大学入学共通テスト2023概観

※自身Facebook過去投稿より転用

大学入学共通テスト2023概観
共通テストも3年目を迎え、受験生のみならず私たちも会話形式問題や複数文章比較に慣れてきた印象があります。

第1問 評論
柏木博『視覚の生命力―イメージの復権』   :呉谷充利『ル・コルビュジエと近代絵画―二〇世紀モダニズムの道程』

問2~問4まで文章Ⅰからの出題で、それぞれ「子規」・「一般化」・「ル・コルビュジエ」の窓(ガラス障子)に対する考え方を問う問題。そこまで難解でもない印象です。
と言いながら問4間違えました…
問5は文章Ⅱからおまけみたいな問題に感じてしまった。
複数テクスト出題という縛りのために、文章Ⅱにやや無理があったのかもしれません。とはいえ、問6の文章比較問題は解きごたえありました。
特に(比較問題ではないですが)(ii)の「子規の話題を示した効果」というのは、文脈に照らした文章構成に注目した設問であり、筆者の主張ともかかわる重要な良問だと感じました。
過去2年同様、出題形式に怯えつつ、実際は傍線部の前後の文脈を読み取れているか、選択肢を分解して消去法を使いこなせるかというセンター由来の解法で基本的に太刀打ちできそうです。
問4間違えましたが。
あと、解くのに28分くらい掛かりました。文章Ⅱをほぼ「読まない」選択をしなければならなかったですね。

第2問 梅崎春生『飢えの季節』 

時代感を指摘する方もいますが、僕はむしろ読みやすかったです。
問1~問4まで、傍線部の位置・選択肢の文末(心情部分)、指示語補充への注目で解け、根拠も明確でした。
問5、6は会社を辞める理由と心情に関する問題で、「葛藤」を読み取れるかどうかで正誤が変わると思います。
問7。
(i)間違えました。言い訳すると、よく分からなかったです。
事物ってやり方ですか?重なりますか?
てか、この問題と広告要りますか?
はい。以上、言い訳でした。
(ii)は象徴問題として良問だと感じましたが、Wさんの文章にある「焼けビル」の説明で「かなしくそそり立っていた」は入れなくても…と。
難易度的には、むしろここは文章に戻らせても良かったかなと思いました。

第3問 源俊頼『俊頼髄脳』

Twitterで「歌論」と聞いていたので構えたけど、文章自体は説話として読めました。
歌徳的展開に向かうかと思いきや、指名されてただしらけるという可哀そうな歌詠みさんだなあと。
問2が文法、問4(i)(ii)は技法(掛詞)に関する問いで、本文内容は問3と問4(iii)だけというのは、古典教育議論の俎上に載せるべき構成でした。
まだ「古典探究」は突き詰めていく余地があるんだろうなと。
単語、文法、しっかりやった生徒は問1・問2で22点取れるよ!


第4問 白居易『白氏文集』

白居易の官吏登用試験に掛ける時間がありませんでした…
生徒にとってとっつきにくい漢文で、予想問題と模擬答案という設定の題材を持ってきたこと、またその内容も明快であったことは題材としてよかったと思います。
問1・問2・問4はシンプルな文法と現代語訳問題、問6・問7は解釈が入ってきますが時間があればそこまで難解でもないかなと。
ただこうなると、漢文の授業はこれでよいのか問題にぶちあたります。
古文のときと同様、共通テストの出題が全国の教員の授業内容・配分に少なからず影響を与えるわけで。
でも、
・「古典探究」に積極的にチャレンジしている先生方と生徒
・「古典探究」に踏み込めずにいる先生方と生徒
を包含するのは難しいですよね。
ということで、やはり「予想問題」「模擬答案」という特殊さが最大のチャレンジだったと思うし、僕は面白かったです。
と、偉そうに言っている僕は問3の書き下しでコケて、問6以降は時間が足りませんでした・・・

毎年のことですが、受験生・ご指導された先生方・試験監督スタッフの大学教授をはじめとした皆様、大変お疲れ様でした。

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