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「輝く道標」(2024/03/23の日記)

■ 2024/03/23の日記

・今日は中野サンプラザのプロジェクションマッピングを見に行っておりました。

・建て替わる建て替わる言うてた中野サンプラザが遂に工事に入るという事で、最後にその歴史をプロジェクションマッピングで記念しようね、というもの。


・中野、好きなんですよね。私が関東に来てから特に仲良くなった友人の一人が住んでいて、秋葉原を除いたら引っ越し以後、最も頻繁にくる街だ。

・以前の日記でも書いたんだけど、私は、そういう補正を抜きにしても、中野という町が凄く好きだ。ブロードウェイを中心とした駅周りの観光客に開かれた繁華街や、イベント会場としてのサンプラザ、オフィス街にも乱雑に並ぶクラシックな飲食店に、真昼間から道中で地元の人が飲んだくれている飲み屋街、モダンな雰囲気のレンガ坂、少し歩いて郊外に行くと閑静な公園がある。

・その新旧が折り重なって形成される、昔から観光地であり、オフィス街であり、住宅地でもあった、多様な表情を持つ街並みや懐の大きさみたいな部分にはすごくワクワクさせられるし、とても安心もするのだ。



・ちょうど一年前の頃、中野サンプラザでアイドルのライブがあった。

・2年前の夏アニメ「シャインポスト」。その主演声優らによる、リアルライブイベントだ。


・シャインポストとは、売れていない3人組のアイドルグループが解散の危機に瀕するも、売れっ子アイドルとして返り咲くために奮闘するという、よくありそうな設定のアイドルアニメ。所属事務所に、その最後の取り組みとして中野サンプラザでコンサートを行い、満員にすることができれば解散はナシ。と宣言され、なんとかその危機を脱出するために、新しいマネージャーと共に一つ一つの課題を解決していく。

・このアニメ、脚本と演出とライブシーンの三本柱がめちゃくちゃ太くできていて、特に、王道でありながら意外性もある脚本の仕込みと、それを繊細に表現していて、絶対に二周目を見たくなる演出。そして噛むほど、考察を読む程に味がする、非常に細かく作り込まれたライブ楽曲が素晴らしく、2022年で最も面白いアニメと言える作品だった。

・私は、この「シャインポスト」というアニメに、「たまにはアイドルアニメでも見るか…」という動機から、あまりにも面白すぎて、「やっぱアイドルアニメなんだよなあ…(にわか)」という感情に傾くくらいにハマった結果、このライブも、一緒に見た友人達の後押しもあり、いく事になった。


・この中野サンプラザでのライブは、ちょうどアニメ終了後の春に行われた。つまり、アニメの最終回にあたる中野サンプラザでのライブと、リアルの中野サンプラザでのライブがほぼ同時期に行われ、より一体感が演出されるというスケジュールプランになっていた。ライブの内容も、アニメの総決算から、これからの活動も期待させるものになっており、中野サンプラザの建て替わりも相まって、この時、この瞬間でしか行えない、まさに「TINGS」(主人公たちのグループ名)の活動の1stシーズンの締めくくりに相応しく、最高にエモーショナルなライブになった。



・最高のライブであったがしかし、当日までの私にとって、ライブって、アイドルどころか普通の音楽ライブですら、友人がライブハウスで行ったのを一回見たかどうかってくらいには馴染みの薄いものであり、不安は全開だった。作法はわからないし、上手くノれるかもわからず当日までずっと不安だった。しかし結果として、そんな不安は簡単に吹き飛ばされるくらいには良い物だった。

・シャインポストのライブのすばらしさを、シャインポストのアニメを見ていない人に上手く伝えるのは非常に難しい、それくらいアニメとの交錯による、感情の膨らませ方の仕掛けが秀逸で、一年経った今でも、いや一年経った今だからこそ文章に起こそうという気持ちが湧くくらいには、今だに熱を帯びている。


・そして、ごく個人的な思い出として印象に残っているのは、ライブ観賞に際して、人生で初めて、簡易ながら「推し活」を行った事だ。


・私の中の「推し活」のイメージ、特定のキャラクターの好きアピールをする事。グッズを集めたり、絵を描いたり、その他あらゆる方法で「推し」の活動の手伝いをしたり、「推し」を楽しむ事。



・私は「推し」という概念を作るのが苦手だ。「推し」という言い方はしなくとも、特にアイドルものとか学園ものとか、かわいいキャラがたくさん出てくるアニメや漫画で、特定のキャラクターを好きであると宣言するのが苦手だ。

・というのもそのキャラクターの魅力って、そのキャラを取り巻く人間関係や環境、特にセリフに関しては、周りのキャラクターが引き出す物であり、その関係性こそが、そのキャラの魅力だとも思っているので、特に誰か単体を好きである事を表明するのって、なんか他のキャラに申し訳ないというか、裏切っている気持ちになって、その作品が好きであればある程、なんだか推しって作りづらい。

・全員推せれば良いんだけど、推し活ってなるとその分の重さがのってくるのでそれはそれで難しいと感じる。故に、推し活というものをした事が無かった。


・しかし今回は、音楽ライブに行き慣れてる友人が「ライブ前はこういう事するのが楽しいんだよ」との事で、推し活をするわけになった。ライブまでの時間で、物販で担当のグッズを買ったり、それを並べて写真を撮ったり、カラオケ(ちょうどシャインポストのイベントがやっていた)に行ったり、ライブ本番でも自分の推しのカラーの素晴らしい棒を振り、推しのために声を出したり、なんやかんやと。

私の担当、伊藤紅葉ちゃん。ダンスがめちゃくちゃ上手いが、戦慄する程のバカ。
私と誕生日が1日違い。



・結果として、友人と推し活をする事の面白さ、味わい深さはある。それは実際にやってみて初めて分かった事だった。例えばランダム性があるグッズを買った時とかは顕著で、自分の推しが出ても他人の推しが出ても無駄にならないという事。自分だけじゃなくて他人の開封にも一喜一憂できるというのは非常にお得で美味しい。

・そしてもう一つ、推しを作るのが苦手だった私にとって重要だった事。それは「隣にいる人が私の代わりに押してくれる」という事。私の手が届かない場所も推してくれる友人達。そのおかげで、負けじと自分の担当への声援にも力が入った。

・ライブ前、その直前、会場内外は妙にピリ付いた空気が流れていた。皆隣を警戒しているというか、それぞれが敵対している様な空気。でもそれはただの緊張で、ライブが始まってからのそれは完全に一体感へと化した。なんなら私の代わりに推してくれるのは友人だけでなく、会場にいる全員だったのだ。そういった安心感を得られるというのはとても意外な事だった。


・そんなこんなで初めてのアイドルライブの観賞の思い出も、推し活の思い出も、中野サンプラザと共に刻まれた。数年後には、きれいになった、新たなお洒落な中野の象徴が産まれるだろう。でもそこにはあの、昔ながらのイベント会館の様な様相はないかもしれない。だからその終わりをもってして、本当に最高のライブになったんだと思う。私は中野の初心者だけど、お陰で本当に大切な経験が出来た。中野サンプラザ、シャインポスト、本当に最高でした。ありがとう。


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