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平成最後の年を思い出のゲームと駆け抜けた話

 平成末期の2019年3月。
 この月に終了したYahooジオシティーズのサーバー終了の閉鎖残り期間に伴い、あと半月で消える攻略サイトを穴が開くほど凝視しつつ、大急ぎでクリアを急いだゲームがあった。

 それがゲームキューブソフトの「ポケモンコロシアム」というゲームである。

 何故今更GCのゲーム?と思われるだろうが、筆者はただただ「大昔にプレイしたストーリーモードをもう一度やりたい」という念のみで、気付けば中古屋のレジにGC一式と該当ソフトを抱えて立っていた。これが2018年の10月頃の話である。

 偶然にも、この翌月に15周年を迎えた作品でもあった。


 ポケモンコロシアムは2003年に発売されたGCゲームだ。
 ポケモンシリーズではあるが、制作元が外部会社によるものもあって、区分としてはスピンオフ作品となる。
 以下のリンクが公式HPである。


 本家のようにストーリーが存在するのだが、画期的だったのは、「トレーナーのポケモンをスナッチ(奪って)して攻略する」点であったと言えよう。なにせ本家では「トレーナーのポケモンを奪う(ボールを投げる)」事はご法度であり、出来ないようになっているのだ。

 今まで本家で守られてきた、「当たり前だ」と思っていた「禁止事項」を「やっていいよ」と破るゲームだったのだ。

 心理学で「やってはいけないことをやりたくなる」心理現象や衝動を、「カリギュラ効果」と呼ぶが、ポケモンコロシアムはこの効果をうまく利用したシステム及び販促方法だったと今になって思う。本家あってこその売り方ではあると思うが、大変舌を巻く発想である。


 ポケモンコロシアムは砂漠の広がるオーレ地方が舞台となる。この地方の特徴は、「野生のポケモンが存在しない」。
 見方によっては「野生のポケモンが絶滅した」、廃れた地方であるとも捉えることが出来る。

 そのためか地方の一部では、廃工場跡地のような油臭さを感じさせるスラム街や、アンダーグラウンド色の濃い都市が、マップとして出てくる。イメージとしては1990年初期まで存在していた、台湾の九龍城塞が近いだろうか。

 ゲーム中に出てくる街は、砂漠の砂埃にまじってその街の生活感や、発電機に挿す油の臭いまでもが感じ取れそうな雰囲気を感じるのである。
 筆者はこれらのマップが大変好みで、プレイ当時も「ここに住みたい!」と思った程だ。


 この退廃さが混ざる世界観を損なわない、キャラの強いキャラクター達も大変魅力的だ。

 例えば、スナッチ団に所属していた主人公の初登場時の行動が「ポケモンを盗む道具をアジトから盗み」、さらに「アジトを2回も爆破して逃走」という何ともアグレッシブな登場をする。

 後の会話から、主人公がアジト爆破の時点で改心していた旨が明らかになるが、抜け方にしてもやることが完全にダークヒーローである。

 しかしスナッチ団で培った技術は一流らしく、本家ではできないはずの
 ・2匹以上ポケモンが居ても狙ったポケモンにボールが投げられる
 ・『そらをとぶ』を発動中のポケモンにもボールを当てることができる
 といったスキルをゲーム中で披露してくれる。(実話)
 スナッチするときのモーションが大変かっこいいので動画で是非探してみてほしい。

 また敵方となるキャラもオーバーすぎるほどにデザインが立っており、トレーナーに直接物理攻撃するガチムチ筋肉の敵や、手持ちの内5匹全部ルンパッパしか出してこない、巨大なモンスターボールのアフロヘア―をした男などが出てくる。

 全部挙げるとキリがないが、登場人物らがあまりにキャラが立ちすぎていて、ポケモンバトルどころではないのである。
 ストーリーを進める目的が「次のボスはどんなキャラだ?!」キャラが気になって仕方ないから進めるみたいなことになっているのだ。これはこれで大変楽しかった。


 さて、ポケモンコロシアムを数年ぶりにプレイしたのだが、恥ずかしい事に当時学生だった筆者はクリアできずに一度リタイアしている身である。

 それもそのはず。ポケモンコロシアムは当時、

「ポケモンシリーズ内最も難易度の高いナンバリング」

 とも言われる作品なのだ。


 従来のポケモンであれば「レベルを上げてゴリ押しで倒す」攻略プレイが出来るが、ポケモンコロシアムはAIが優秀すぎてちんたら攻撃しているとこちらが全滅する程強いのである。

 ポケモンコロシアムは全ての戦闘が「ダブルバトル固定」となっており、主人公も敵もポケモンを2匹ずつ出して戦うことになる。
 ダブルバトルということは勿論、相手も全体攻撃や連携技を使ってくるのである。
 「じしん」や「なみのり」で2匹まとめて倒されたり、連携技や支援技でバフ強化・デバフ解除・デバフ付与を駆使しバケモノ級のステータスになった所を殴られるなど日常茶飯事なのだ。

 また、トレーナーのポケモンを盗むには「ダークポケモン」という特定のポケモンを盗むのだが、このダークポケモンは共通の強力な固有技を持っており、更にこの技を使うと反動を受けてHPが減るという特徴を持っている。
 このため、こちらも捕獲に時間を掛けているとダークポケモンが自分の技で自滅して捕獲できなくなるという事故も多発するのである。

 ダークポケモンは実質イベントポケモンであり、ポケモンによっては一度逃すとクリア後まで再登場しない。
 更にプレイヤーはシステム上、捕獲したダークポケモンのみで手持ちを組んでゲームを攻略しないといけないため、結果ダークポケモンを逃すと「詰」むことだって有りうるのである。

 よってストーリーを進めるには、「いかなる敵でも相手のポケモンを倒せる力のある、オールマイティなポケモン」と、「ダークポケモンを殺さない程度に捕獲できる、耐久力の高いポケモン」を育てなくてはならない。
 これも「ダークポケモンをなるべく取り漏らさない」ことが前提である。

 これらの要素から、もともと難易度の高いゲームではあったが、普通にプレイして「詰」の状態に陥ったのが当時の筆者だった。

 再プレイでは何とか取りこぼし無く、全てのダークポケモンを捕獲し、クリアにこぎつけた。10数年振りの悲願の達成であった。

 これらの再プレイについては簡単ではあるが日記代わりのイラストにまとめている。併せて参照されたい。

 ちなみに筆者が攻略上最も使ったポケモンは「ノコッチ」である。
 殺伐とした世界観の中、3Dでびちびちと動くノコッチ。シュール極まりない絵面だったが、大変世話になった。

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