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夏土用

夏の土用の食養生

夏土用の食養生には、「丑」の日に、「う」のつく食べもの、黒い食べものを食べるとよいといわれています。
暑さで食欲も落ちがちですから、胃腸に負担がかからないよう、よく噛んで食べることも大事です。

土用うなぎ

夏の土用と言えばウナギの日⁉
江戸時代に、発明家平賀源内さんが、夏に売り上げが落ちるウナギ屋さんに相談されて、「ウ」の付くウナギを丑の日に買ってもらうために「本日、丑の日」と広告したことからなのだとか....。

確かにウナギを食べれば元気が出そうですが、食養生にはウナギでなくても構いません。ウナギの旬は、脂がのっている初秋~冬ですから、秋の土用に食べる方がより美味しいかも...(笑)


土用餅

土用入りの日に、体力・気力をもたらす力餅を、厄除けの力がある赤い小豆の餡子で包んだ、あんころ餅を食べて、無病息災を願う風習です。

土用しじみ

昔から「土用しじみは腹薬」というほど、胃腸を整え、夏バテ防止に役立つといわれています。シジミは、ウナギと同じように、ビタミンB12が多く含まれていて、疲労回復などに効果的で、肝臓に優しいとか二日酔いにも良いなどともいわれますね。
夏の産卵のために身が肥え栄養も蓄えるので7月頃の「土用しじみ」は、実が大きく、美味しい時期。収穫量も多い時期だそうです。

土用卵

土用に産み落とされた卵を「土用卵」と呼びます。
栄養価が高いことから、昔から精が付く食べものとして、土用にも食べられてきました。


土用の丑湯

土用の丑の日に、薬草を入れたお風呂に入り、疲労回復をはかり、無病息災を願います。

江戸時代には、桃の葉を入れた桃湯にすることが多かったようです。
桃の葉には、荘園・解熱に有効なタンニンなどの成分が含まれ、日焼け、あせも、湿疹、虫刺されなど、夏の肌トラブルに効果的だと言われますから、この時期にはピッタリです。
桃の生葉30~40枚を布袋に入れて煮だし、煮汁ごと風呂に入れて使います。
桃の葉エキス入りの入浴剤や化粧水を使ってみるのもいいですね。

桃湯 肌トラブルにも
桃の葉

他には、柿の葉も同じように使うことができます。
お手軽さで言えば、緑茶もおすすめ。お茶を入れた後のお茶ガラを布袋やストッキングに入れてお風呂に投入するだけの手軽さです。カテキンやビタミンが肌に優しいお風呂です。


土用灸

土用にお灸をすると、病気の回復や夏バテ解消に効果があると考えられていました。
「焙烙灸」を行う寺院もあります。
江戸時代に、武将が兜の上からお灸をすえ夏バテを防いだことが始まりとされ、夏に頭痛を引き起こす鬼を熱とまじないで追い出し、暑気封じをするものです。「焙烙(ほうろく)」と呼ばれる素焼きの皿の上にお灸をすえて頭に乗せる「焙烙灸」が各地の寺院で暑気払いとして行われます。
もともと修行として行われていたそうで、結構熱くなるそうですが、頭頂部にある百会のツボは多くの経絡が交わり、頭痛・肩こり・目の疲れのほか、自律神経の働きも整えてくれるそうです。


土用の虫干し

梅雨のじめじめした時期が過ぎ、晴れた日が続いて空気が乾燥してきたら、衣類、書物、調度品などを風通しの良い場所で、風にあてて陰干しをして、害虫やカビから守ります。
エアコンや除湿器で、こういった手間は不要になりましたが、クローゼットや靴箱の扉を開けて、日常では使う機会の少ない礼服やバッグや靴などに扇風機の風を当てたり、防虫剤や除湿剤を取り換える機会にすると、いざという時に慌てずに済みますし、気分もさっぱりしよいものです。

田んぼの土用干し(中干し)

田植えをした田んぼは、土用の時期に1~2週間ほど水を抜き、地表にひびが入るほど土を乾かします。厳しい環境を与えることで丈夫な稲が残り、根がしっかりと張り、台風にも耐える丈夫な稲穂となって、豊かな収穫をもたらします。また、土が固くなるので刈り取りの作業もしやすくなるそうです。

梅の土用干し

梅干しづくりに欠かせないのが土用干し。塩漬けした梅をざるに並べて、4日程度強い太陽の光で天日干します。紫外線によって殺菌され、水分が抜けて保存性が高くなり、うま味が出てより美味しくなります。


暑中見舞い

夏土用は、暑さが厳しい「暑中」の時期なので、お世話になった方や親しい方へ感謝の気持ちを伝え、体調を気遣い、元気で過ごされるように願いも込めてご挨拶を送りましょう。
お見舞いなので、喪中でも四十九日を過ぎていればお送りして構いません。
このような季節の風習を利用して思いやりの気持ちをお伝えするのも良いことだと思います。


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