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流した汗と、ふりしぼった知恵だけの結果しか出ない。

「『戸別訪問は3万軒、辻説法は5万回』、

2万人と握手をして廻れ、

靴が何足も履き潰されるほどに雨の日も風の日もやれ。

聴衆の数で手抜きはするな。

流した汗と、ふりしぼった知恵だけの結果しか出ない。」

田中角栄



田中角栄氏については、以前も述べた。

金権政治の権化のようにいわれるが、そうは思わない。

最終的には、アメリカにはめられた形になったが、

日本的な、「心」がわかる人で、共感を受ける一人だ。


政治記者、政治評論家が口をそろえて、ぬきんでた政治家に挙げるのが、

吉田茂氏と田中角栄氏。


冒頭の言葉は、好きな言葉である。

人間は、「流した汗の分だけしか成長しない」と思う。


特に、今のリーダーは、できるだけ格好良く、偉くなりたいと思う人が多い。

すでに、それで権力側になった人もいる。

端的にわかるのが、「口で言うことと、やることが違う」ことである。

非常に格好いいことを言うが、自分では汗をかかない。



かつてこんなことがあった。


(例1)
何者かが、公共の備品を壊して立ち去った。
「すみません!●●を壊されました!」と報告に若い者が来る。
何もしない。
仕方がないので、警察に通報。
警察が来る。
若いリーダーは、何もしない。
仕方がないので、警察に対応、被害状況等を説明、現場検証に立ち会う。
その間に、若いリーダーは、横で見たことを、あちこちへ電話を始める。
僕は、一切終了後、状況報告を上部へ報告する。
「それ、●●さんから聞きました」

(例2)
不審者が敷地内に、ごみを投げ込んで行ったらしい。
「不審者がごみを投げ入れていきました!」と若い者が報告。
何もしないので、警察に通報。
警察が到着、現場検証。
なにもしないので警察対応する。
どこからともなく、若いリーダーが現れて、遠巻きに見ている。
決して自分で問題解決しようとしない。
ある程度、話ができると、遠巻きの若いリーダーは、あちこちに電話。
僕は、一切終了後、事実関係を上部に報告する。
「それ、●●さんから報告ありました」

(例3)
敷地内で、誰かが倒れたらしい。
若いリーダーが「救急車、救急車!」と叫んでいる。
自分も携帯電話を持っているのに、救急車の手配を、
事情のわからない、下の者に言っているので、仕方がないので
119番をして救急車を手配した。
「君、自分で携帯から通報したらいいじゃないか?」



すべて、実際にあったことです。

何事も経験をつんで成長していくものですが、

自分は何もしないで、上への報告は、我先にあちこちにして、

まるで、自分が問題解決に当たっているように見せかけ、

自分がいい子になり、他人の手柄だけを取ろうとする姿勢が、

いざと言うときには、あからさまになります。



竹下登氏は、

「汗は自分でかきましょう。手柄は人にあげましょう。」

といった。

さらに「そしてそれを忘れましょう」

を付け加えたのが日本テレビの氏家齊一郎氏。


僕は、汗は自分でかいて、手柄は人に上げても構わないが、あまりにも、リーダーと呼ばれる人たちのこの姿勢にはいただけない。


それが普通と思っているのが怖い。


大変な現場で「汗」をかくことを自分はやらないで、他人にやらせ、

結果だけを、いち早く横取りして、上へ報告。

自分のお手柄にする。


故意にやっているなら、まだ「卑怯なやつ」ですむが、

それが今の人たちは「いたって普通」だと思っている。

そんな人が上に立ったら、みんなは不幸だ。

そもそも、何をやったらいいのか、実戦経験、実務経験がないからこうなる。

どうも最近は後者のようだ。


使い方がわからない「刀」を振り回すので、危なくて仕方がない。

それを教える上司も、同様にしてきているから、全体がわからない。

だから、時として、一般教養があれば「おかしいな」と思うコメントを出すし、おかしなことをする。


最近は、一日中、家でテレビを見ている、おじさん、おばさんは、社会情勢に詳ししい。

下手な、一日中、出歩いている第一線のビジネスパーソンより詳しい。


明日になると、キャスター、コメンテーターの発言が、自分の話になっていますから・・

ピンとはずれのことを言うと、皆、覚めた目で見ていますね。


「話をしたいなら、まず結論を言え。理由は3つに限定しろ。世の中、三つほどの理由を挙げれば大方の説明はつく」


「若い君が本当に思っていることを話せばよい。借り物はダメだ。百姓を侮ってはいけない。小理屈で人間は動かないことを知れ」 


「仕事をすれば、批判、反対があって当然。何もやらなければ、叱る声も出ない。私の人気が悪くなったら、ああ田中は仕事をしているんだと、まぁこう思っていただきたい」


「赤坂、柳橋、新橋でも、料亭の女将で店を大きくするのはどんな奴かわかるか。仲居上がり、女中頭あがりだ。芸者や板場を立てて、見事に大きくする。ダメなのは芸者上がり」


「分かったようなことを言うな。気の利いたことを言うな。そんなものは聞いている者は一発で見抜く。借り物でない自分の言葉で、全力で話せ。そうすれば、初めて人が聞く耳を持ってくれる。」




どれもこれも、角さんの人情の機微をわかった名言で好きだ。


人情、人の心がわからないと、自己満足だけで、人の心は静かに離れていきますね。


ではまた。



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