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#132 新参者(2010)-容疑者たちの人情エピソードが篤い!

TBS 紹介文

東野圭吾の本格ミステリーを阿部寛主演でドラマ化! 原作の「新参者」は、東野圭吾が10年以上に渡ってその成長を描き続け、ファンの中では絶大な人気を誇る“加賀恭一郎シリーズ”の8作目。日本橋署に赴任してきた“新参者”の加賀刑事が人形町を舞台に殺人事件に挑む。彼の捜査線上に浮かんだ容疑者は、なんと人形町商店街の人々全員!? 容疑者を突き止めるべく、加賀は街の“新参者”として複雑に入り組んだ商店街の人間関係を解き明かしていく。そして、最後に浮かび上がった真犯人とは…!? ミステリーとしてのハラハラ感と、人の心の奥底に突き刺さるヒューマンドラマとしての温かさ。この相反する二つの要素を、阿部寛が絶妙のコントラストで引き出していく。

これはミステリーなのか!?

全10話の中で事件と直接かかわる回は3話程度ではなかったでしょうか?初回、三井峯子(原田美枝子)が何者かに殺害される。峯子は夫(三浦友和)と別れ、知り合いのいない小伝馬町に移り、翻訳家を志して、仙人のような暮らしをしているため、殺害される動機が見当たらない。果たして犯人は誰なのか?日本橋署に異動してきた加賀恭一郎が難事件に挑むのだが…

一挙に動き出すのは第9話と最終話

終盤になって、誠実な金庫番・岸田要作(笹野高志)と胡散臭すぎるその息子・岸田克哉(速水もこみち)にスポットが当たり、事件の解決に向け、人情ドラマが急展開する。では、第2話から8話まではいったい何だったのか?

中盤の容疑者のエピソードが深すぎる!

2話以降は「あれ?事件はどうなった?」くらいの感じで進む。被害者とわずかにかかわりのある人形町の住民たちが捜査線上に上がるが、ドラマの半分を超えたあたりで彼らの容疑は晴れ、残り時間をたっぷりかけて、彼らの抱える深い人情エピソードが描かれる。この優しさ、温かさが「新参者」の最大の魅力ではないだろうか。

エピに絡む熱い人々

第2話 料亭の小僧   夏川結衣、石黒英雄、寺島進
第3話 瀬戸物屋の娘  倍賞美津子、大倉孝二、柴本幸
第4話 時計屋の犬   原田芳雄、波瑠、どん吉(犬)
第5話 洋菓子屋の店員 紺野まひろ、綾戸智恵
第6話 翻訳家の友   草刈民代、谷原章介
第7話 刑事の息子   泉谷しげる、早乙女太一、向井理
第8話 清掃会社の社長 三浦友和、マイコ、向井理

どれも良かったが、渋すぎる時計屋(原田芳雄)、息子を失った過去を引きずる刑事(泉谷しげる)、清掃会社の社長(三浦友和)の不倫相手と勘違いされていた秘書(マイコ)の回が好きだった。

存在感の塊・原田芳雄
容疑者を殴ってクビになる刑事・泉谷しげる

第8話で燃え尽きた私

社長(三浦友和)の不倫相手と勘違いされていた秘書(マイコ)が実は、父親がかつて愛していた女性の娘であり、息子(向井理)と腹違いの姉だったというくだりに衝撃を受けた。父への怒りを爆発させ続ける向井理、すべてを悟ったうえで無表情を貫くマイコ、真実を伝えられない苦悩に苛まれる三浦友和。この3人のコントラストが秀逸で、主役の阿部寛は完全に食われていたように思う。

ある意味、このドラマのハイライトシーン

難しすぎる最終回

9話から10話(最終回)にかけての謎解きの展開が速すぎて、いまだに消化しきれていない。最後に母親(原田美枝子)の遺書的な翻訳文が見つかるところは感動的だが、それまでの回とのコントラストが強すぎて、戸惑った。この「最終回、一挙展開パターン」は、「テセウスの船」「マイファミリー」「天国と地獄」等、昨今のTBS日曜劇場あるある。





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