黒と白の戦い

突然ですが自分は黒い机を使ってます。ガラス製で、でかい。

これは大学進学時、親に「デスクはでかいのを使え」と言われ半ば無理やり買わされた記憶があるのだが、でかい机はとにかく使い勝手がよく、雑な性格の自分が雑に散らかしまくっても充分なスペースを残してくれる。さすがに限度はあるので掃除は要る。最近導入したマルチモニタにも耐えてくれた。欠点もまたでかいことであり、引っ越しの度に自分と引っ越し業者を苦戦させてくれる。

さて、この机なのだが、黒いのである。黒くてガラス製でツヤツヤ(埃だらけだが)なのである。そして自分が仕事で使うものは、PCと、インクなのである。PCが黒いのは問題ないが、インクが黒いのはこの机にとって最大の問題である。

だってこぼすとどこにこぼしたのかわからないから。

黒いツヤツヤの机に黒いツヤツヤのインクがこぼれると一見ちょっとツヤツヤ度が増した程度に見えてちょっと綺麗だったりもする。そういう時はたいてい白いティッシュか白い雑巾で拭くのだが、拭いた瞬間いきなり「俺は黒だぜ」と言わんばかりにインクが白いティッシュへと真っ黒に染みて広がる。

そこから黒と白の戦いが始まるのである。白いティッシュが一人また一人とインクの黒に敗北して散っていき、インクと机は黒ツヤツヤ同士結託して拭かれまいと拭けば拭くほど机に延びていく。拭き終わったと思って油断して机に手をのせると真っ黒になる。水拭きを想定してもらえばわかると思うのだが、拭き終わった後に残る透明な水滴一つ一つが黒判定を持っているのである。延々黒い机から黒いインクを抽出していき、不毛な戦いのあとに残るのは綺麗になったんだかなってないんだかわからない黒い机と真っ黒になったティッシュの山である。

インクだばあはインク使いの宿命なので机にはいくつもの黒白インク戦争の痕跡が残されている。残されてるだけで見えない。たまに手に水分がついたまま痕跡に触れると水溶性のインクが溶けて手を真っ黒にする。

さっきもまた小規模な黒白戦争が起こり、おそらくはこちらが勝利を収めたと思われるが真相はツヤツヤの黒の中である。

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