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紹介すべき自己を持たぬ存在

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    英国の怪奇幻想作家アルジャナン・ブラックウッドの作品についての感想、試訳をまとめております。

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    マッケン作品の試訳のまとめ

  • 無限からの侵略者

    ジョン・W・キャンベルのスペースオペラ『無限からの侵略者』の邦訳です。

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アルジャナン・ブラックウッド「The World-Dream of McCallister」試訳

 3月14日は英国の怪奇幻想作家アルジャナン・ブラックウッドの誕生日です(今年は生誕155年!)。というわけで、短篇の「The World -Dream of McCallister」を訳してみました。すてきな夢を見たのに、どんな夢か思い出せないマカリスター氏と、その夢が彼に与えた影響にまつわる物語です。 カバー写真:Pierre Puvis de Chavannes, Public domain, via Wikimedia Commons (https://common

    • アルジャナン・ブラックウッド「The House of the Past」試訳

      カバー写真:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Manor_House,_West_Hoathly.jpg (Poliphilo, CC0, via Wikimedia Commons)  2月13日に発売される『幻想と怪奇15』には、ぼくが訳したアルジャーノン・ブラックウッド「ジョーンズの狂気」が収録されております。輪廻転生や前世の記憶を題材にした作品ですが、実はブラックウッドが初期に執筆した掌篇が一部に(かなり改変されたかたち

      • Twitterくん! 死んじゃだめだTwitterくん!(頬っぺたをぺちぺちたたく)

        • アルジャナン・ブラックウッド「S.O.S.」試訳

           3月14日は、英国の怪奇幻想作家アルジャナン・ブラックウッドの誕生日です。そんなわけで、短篇集『Tongues of Fire and Other Stories』より、掌篇の「S.O.S.」を訳してみました。ジュラ山脈を舞台にした、不思議な物語です(セント・バーナードがかわいい)。 (Cover Photo by Giles Laurent, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via

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          マシュー・G・リーズ「The Word」「The Cheese」、ラムジー・キャンベル「End of the Line」、H・R・ウェイクフィールド「The Latch Key」を読んだ。 「The Word」 主人公はあこぎな古物商だった。ある日、彼はウェールズの〈言葉荘〉という農家から依頼を受けて、家中のものを運び出す。〈言葉荘〉には老夫婦が住んでいて、娘がひとりいるようだったが、姿は見えなかった。 数日後、彼は老夫婦が村中の家畜を殺した挙句に自殺したことを新聞で知る。

          読んだものメモ

          読んだものメモ

          アダム・ネヴィル「What God Hath Wrought?」、ラムジー・キャンベル「The Gap」、マシュー・G・リーズ「The Griffin」「The Comfort」「Bait Pump」「The Dive」「Sand Dancer」、皇帝栄ちゃんさん「ロボットの心」を読んだ。 「What God Hath Wrought?」 とてもよかった。 舞台は1848年のアメリカ。 主人公は、かつて竜騎兵として戦争に参加していた。戦後、故郷の町にもどると、ほとんどの住民

          読んだものメモ

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          マシュー・G・リーズ「Driftwood」「The Lock」「Queen Bee」、ラムジー・キャンベル「Boiled Alive」、アダム・ネヴィル「Pig Thing」、H・R・ウェイクフィールド「The Assignation」、アルジャナン・ブラックウッド「Along Came a Spider」「The Fear of Heights」を読んだ。 「Driftwood」 主人公が聞いたところでは、学生時代の友人が、夜な夜な海辺に繰り出して、全裸で流木にまたがって

          読んだものメモ

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           文フリやらなにやらで感想のメモをさぼっていたので、まとめて置いておきます。 エレナー・スコット 「At Simmel Acres Farm」 主人公の友人マーカムはラグビー好きだったが、腰を痛めてしまう。休養が必要ということだったので、ふたりは友人の先祖が住んでいたというコッツウォルズの村へ向かう。 滞在先の農場には奇妙な囲い地があり、地元の人間はそこを嫌っているということだった。なかは草ぼうぼうで、奥には水のわき出る井戸があり、古代ローマ風の胸像があった。 主人公は囲

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          アルジャナン・ブラックウッド「A Man of Earth」試訳

           本日3月14日は英国の怪奇幻想作家アルジャナン・ブラックウッドの誕生日です。というわけで、掌篇の「A Man of Earth」(1914)を訳してみました。大地のような大男が遭遇した、奇妙な出来事の話です。 Cover Photo by Sandro Cenni (https://unsplash.com/photos/k61Vvk9wCLg?utm_source=unsplash&utm_medium=referral&utm_content=creditShareL

          アルジャナン・ブラックウッド「A Man of Earth」試訳

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           W・F・ハーヴィー「Atmospherics」、アルジャナン・ブラックウッド「The Perfect Poseur」「The Celestial Motor 'Bus」「The God」を読んだ(ハーヴィーのはほかにも読んだんだけど、感想を書き終わっていないので、また今度……)。 「Atmospherics」 語り手はダーリング夫人を看護するため、一家が住む〈赤の屋敷〉に派遣される。夫人は息子のフィリップ、その妻のメアリー、娘のミリアムとともに暮らしていた。とても親切な老

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           ラムジー・キャンベル「Just Waiting」、W・F・ハーヴィー「Euphemia Witchmaid」「Ripe for Development」、アルジャナン・ブラックウッド「The Lock of Grey Hair」「The Philosopher」を読んだ。 「Just Waiting」 おもしろかった。  作家のイアンは五十年ぶりにその森にやってきた。子どもの頃、両親に連れられて、ピクニックに来た森だった。彼はある空き地で足を止め、金のインゴットを置き、恐

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           W・F・ハーヴィー「Sarah Bennet's Possession」「The Ankardyne Pew」「Miss Avenal」「The Beast with Five Fingers」を読んだ。 「Sarah Bennet's Possession」 語り手はしばしば、友人フランクの実家であるライジンガム農場を訪れることがあった。そこにはフランクの婚約者とその姉妹も住んでいた。みな昔は孤児で、ベネット夫人という信心深い老婆に育てられたのだった。 ある日の夕暮れ、

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           W・F・ハーヴィー「Sambo」「The Star」「Across the Moors」「The Follower」「August Heat」を読んだ。 「Sambo」 語り手の姪ジャニーのもとにアフリカから人形が届いた。廃墟で見つかったというそれは服もなにも着ておらず、顔の造形もひどかったが、大きさだけはやたらと立派だった。語り手の妹(ジャニーの母親)は名前がないのもなんだからということで、人形をサンボと名付ける。ジャニーはもっとできのよい人形をたくさん持っていたので、

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           W・F・ハーヴィー「Mrs. Ormerod」「Double Demon」「The Tool」「The Heart of the Fire」、ロード・ダンセイニ「The Golden Gods」を読んだ。 「Mrs. Ormerod」 ある婦人が友人へ向けて書いた手紙という体裁の話。  語り手の「わたし」が知り合いのインチペン夫妻の家に押しかけると、そこにはミセス・オームロッドという家政婦が働いていた。夫妻のところに滞在しているうちにわかってきたが、この家政婦は恐ろしい人

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           ロジャー・ジョンソン「Aliah Warden」、ドナルド・R・バールソン「Last Supper」、デヴィッド・カウフマン「The Church at Garlock's Bend」を読んだ。 「Aliah Warden」 語り手は事務弁護士の事務所でアリア・ウォーデンという老人と出会う。彼は蛙じみた男だったが物腰は柔らかく、魔術の歴史という共通の関心事もあったので、ふたりはすぐに打ち解け、語り手はウォーデンの自宅に招かれる。  老人の家はラブリーという海辺の町にあった

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           ジョーン・エイキン「The Davenport Ballroom」「The Windscreen Weepers」を読んだ。 「The Davenport Ballroom」 語り手の「わたし」は子どものころ、おじのラヴィンガム卿に預けられることがよくあった。とはいっても、卿は考古学者だったためだいたい留守で、彼の面倒を見ていたのは妻のフェレーデだった。彼女はもともとトルコの後宮にいたところを卿に連れ出されて英国に来たようで、あとに残してきた幼い娘は殺されてしまったという

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