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2016.7.22 cakes「非常食男子を持つ女性って結構いるらしい」ウラ話〜読書は体験の30%〜

--この記事は「投げ銭記事」です--

こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。

今週のcakesには「非常食男子を持つ女性って結構いるらしい」というお話を書きました。

記事はこちら→「非常食男子を持つ女性って結構いるらしい」

「非常食男子」なんてなんだかなあ。と思ったので、その「なんだかなあ」をなるべくきちんと丁寧に描写し書いてみました。

このお話、記事中にも書いたのですが、書き終えて編集者さんに送りプレビューまで作ってもらったのに、どうにもこうにも腑に落ちず。うーん、うーん、と唸って何度も読み返したり、一晩「寝かせ」てまた読んでみたりして、結局P.S.と書いて追記という形をとることにしました。

で、この追記というスタイル。追記するんだったら元から書き直せよ、記事の中にそれも盛り込めよというツッコミがあります。大変ごもっともだし、私がもし他の人がそうしている記事を読んだらそう思うような気もします。

でも、編集者さんも特にダメ出しをおっしゃいませんでしたので、私は敢えてそのまま追記として公開しました。それには理由があります。

それは、「私の記事作成における葛藤もコンテンツにしたかった」ということ。読んだ方が少しでも私の執筆の追体験ができたら面白いな、と思ったからです。やや実験的で粗削りな試みですけど、まあせっかく書く場所と機会をいただいているのだからと思い、やってみました。完成品だけをお見せするというのも一つの美学ですが、その創造過程および書いている私のかきむしる頭をお見せするというのもまた一興です。

まあ私の記事はいいのですが、あらゆる読書、あらゆる映画鑑賞などは追体験が一番の面白みだと私は思っています。それはなぜか。

結局のところ、我々は似たような生活をしています。特に日本人同士であれば似通っている。朝起きて朝ご飯を食べ、朝シャンをし、トイレをし、髭をそるかメイクをし、通勤中にはヤフーニュースをチェックして、仕事をしてランチして午後も仕事して夜は友達とご飯に行くか一人帰るか美女と冷えたシャンパンを飲み勘違いをするか、です。みんな同じ。

その日常の繰り返しにちょっとした変化を与えてくれる、それが読書や映画なんですね。まるで料理に入れるスパイスのように、それは退屈で平凡な日常にひとさしの色彩を与えてくれます。

例えばノーベル賞を取った科学者がどんな学生時代を歩み、どんな研究者人生を歩み、どんな挫折をし、どんな結婚をしたのか(「大村智物語―ノーベル賞への歩み」)。例えばいま宇宙にいる宇宙飛行士が宇宙で何を考え生活しているのか(大西卓哉google+)。これは自分では絶対に経験できないことですよね。

でもこの「読書は追体験」説には反論もあります。それは、「読書はしょせん読書、実際の体験にはかなわない」というもの。

確かにこれは一理あって、例えば「納豆の作り方」という本を読むよりは納豆工場へ行って作る体験をしたほうがはるかに理解は深まるし、あらゆる旅の本はそれを読むよりも現地に行った方がいい。それは間違いなさそうです。

この反論に対する反駁はふたつあります。一つは「ノーベル賞受賞や宇宙飛行士のように絶対に体験できないものは追体験でしか学べない」というもの。ま、そりゃそうですよね。そしてもう一つは、「追体験でも30%くらいは理解できるし、なによりやってみるハードルが低い」というもの。私は読書などの追体験では、実際の体験の30%ほどだけが理解できると思っています。どれほど恋の話を書いたって恋をしなけりゃわからないし、どれほど手術の執刀が辛いといったって手術室でその空気を吸わなければわからない。まあいいところ30%くらいかな、と思っています。

でも、いまは本もその気になれば「読みたい」と思った20秒後には電子書籍という形で読めますし、ネットにも情報が多数あります。このハードルの低さ。

ですから読書をする時は、なるべく体験不可能な人や環境の話を読むといい。それはあなたに読んでいる時の快楽とともに、読み終えたあとには「想像力」というかけがえのないものを残してくれるのです。

え?時間が無いって?大丈夫ですよ、私だって読んでいるのですから…


この記事は「200円投げ銭記事」にさせていただきます。投げ銭は書くモチベーションに直結します、いつもありがとうございます。投げ銭いただいた方に、「どうしても仕事中眠い時に眠気飛ばしのために医者がすること3つ」をシェアいたします。


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