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【アンジェルマン症候群】③特徴 言語障害

研究途上の、まだまだわかっていないことの多い疾患です。できる限り情報源は説明できるように心がけますが、原則的に、≪この疾患の子を育ててきたなつまま流謎解き&解説≫だったりします。ご了承ください。

アンジェルマン症候群の人たちは、不思議なほど話すことができません。

【不思議なほど】と書いたのは、状況も人に言われていることもとってもよく理解していると思うのに、自ら言葉を発するとなるとほとんど【有意語】とならないからです。

意味のある言葉はほとんど話せず、あっても【発声】、あー!あばば!まんまんまん、、、といった【喃語】のような言葉です。

私たちをもののある場所に連れて行って、こうして欲しいと頼むことや、ジェスチャー言語などの獲得は成長と共にとても上手になりますし、我々が普通に話す言語でごく普通に話しかけたことに対して従ってくれるなどの理解力もとても優れています。(気が向かなければ当然してくれませんが😅)

私の単なる仮説ですが、アンジェルマン症候群の人たちは、歩行障害や振戦といった運動機能障害があるように、咽頭部・喉頭部・口腔内・舌の運動機能が低下していて【話すという動作】に繋がりにくいのではないかと思います。

他にも、人によって差は大きいですが、飲み込みにくさがあったり、頻繁に嘔吐したり、舌が出ていてよだれが多いなどの症状も伴います。
それも、首から上の運動機能が大きく関係しているのでは?と思うのです。

重度な知的障害とはいうものの、理解力は相当ありそうで、知っていることやできることはかなりあり、それゆえ親たちは、発達年齢が2歳程度とは考えにくかったりします。

それは、発語こそないものの【言葉は獲得している】と思えるからです。

でも現実問題、彼ら彼女らは有意語をほとんど持ちませんので、発達検査では言語の部分で大きく遅れを取り、結果発達年齢が大幅に下がってしまいます。

とはいえ、娘たちは【言葉】をほぼ理解しています。

我々が話している内容に聞き耳を立てていますし、誰かが自分のことを話しているかどうか、ちゃんと知っています。

自分がその場にいるのに聞こえていないように振る舞われたりすることに敏感ですし、自分にきちんと説明がなされていない事柄であれば納得できる説明を求めて怪訝な顔をし、時には手出し足出しで拒否的な表現をします。

例えば、いつも通っている施設じゃないところに行く、トイレに行く、お風呂に入る、今日はどこにも行かない、誰も来ない、泊まりに行く、今日は帰ってくる、などなど。細かいことまで全部です。

慣れない支援者さんであれば、ご自分がきちんと説明できていないことにお気づきにならず、娘の手出し足出しの行動障害にばかり着目して、娘が問題行動をしていると受け取られてしまうこともしばしばです。

でも、本人の気持ちを想像してみれば、《ちゃんと話してくれなかったら意味がわからないから嫌》と、表現して当たり前ですよね?

『私のことなのに私をのけものにしないでよ!』と彼女は叫んでいるのです。


実は、挨拶ひとつも面白いコミュニケーションになります。
わからない訳じゃないのですし発声できるのですから、『おはよう❣️』とただ一方的に声をかけるだけじゃなくて私は『おはよう言うて』と言います。
すると彼女は『あばば!』とおはようを言葉で表現しようとしてくれます。

ちょっとしたことなんですけどこれが実はとても大事で、【『発声』というコミュニケーシツールを私は持っている】と娘に知っておいて欲しいのです。

そうすることで、いきなり手を出しつねったり叩いたり、時に自分の頭を壁や床にぶつけたりという最も激しい自傷他害行動に出ることなく、まずは【声】と言うツールで自分の思いを表現して欲しいというささやかな願いを込めています。

更に、幼い頃は多動すぎて集中力がなさすぎたために諦めた絵カードやタブレットツール。
最近は少しだけ座って集中できるようにもなってきたので、タブレットなどのコミュニケーションアプリも再チャレンジしてみても良いかもしれません。


そんなこんなで、希望を持って、少し分かりにくいコミュニケーションを繰り返すこと23年。

今日も娘とは、

『おはよう❣️
『あばばば!』

から1日が始まり、

『お母さん、今日仕事ね。行ってきます❣️なっちゃんお父さんとご飯食べてね』
『あばば!』(ちぎれそうなほど手を振ってくれる)

という双方向のコミュニケーションを楽しんでいます。

双方向のコミュニケーションは、例え発語がなくてもこんなにも豊かに可能です。

私は彼女を授からなかったら、そのことを知らずに一生を終えていたかもしれません。

例え相手がどなたであってもコミュニケーションを取る努力をすることは決して辛いことではないし、ドキドキはしても苦手ではないし、失敗したら誠意をもってやり直せばいいし、寄り添いたいんだという気持ちでさえあればなんとかなるということを彼女は教えてくれました。

とは言え、気持ちを言語化するということは、今私がnoteに言葉を紡ぐことでたくさんの方と繋がることができ、自分を内観できていることを思うととても有難いことですし、言語化できないことは計り知れない不自由さでしょう。

娘のように【わかっているのに有意語を一言も持たない人】は多分本人はとってもめんどくさいな、伝わらないな、と思っていることでしょう。

でも、だからといって人生でしたいことを諦めるしかなかったり、彼女の選択が狭まることがないように、我々が理解しようとし続けたいと思いますし、そしてもっと多くの方にわかっていただけるよう、せっかく言語ツールを持ち得た私が少しでも広めていきたいのです。



最後までお読みくださりありがとうございました。

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地域の保健室をしつつフリーランスとしてお仕事している笑顔大好きな【なつまま】が、重度障害であるアンジェルマン症候群のキュートな娘との豊かな生活と、医療や福祉について思うこと、日々の小さな気づき・感動などを綴っております。

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