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会社の名刺を個人でいくら配っても、意味はない

数を稼ぐような名刺交換は意味がない

セミナーやイベントでの交流会などで、名刺を差し出すことがあると思います。
仕事上であったわけではなくあくまで個人として参加したイベントで、会社の名刺を出すということについてお話ししていきます。

まだまだ日本は名刺を大切にする文化があり、たとえ個人で参加したイベントであっても、自分がどこの会社の所属で、どんな名刺を持っているかで判断されることが一般的です。

特にどんな人が来ているかわからない一般向けのビジネスセミナーであれば、たくさんの人を見分けるためにひとまず名刺をもらうということが起こります。

最初のうちはむやみやたらに名刺を配ってとにかく社外の知り合いを増やそうと考えるでしょう。

しかし、結論から言えば、数を稼ぐような名刺交換は意味がありません

ここでは僕自身の経験をもとに、若手のうちにやっておくべき名刺交換の考え方をお話しします。


僕の会社員時代の経験

僕自身も会社員になってからたくさん残したビジネス交流会に参加して名刺を配りましたし、そこで出会った人からたくさんの名刺をいただきました。

特に出版社で働いていると、出版記念セミナーのあとに参加者の交流会が設けられます。

自社主催のセミナー以外にも、他社の主催セミナーに参加することが多々あり、多い時は毎週どこかしらのセミナーで、本好きの人やビジネス書好きの人、また同業の編集者や出版業界関連会社の人と名刺交換をしていたと思います。

社会人一年目の時は行けば行くほど名刺が増えていくため、集まった名刺を見るだけで満足でしたが、次第に「この名刺、保存していても意味がないな」と感じるようになりました。

その時は流れで交換してしまいますが、別に仕事で取引するわけでもないなと気づきます。
また、次から次へと話す暇もなく名詞だけを交換しているわけですから、相手がどんな人なのか覚えていません。

さらに一年くらい経つと、どのイベントで名刺交換した人なのか、どんな顔だったかすらもう覚えていないのです。
残ったのは、無断で自社のメルマガに登録するマナーのない営業マンからの宣伝メルマガだけでした。人の名刺を断りもなく社内で名簿登録されたというわけです。

数年たっていま振り返ってみて、単なる会社員時代におこなう、こうしたビジネス交流会での誰彼構わない名刺交換は、「全く意味がなかった」と断言できます。


会社の名刺はあなたの名刺ではない

このように、個人で参加したセミナーなど社外の個人活動で行なう名刺交換においては、会社の名刺はあなたの名刺ではありません。

本来配るべきは、会社の名刺とは別に作った個人オリジナルの名刺です

とはいっても大抵の人は個人の名刺を作っていませんから、代わりに会社の名刺を配っているのに過ぎないのです。

若手会社員のうちは、自分の仕事の分野専門領域がまだ定まっていません。営業マンから制作部に移ることもあるでしょうし、それまで流通をやっていた人がある日人事部に移ることもあるでしょう。

また、誰でも知ってる大企業の名刺だからといって、信用できるものではありません。

メディアやウェブ業界で多いのですが、テレビ局など有名な会社の関連会社の、それもクリエイティブ関係ではない部署の人が、「○○テレビで働いています」「○○と仕事しています」などといって名刺を配っていることがあります。
彼らは何の決定権もない下請け会社であることがほとんどですから、「せっかく仲良くなったから、何か仕事で組めそうだ」と淡い期待を抱いても無駄です。後日何かの折で連絡しても、返信すら来ないのが普通です。


信用できるのは個人の名刺

僕自身が起業して2年以上になりますが、信頼できるのはその人自身の名刺だけです。

ここでいうその人自身の名刺というのは、フリーランスであればその人の名前だけが書かれた名刺。
起業家であればその人自身が代表又は役員である会社の名刺です。

大手企業の関連会社などの人が近づいてきても、「単に名刺に大手企業の名前が入っているだけだ」と見破れるようになります。

このように起業するとほとんどの名刺を正しく判断できるようになります。
しかし会社員の時代はなかなかそうはいきません。

相手が本当に信頼にたる人物で、名刺交換してアドレス登録しておく価値のある人なのか。
その判断力をつけるには、むやみやたらに名刺をもらっておくのではなく、「これは」と思う人とだけ関係を構築していくべきです。


自分だけの名刺をどうつくるか?

当然自分がもらうだけではなく相手にも自分のことを伝えないといけないわけですから、必要なのは会社ではない自分個人の名刺です。

個人の名刺を作ると言うと「起業家でもないから、作れない」と感じるかもしれませんが、個人の名刺はじつは簡単に作ることができます。
名刺と言うと気が重いので、メールアドレスが載った個人紹介カードくらいのイメージがいいかもしれません。

個人で名刺を安く作れるサービスはいくつかありますし、多少デザインができる友人がいれば、アドビ社の「イラストレーター」というソフトを持っている可能性が高いですから、数千円払って作ってもらってもいいかもしれません。

・名前
・ニックネーム
・メールアドレス
・SNSのアカウント
・趣味や特技

あたりを表だけに集約しておけば、制作も簡単ですし、印刷費も安くできます。


勝手にメルマガ登録する人は即、関係を断つ

最後に名刺交換について注意したい相手について。


異業種交流会に行くと必ずいるのが、人材業界の営業マンやシステム営業、不動産営業などの若手社員です。

経験上、彼らのほとんどはセミナーで何かを学ぶために来ているのではなく、異業種交流会でとにかくできるだけ名刺を交換し、アドレスをゲットするために来ています。


たくさんのアドレスをゲットしてどうするのかというと、自社の宣伝を行なうためのメールマガジンに登録するのです。

それも一人だけではなく、同じ会社の2〜3人で異業種交流会に参加し、分担して全員分のアドレスをゲットしようとしています。
ゲットした名刺をすぐに社内に持ち帰り、すぐに社内のデータベースに登録します。

社内のデータベースに登録するだけなら問題ありませんが、マナーの悪い会社であれば、すべてのアドレスを無断でメルマガ登録し、数日後から毎日何通もメルマガ配信をおこないます。

メルマガといっても役に立つような内容ではなく、自社商品の宣伝ばかり。
誰でもいいからとにかくメールを送ることで、営業成約させるきっかけにしようとしているのです。

本来、メールアドレスを勝手にメルマガ登録するのはマナー違反です。

個人でやれば信用を失うのですが、実際に行動を決めているのは本人たちではなく、その先輩や上司でしょう。何も知らない新入社員に「これも社会勉強だ」といって強引に名刺を集めさせ、会社全体の保有アドレスを増やしているのです。
個人の信用ではなく「新入社員の誰かがやったこと」というかたちで責任の所在を曖昧にするのですね。

そのため、ある日登録した覚えのないメルマガが来たら、その配信元をたどってみてください。
一週間以内に参加した異業種交流会などで名刺を交換した相手がいないか確認してみてください。

もし無断で配信登録されていることがわかったならば、配信解除を依頼し、さらにその会社全体との関係は断ち切りましょう。

もし次回以降も同様のセミナーで遭遇したら「あなたの会社に、無断でメルマガ登録された。信用がないので、二度と話しかけないでください」ときっぱりと断りましょう。気をつかう必要は一ミリもありません。

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