて取り、てっぺんに土を乗せそこからさらにトウヒを植えるという手法で巨木にしています。
コーラスフルーツはエンドロッドの確保のためだけに植えたのですが、後出しでエンダーマンとの関わりを匂わせるようなものになり結果オーライでした。
何かと苦戦した地上階です。


・地下墓所


さて、庭園に作られている石レンガのドームの中だが、普段は一般公開はされていない。
しかし今回特別に入場を許可されたため、上層階に行く前に紹介しよう。本邦初公開である。

ドームの入口。ここもまた模様入り石レンガである


ドームの下はネザーレンガで構成されており、すぐにここが異質な場所だと分かるようになっている。
入り口からして魂のランタンが下がっており、そこはかとない不気味ささえ感じる。
ちなみに遺跡全体で見てもランタンが使用されているのはここだけであり、かなり錆びて朽ちかけている。

階段を下りていく。
実際はそうないはずなのに、奈落の底まで下るのではないかという錯覚さえ起こさせるほど、ネザーレンガと最低限備え付けられた魂のランタンの光は重々しい。


コラム:古代エンドとネザー


古代において、エンドとネザーはどのような関係だったのだろうか。
現在、我々の暮らす地上、地獄とも称される恐ろしいネザー、そして虚無と空虚が支配するエンドの三つの次元は、そうやすやすと行き来できるものではない。
しかるべき備えをし、信頼できるガイド役を立て、そしてかのスティーブ氏とそのパートナーアレックス女史が開拓してくれたごく一部の安全な箇所のみならば、なんとか到達できる程度だ。
そのような有り様であるのに、神殿には地上やネザーにしかない物資がふんだんに用いられている。
もちろん、古代エンドにもそれらを持ち帰る事のできる強く勇敢な人物はいただろう。
しかし、だからと言って危険を犯してまで別次元の物を用いるだろうか?
ましてや神殿である。要塞などではないのだ。地上はともかくネザーまで遠征できる屈強な戦士が多くいたとは思えない。
長年の研究の結果、私はこう結論づけた。
古代においてネザーは平和な地だった、と。
ここでは詳しくは語らないが、太古の昔ネザーが今よりもっと住みやすく、別次元と交流していたという痕跡も見つかっている。
詳しくは私の著書を見てもらいたい。
よって古代エンド人は極めて平和的に、恐らくは商業的に別次元と交流していたと思われる。
古代エンドの歴史を解明することは、それすなわち古代ネザーの謎を解くことにつながるのだ。
いつの日か、かつてのようにエンドやネザーとも友好的な関係を結びたいものである。

寄稿  歴史研究家 ハン・ホォン氏


ある程度歩いたところに、二体の、剣を捧げるように構えたウィザースケルトンを模した像が立っている。番人としての役割だろう。

威圧すら感じる古びた像


像の間、そして『冖』の形をした極めて珍しい泣く黒曜石の下をくぐりさらに階段を下ると、そこは地下墓所になっている。

整然と並べられた棺の列に圧倒される。
今でも古代の人々がそのままに眠っているのだ。

墓所入り口の左右には炎が燃えている。
案内によると、葬るに値しなかった人をそれで火に葬し、ついで横の水路から奈落へと還していたらしい。

奈落へ還る水路


それもまた古代エンド人の死生観なのだ。

中央奥には場違いな草地があり、背の高い花が植えられている。
真ん中に安置された棺には豪華な副葬品も入れられており、とある大祭司のものだと説明された。

数え切れない程の棺


ちなみに、通貨として使われていたはずの金塊が副葬品にないのは興味深い。

奥の列の棺には副葬品と共に、剣や弓などが入れられている。
死後の世界で大祭司を守る役割を与えられた高貴な戦士だったのだろうか。

左右の壁に神殿のシンボル『冖』が貴重なネザークォーツで描かれている。
強い力で守られ、安らかに眠って欲しいとの願いが込められているのだろう。

私は墓所を後にし階段を上がった。
古代エンド人よ、どうか安らかに。


建築こぼれ話~地下墓所編~


そもそも神殿なのに墓所とはこれいかに?
と思わないでもない地下墓所。
ただ地下に何か作ろうと思ったとき、カタコームが思い浮かんだのでこうなりました。
かつて建築した城の墓所がモデルになっていますが、そちらとは違い不特定多数の人が見るサーバーなので十字架は廃しています。
その代わりにテキトーに作ったワかんむりの形が、後に神殿のシンボルになるとは……。
重々しい雰囲気を出すために選んだ建材はネザーレンガ。
これの調達がまた大変で、エンドとネザーを行き来してはネザーレックを掘ってかまどに入れ数時間放置……を繰り返していました。
しかし途中で、これ要塞解体した方が早いんじゃね?と思い付き、問題にならない程度に要塞の柱を解体して材料にしました。
同時にウィザースケルトン狩りも行い、幸運にも短時間で必要な数の頭をゲットできました。
明かりのため灯した炎や流した水路に火葬という理由付けができ満足しています。
ーー時々死者の魂が光っているという噂もある地下墓所。
真相はイカに?
書いたものを読み返して気付いたんですが、棺に入ってるのがエンダーマンであるはずがない。
すなわち遺跡を建造したのがエンダーマンであるはずがないのは発掘段階で分かっているはず……。
仮説が色々破綻してますが、まあ雰囲気重視ということで。
最初は確かに王族の墓所として構想してたんですが、神殿に王族を葬るかなあ、そもそもエンドは王政だったのか?と考えた結果、祭司達の墓所になりました。
まあ、それはそれで武器の副葬品とかが浮いてますけどね。
一つだけ、他の棺とは中がまったく異なった物があります。
探して、その意味を考察するのもまた一興かと。


・二階~三階


では正面に回って階段を上がり、上層階を回ることにしよう。

大階段。コケむしてはいるが崩れてはない


階段を上がって最初に到達する踊り場は『労働の踊り場』という名前が付けられている。

比較的狭い『労働の踊り場』


ところがここは単なる踊り場で、左右に見られる二階庭園部分に出られる足場すらない。

踊り場横の庭園はどの階も美しく整えられていた


なぜこのような名前が付けられているのかは後に分かるので、今はさらに上へ上がるとしよう。
さて、三階の踊り場は『煙の踊り場』と名付けられている。

『煙の踊り場』より


ここは構造が変化し、左右に階段が分かれ、中央から神殿の三階に入ることができるようになっている。

三階庭園横。祭壇か


では三階を回ることにしよう。

三階踊り場裏。流れ落ちる水が印象的


まず正面にはトウヒの巨大な神木が見える。神殿は三階までが吹き抜けの構造になっており、それゆえこの巨木が何千年も立っていられるのだ。
そして吹き抜けの周りにはいろいろな植物が植えられている。祭司たちは庭園の手入れのほかに、ここ三階で植物の栽培を行っていたようだ。


栽培されていた植物


吹き抜けをぐるっと回ると細めの塔と小さな祭壇がある。ここで栽培した植物を調合し、燃やして煙を香にして捧げていたようだ。

特別に分けられたと思われる花


ここへ入る踊り場が『煙の踊り場』と名付けられた由縁である。
三階最奥には倉庫がある。
神殿に使われた建材や採取された植物、貴重な鉱物などが収められている。

神殿の倉庫跡。様々な物が収められている


祭司が持ち込んだ物もあれば巡礼者が寄進した物、中には勇敢な戦士が危険を冒して持ち帰った物もあるだろう。
様々な思いが詰まっていると思うと、自然と頭が下がるのだった。

倉庫がある箇所を地上から


踊り場付近まで戻り、四階に上がる階段の下辺り、ここに二階へ下る階段が作られている。

神殿内部の階段


極めて不思議な構造だが、二階が何のために用いられていたかを見れば納得がいくだろう。
では二階を回ることにしよう。

ここは大きく分けて二つの区画がある。
階段正面の作業場と、二階の大部分を占める祭司達の居住区である。
作業場は大まかに三つの区画に分かれており、そのうち石切場と染色場が確認されているが、もうひとつは何に使用されていたか分かっていない。

用途不明の区画。金床があるが……


神殿を形作る石レンガの多くはこの石切場で作られていたようだ。
加工前の石も発掘されている。残念ながら産地は特定されていない。現在は当時の再現として丸石が積まれている。

石切場跡。かまども備えられている


染色場では装飾用の旗を染めていたようだが、発掘段階ですべて朽ちてしまっており、大釜から採取された残留物から再現された染料で染められた旗が再現され壁にかけられている。

染色場跡。大釜の中には残留物が残っていた


ちなみに染色場には数千年の間水が枯れることなく流れ続けている。
澄み切ったそれを用いると鮮やかな発色になるとのことである。
祭司や一流の職人達が腕をふるったであろうこの場所も、今では悠久の時に飲み込まれ、グロウベリーのツタが生い茂っている。

祭司達の居住区へと足を向けよう。

中央の吹き抜けのすぐ近くには本棚が置かれている。もちろんもともとあった物は朽ち果てていたので、再現されたものだという。
この場所でお互いの知識を披露しあったり、語り合ったりしたのだろう。


祭司達の憩いの場でもあったのかも知れない


その横は祭司達の沐浴場がある。
儀式の前に身を清めることもあれば、単に日常の入浴にも用いられたようだ。

沐浴漕。決して広くはない


流れる水に手を浸してみるととても冷たく、入浴はかなり大変だっただろうと思われる。
そのすぐ外はバルコニーになっており、赤砂が一段高い場所に敷かれている。

小規模な祈祷場か


ここで祈祷をしていたのだろうと説明を受けた。外周に敷き詰められていたこともあり、今いる場所から高みに目を向けるための象徴なのであろう。
沐浴場の後ろは食堂になっていたようだ。大人数が食事をとれるテーブルが目を引く。
そしてかなりの数のかまどが設置されている。いくつかは崩れ去ってしまっているが、いまだに使えそうなのも数個見受けられる。

食堂はかなり広く作られている


つくづくこの遺跡に使用されている石材は頑丈であると思い知る。
かまどの中には前述したコーラスフルーツの残骸が見つかっている。
古代エンド人の主食は不明だが、少なくともコーラスフルーツは焼いて食していたようだ。


コラム:古代エンド人の食事


長い間エンドに住まう者達の食物は謎だった。
ご存知の通り、エンドは不毛な地である。
最近になって開拓者スティーブ氏によってコーラスフルーツが発見されるまで、エンドには一切の植物がないと思われていた。
もっともコーラスフルーツが食用できるとはいえ、それはとても腹にたまるようなものではないし、たまったところでそればかりでは栄養が偏ってしまうだろう。
エンダーマンやエンダードラゴンが栄養を必要とするのか、そもそも食事が必要なのかは定かではないが、古代に存在していた我々に近い人々ならば食事は確実に必要だっただろう。
遺跡の庭園には植物が生えているが、これはエンド産ではないし、食用にしていた証拠も見つからない。
生け贄の動物や煙にしていた草も同様である。
つまりコーラスフルーツ以外に彼らがなにを食していたのか不明なのだ。
我々とはまったく異なる体の構造をしていたとも考えられるが、それにしては遺跡は我々でも使用できるほど古代エンド人の生活様式は現代の地上と似通いすぎている。
しかし他の食物を取っていた形跡が発見されない以上、彼等はそれを常食としていたのだろう。
そして、長い期間、それを食べ続けた。

私は一つ、恐ろしい仮説を立てた。
あなたはコーラスフルーツを食したことはあるだろうか。
咀嚼し飲み込んだ瞬間、めまいと共に体が数メートルワープしているのだ。
なぜこのようになるのかはまったく解明されていない。
さて、エンダーマンはワープを駆使しどこにでも現れる。
エンドには古代からコーラスフルーツが生えている。
古代エンド人はコーラスフルーツを食用にしていた。
こうは考えられないだろうか。
古代エンド人は滅びたわけではなく、その形をおぞましい怪物に変えて、今も生きているのではないか、と。

寄稿  作家 ハンナ・ナガー氏


二階の最奥部には寝所がある。
エンドストーンレンガで作られた寝台が並んでおり、奥には石レンガ製の棚も作り付けられている。
左右併せてかなりの人数が住み込んでいたようだ。

寝所跡。エンドストーンの家具は珍しい


寝所には空中に浮かぶ橋を渡らなければならないことから、眠りにつくということは特別視されていたのかも知れない。

寝所へと渡る橋


祭司達や職人達が生活し、腕を振るった二階にある踊り場が『労働』と名付けられた理由が理解できた。

それではさらに上、4階に上がるとしよう。


建築こぼれ話~二階・三階編~

二階に至る階段が変な構造になったのは、踊り場の構造があまりに単調で何か変化をつけようと思い、四階への階段を二股にしてしまったための産物です。
おかげである程度出来上がった後の内装工事は非常にめんどくさく、特に左右対称を徹底すべく行き来しているときの手間はすさまじいものでした。
内装に関しては、内部の人のための施設もあるべきというアドバイスから、かつて人がここに確かに存在していたんだということを強く意識するように作っています。
三階の内装に関しては本当に何も思いつかず、実は適当に雑草を植えただけだったりするので、深い意味はまったくありません。
この旅行者が説明を無理矢理作ってくれてよかったです。
三階奥の倉庫は一番最後に急ごしらえでできた物でした。
神殿を後ろから見たときあまりにものっぺりしており、何か凹凸をつけて説得力を増したいと思い建築した部分です。
基本的に建築物には破損したときのため建材を入れる倉庫を作るのですが、神殿に倉庫を作るスペースや雰囲気が合わずどうしようかと思っていたので、結果的にうまくハマってくれました。


・四階~五階~屋上

再び大階段を上がり四階へ。
四階はスペースとしては小さいが、神殿としてみると重要な箇所になっている。

四階踊り場の外は魂の炎が灯る


奥の両サイドは大祭司の居住空間として特別に分けられていたらしく、彼ら高位の人物は普通の祭司達とは完全に生活空間が違ったようだ。

様々な調度品が揃う大祭司の部屋


狭いが他の階と比べても様々な設備が揃っていたようで、その位にふさわしい生活をしていたと思われる。
四階の庭園は、他の庭園と異なり木は植えられていない。
枯れてなくなってしまったわけではなく、元からこうなのだろう。色とりどりの美しい花が咲いており、特によく整えられていたことが分かる。
ちなみにここ四階の踊り場は『祭司』と名付けられている。

『祭司の踊り場』と庭園


次は五階である。

五階階段横には水路がある


ここから上は特に神聖な場所だったようで、他の区画とはだいぶ様相が異なっている。
完全に建物の内部になっており、高い天井に圧倒される。

空間を大きく取っている神殿内部


入り口をくぐると、まずは巨大な祭壇が目に入る。
炎が太古の昔より燃えさかっており、特に選り分けられた動物が捧げられていたのだろう。

ネザークォーツで囲まれた祭壇


入り口の左右には水が流れ落ちている。

水路は何かを清めるためだったのかも知れない


屋上から流れるそれは、庭園すべての堀に注がれるようになっていて、この神殿すべての植物を今もなお潤している。
その一部は祭司達の沐浴にも用いられていたようだ。
決して豊富とは言えないエンドの水は、特に神聖な物だったのだろう。

両手手前はバルコニーになっている。
ここが要塞なら見張り場といったところだが、実際にどう運用されていたのかは判然としない。

バルコニーで現在も燃え続ける炎


火をもって神殿の威光をさらに高めようとしていたのかも知れない。

さて、最奥部、壁の向こうに向かうことにしよう。

階段下には用途不明の空間がある


壁の後ろには階段があり、ここから屋上である『至聖所』に登ることができる。

屋上への階段


階段部屋には特別な沐浴漕があり、至聖所に行く前に念入りに体を清めていたようである。
許可を得て手を浸すと、とても澄んだ冷たさが感じられた。

美しいネザークォーツの沐浴漕


今から至聖所へおもむくにあたり、身が引き締まるような思いがする。

長い階段をあがると、一気に視界が開けた。
どこまでも続くエンドの暗闇の空と至聖所の草地の対比が、非現実的な気分にさせてくれる。

エンドの暗い空も至聖所からは神聖に感じる


両サイドには神殿内のすべての源流たる水が湧き出しており、シーランタンが神秘的に彩っている。
いったいどこから、どのようにして汲み上げているのか、水の出所についてはいまだに分かっていない。

流れ続ける水は神殿を見守っていた


神殿すべてを解体すれば分かるかも知れないが、決して許可されないだろうし、何より私もそれを望まない。
謎のままでいいではないか。神秘の大神殿のままが、この遺跡にはふさわしい。

四方の角には、手すりのように光を放つ棒が据え付けられている。
私は初めて見るのだが、エンドシティに存在するエンドロッドというものであると説明を受けた。

エンドロッドが輝く


なんと神聖な輝きだろうか。

そして、いよいよこの至聖所、いや、大神殿の中心地たる場所に足を踏み入れよう。

中心地の横にはまたも模様入り石レンガが


そこは小さな部屋になっており、中央の高いところには箱が、その両サイドには恭しく祈りを捧げているような像が立っている。

神殿の中心地


この場所だけは、発見当時から修復作業などは行っていないにも関わらず、箱も像もまったく古びた様子がない。常識では考えられないことである。
発見時箱の中にはボロボロに朽ち果てた紙が入っていたらしいが、今はその再現なのか、真新しい真っ白な紙が一枚入っているだけである。
朽ち果てた紙にはいったい何が書いてあったのだろう。
そして、箱も像も古びた様子はまったくないのに、なぜ紙だけが朽ち果ててしまったのだろう。
大神殿遺跡のもっとも重要な場所は、もっとも謎が多い場所であったのだ。

眼下を望む



コラム:石の耐久性と謎について


初めて遺跡の石レンガのスケッチを見たときは、特に何も感じなかったね。
皆さんもよく知ってるとおり、石レンガも模様入り石レンガも日常的によく見かけるものだし、何より僕も普段から作ってる。
ましてや古代の遺跡だ、それに使われてるのが石レンガって聞いたから、さぞ質のよろしくない物だと思ってたよ。
けど実際に遺跡に案内されて意見を求められたとき、言葉を失った。
僕や現代の石工がどんなに頑張っても、あんなレンガは作れやしない。
ここまで読んでくれた人なら気付いてるだろうけど、崩れている箇所がまったくと言っていいほどないんだ。
コケやツタ、グロウベリーなんかはよく生えてしまっているけれど、強度は今も保っている。
二階には石切場があったみたいだけど、当時の石工に弟子入りしたいぐらいだったね。
考古学の先生が言ってたんだけど、遺跡に使われた材料の石は分かってないらしいんだ。
ただエンドには、うちのお得意様のスティーブさんですら見つけてないぐらいだから、石は存在しないんだろう。
ってことは、この世界のどこかに、ひょっとしたら遺跡に使われた石と切り出した場所が見つかるかも知れないんだ。
これを読んでる君がもし冒険家なら、そして古代の石切場を見つけたなら、その時はぜひ教えてほしい。
そうそう、謎について一つだけ。
気付いてたかな?
『至聖所』の石レンガには、いっさいコケが生えてないんだ。
特別な石なのか、それとも超常的な力による物か。
僕としては、やっぱり石の成分のせいだと思うけどね。

寄稿  石工 イシキ・リダイ氏


建築こぼれ話~四階・五階・屋上編~


四階については……特に言うことがありません。
何を作ろうとかが思いつかず、適当に色々並べたというのが正直なところ。
内装については二階と三階で力尽きていました。
ただここ四階に隠し部屋があるとかないとか……?
五階の大部屋ですが、実はダメージ加工はここから始まりました。
壁と床にランダムで穴をあけ、ひび割れとコケ石レンガを適度に散りばめていく。
あまりの作業量に、完成はいったいいつになることやらとゾッとしたことを覚えています。
世界観的には、やはり階段を上った一番上なので、特別感ある内装にしようと思っていました。
最初は神像を建てようかとも思いましたが、デザインが思いつかないのと、なにより宗教色が具体的になりすぎるのでやめました。
外壁を適当に積み上げたせいでバルコニーができたり、天井が高すぎて持て余したりと、行き当たりばったりな部分がよくでてる場所でもあります。
屋上は庭園にしようかと悩みましたが、結局かなりシンプルにまとめています。当初は柵すらつけない予定でした。
雑草やコケがないのは、その方が神秘的に見えるかと思ったからですが、さりげなさすぎですね。
水は最初から、建物の一番上から流す予定でした。水の出所がハッキリしないのは建築センスがないからという、悲しい理由からです。
中央の箱のモデルは、失われたアークです。
思わせぶりに紙が入っていますが、設定は特になにも思いついていません。
センスはともかく、エンドにこれだけの高層建築ができたという象徴の場所なので、屋上は気に入っています。


・終わりに


隅々まで遺跡を見学し、帰路につくことにする。
疲労感はあったが、それでも驚きと興奮に満ちた時間であったため、疲れすら心地いい。
最後に少しだけ時間をもらい、改めてこの途方もない神殿の外周を回った。

遺跡には多くの謎が残されている。
確かに多くの人々が存在し、そしていつしか消えてしまった。
古代になにが起こったか知る由もないが、この遺跡は人を惹きつけてやまない。

あなたもぜひ、この地を訪れて、古代に思いを馳せて欲しい。
その時きっと、あなたにだけ見える謎が語りかけてくるだろう。

大神殿遠景

建築こぼれ話~総括~


なにか大型の建築がしたいと始めた今回の建築、フタを開けてみれば、今までマイクラをやってきた中でも類を見ないほど巨大で複雑な物になりました。
沢山の方にご協力いただき、楽しい建築になりました。
3ヶ月ほどかかりましたが、そのかいはあったかと。
なにより、エンドでも、本島以外の場所にこれだけ大がかりなことができるんだという、途方もない遊び方を開拓できたのは嬉しいことでした。
またなにか、大がかりなことができたらいいなと思っています。

(了)

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