メギド72メインシナリオ・6章2節で戦った者達の考察

これはメギドの最新章、6章2節の重篤なネタバレが含まれる記事になります。6章2節を終えてから読むことを強くお勧めします。あとエグい話にも踏み込むので覚悟して読んでください。



6章2節ですが、おそらくこれまでのメギドのシナリオの中でもトップクラスに多重のテーマや構造が組み込まれた話になっており、活躍するほぼすべてのキャラクターに意味合いが持たされているので全キャラを持っていない自分には全部を考察しきるのは不可能だと思われます。

なのでこの記事では(個人的に)最大の衝撃だったアジト襲撃事件について考察する内容になります。

6章2節全体のテーマは何人ものキャラが語る通り「ただ、そうできるから、する」、そしてアジト襲撃シーンについては既に多数の方が考察されていますが、このシーンは1章7話のリフレイン、またメギドの物語の中で多数繰り広げられてきた「ソロモンの活躍の裏で間に合わずメギドラルの被害にあってきた者たち」の物語になっています。

アジトに待機していたメンバーを挙げると、コルソン・アガリアレプト・カスピエル・フラウロス・アンドロマリウス・アムドゥスキアス・クロケル・ジズ・ブエル・リリムの10名になります。実はこの10名、アドラメレクというメギドラルの「暴力」に対してきっちり全員に役割が振られています。

1.力を持ち意志も持つ者:コルソン(未所持):魂なき軍団の王。精神性は子供だが指輪なしでも人形を使って戦闘ができる。  アガリアレプト(所持):純正メギドであり時間操作能力を持つ。

2.意志はあるが力が足りない者:カスピエル(所持):実は転生メギド。アドラメレクのような悪人に近い場所で生きてきた事からアジトを気に掛ける。 フラウロス(Bのみ所持):クズだが分をわきまえており生への執着心は人一倍強い。  アンドロマリウス(未所持):研究者。戦いは苦手だが知識には自負がある。

3.意志だけがあり全く力を持たない者:アムドゥスキアス(未所持):記憶障害の過去からアジトの仲間とソロモンに強い愛着がある。  クロケル(未所持):バキバキのボコボコにするのです!  ジズ(所持):ジズもけるっ!けるよっ!

4.意志も力も持たない者:ブエル(所持):後述 リリム(所持):後述。

※キャラクターを語るにあたり、所持か未所持かによって語れる内容がどうしても変わってくるのでそれについても併記しています。

こうしてキャラクターを分けると、各レイヤーのキャラクターが自分の能力に基づいて「ただ、そうできるから、する」を実行していることがわかります。特にクロケル、ジズ、アムドゥスキアスは自分からアドラメレクの前に出て行ったことで敗北していますし、ブエルとリリムはなすすべもなくただ逃げようとして間に合わず敗北しています。個人的にジズは4のレイヤーだと思っていましたが、キャラストでのガープの台詞やバトルでの振る舞いから考え直してみると、ジズは「立ち向かう意志は強く持っているが幼すぎてそれを自覚していない」という3のレイヤーに所属するキャラクターでした。アガリアレプトとカスピエルはイベントやキャラストに深く関わってくる行動をしているのでここでは割愛します。

アジト襲撃後、アガリアレプト、カスピエル、アンドロマリウス以外は(コルソンも?)全員が意識不明となり、アンドラスによって回復されるまで物語から退場します。

コラフ・ラメルで意識が戻った後も彼らの行動は変わりません。アンドロマリウスは先んじてアドラメレクへの対抗手段を考えますし、アムドゥスキアスは最大限にできることを考えた上でアドラメレクごとソロモンの元へ召喚されるという荒業を成し遂げます。

最後の副官メギドを相手にするシーンではフラウロスとクロケルとジズも敵に啖呵を切り戦意全開です。「ただ、そうできるから、する」。指輪の支援がなくてもメギドラルの暴力に晒されてもソロモンの仲間である追放メギド達は変わらないのです。


…ブエルとリリム以外は。

アジト襲撃シーンとコラフ・ラメルの会議および戦闘シーン、よく読むとこの二人はソロモンに解決を丸投げしています。それもそのはずです。そもそも二人とも戦う意志が弱いことがアイデンティティのキャラクターなのです。

ブエルはメギド達とソロモン本人がいないキャラスト内ではソロモンのことを「お兄ちゃん」と呼び、モノローグですら極力「ソロモン」という言葉が出ないようにしています。その戦う意志の弱さが如実に出ているのが戦闘能力で、まずMEが「ごめんね幻獣さん」、そしてスキル、覚醒スキル、奥義の全てが応援しているだけで攻撃どころか傷ついた味方の回復すらしません。プロフィールにも「できる限り戦いで解決するのではなく、友好的に話し合いで解決できたらいいなともらしている。」と書かれています。ブエルはそのキャラクターの性質上、メギドラルの暴力の前には何もできることがないのです。最後のコラフ・ラメルを出るシーンでも味方に声をかけるだけで敵のことを見てすらいません。

リリムは攻撃型の性能をしていますが、開発スタッフのコメントを読むと夢見の能力に苦しまされ別人格のレヴィエルに常に守られていることがわかります。攻撃スキルもよく見るとレヴィエルに代わりに戦ってもらっているだけで(妨害の覚醒スキル以外は)リリム本人は何もしていません。登場イベントでは純正メギドでありながらただのゴキブリに負けていました。さらに付け加えるなら、リリムのキャラストを読むことでブエルが実は召喚されずに家族と一緒にいたいという深層意識を持ってることが明かされる仕組みにもなっています。コラフ・ラメルを出るシーン、リリムには台詞が一つもありません。仲間と一緒にコラフ・ラメルを出たかどうかすらわからなくなっています。

ブエルとリリムの二人は「戦える者たちが全力で戦って悪戦苦闘の末勝利を得た」裏で「戦えない者は最後まで何もできなかった」ことを描くために非常に重要なポジションなのです。1節で転生したウェパルを再び殺すか悩んだ反ソロモン組織のメンバーたちの中で、無力な女の子だけがリーダーに反対していたことからもこれは意図的な配置だと思われます。

リリムが「夢がない」と言っていたように、6章2節はただ追放メギド達が敵を倒して終わる話ではなく、倒せなかった者もいる物語になっているのです。


所持キャラの関係上エグい部分だけ思いっきり読み取れてしまったので自分にはかなりキツい6章2節でしたが、実は純正メギドであるムルムルのヴィータとの異文化交流やウァプラの極端なまでの自然への敬意など、いくらでも考察できる内容が詰まっているのが6章2節だと思います。今後この大量の伏線がどう3節で回収されるのか楽しみですね。

追記:これだけ女子供を狙い暴力の限りを尽くしたアドラメレクが望まず受け入れざるを得なかった改造体が「女が本のようなものを持ち盾にしている」デザインだったのめちゃくちゃエグいですよね。

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