見出し画像

ドローンで鳥獣害対策!どこまでできる?

ドローンの世界にようこそ、どうもこんにちは!
ドローンBusiness研究所ヒロユキです。

こちらのnoteでは、週一回程度のペースで、ドローンに関わる様々な情報を発信していきます。
どうぞ宜しくお願いいたします。

今回は、鳥獣害対策の現場でのドローン活用についてのお話です。
鳥獣害の現状とドローンがどのように対策に活用されているかついてご紹介します。

効果的な鳥獣害対策とは

まず初めに日本の鳥獣被害の現状について確認していきましょう。

日本における鳥獣害は、農林水産業に多大な損害をもたらしており、令和3年度には約155億円もの経済的損失が発生しました。
この被害額の約7割は、シカ、イノシシ、サルなどによるもので、特にシカが年間約5千haの森林を被害に遭わせています。
また、水産業に関しても、カワウによるアユなどの捕食や、トドによる漁具の被害などの問題となっています。

この鳥獣被害は、農業における営農の低下や耕作放棄・離農の増加、さらには土壌流出や希少植物の食害など、様々な影響を及ぼしています。
【出典】「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について」(農林水産省)

鳥獣害対策での課題

鳥獣被害対策は、個体群管理、侵入防止対策、居住環境管理の3つの柱に基づいています。
対策を講じることで被害が減少傾向に向かう地域もある中で、一部の地域では、被害が減少しない問題が続いています。その主な特徴を以下にまとめました。

  1. 適切な対策が不足: 被害が減少しない地域では、適切な対策が不足しています。農家や地域のコミュニティが野生動物に対する効果的な対策を講じるための知識やリソースが不足していることが多いです。

  2. 環境の変化: 地域の環境が変化することで、野生動物の行動が影響を受けています。都市化や開発が進むことで、野生動物の生息地が制約され、農地に侵入しやすくなることがあります。

  3. 法的制約: 一部の野生動物は法的に保護されているため、捕獲や駆除に制約が生じることがあります。

環境を改善する具体的な方法

効果的な対策の一部として、環境の改善が重要です。以下に、環境を改善するための具体的な方法を紹介します。

  1. 放任果樹の伐採: 鳥獣を呼び寄せている放任果樹を伐採することが望ましいです。また、果樹園の周りにある果樹を柵で囲います。柵で囲えない場合は、果樹を金網で囲むことで野生動物のアクセスを制限します。

  2. 作物の管理: 作物の収穫や枝打ちを行い、果物の量を調整して野生動物の誘引を防ぎます。また、作物を収穫した後に畑に残る作物の葉や茎、根っこなどの残りやクズ野菜を放置せず、適切に処理します。

  3. 茂みの整備: 農地周辺の放棄地に茂みがある場合、これらの茂みを刈り払い、野生動物の隠れ場所を減少させます。

ドローンが活躍できる分野

ここからは、個体群管理、侵入防止対策という視点でドローンが活用できるシーンがあるのか見ていきましょう。

野生鳥獣を監視する


ドローンを使って、シカやイノシシなどの害獣の住んでいる場所や数、どんな行動をしているかを空から撮影して調査します。

夜間に赤外線カメラを備えたドローンを飛ばし、シカやイノシシの監視地域、個体数、そして行動を把握します。これにより、人で対応するには危険な場所や夜間の調査が可能となり、撮影データはAI画像解析を使って自動的に獣の種類や数、位置情報が解析されます。

この様なデータを用いて関係機関で情報を共有しながらシカやイノシシなどの生息状況を調査します。
飛行データを用いて生息場所を予測し、地域と連携して捕獲計画を立てることができます。
また、システムの地図上にシカやイノシシの発見情報や捕獲位置を登録することで、次回の調査や罠の設置場所の選定、捕獲に役立てることができます。

野生鳥獣を追い払う

カワウは川魚を捕食し漁業従事者への被害を及ぼします。
そのカワウの追い払について、ある地域ではロケット花火などを使い追い払いをされていたようです。
カワウを見つけてから対策の効果的な場所に移動するの間にカワウがアユを食べてしまう問題が発生していました。

しかし、ドローンに大きな音のするスピーカーを搭載し局所的な爆音で威嚇する事でカワウの追い払いに成功しているようです。
これにより離れた箇所に居るカワウも発見できるようになり、発見次第追払い対策を開始することで、アユ食害を防ぐ事に貢献することができました。

従来のイノシシ追い払い方法は、音、光、カプサイシンなどの忌避剤を使ってきましたが、これらはイノシシが慣れてしまうため、効果的では無いこともわかってきました。

そこで、ドローンによる害獣追い払いとしてドローンの飛行する音が近づいて来ることに警戒して逃げるという本能的な反応で追い払う取り組みが行われています。
自律飛行するドローンがAI画像認識を使ってイノシシに接近し、追い払い効果を高める試験も行われるようです。

このほかの取り組みでは、鷺のフン害による立ち木枯れなどでは、ドローンで上空から鷺の巣がある木々へテープを投下して、鷺が侵入できないように講じたり、ドライアイスを投下して産卵した卵をふ化させない(個体数を減らす)取り組みもされています。


最後に

いかがでしたでしょうか。
今回は、ドローンの活用事例としてご紹介いたしました。
一例としてご紹介しましたが、世の中では自然に生息する動物との共存に問題を抱えている事例が沢山ありますね。

全ての問題がドローンで解決できるわけでないのですが、時には効果的な対策を行えるのです。
皆さんのアイデアや取り組みが、新たな成功事例となるかもしれません。
この分野でチャレンジしてみるのも面白いかもせれませんね。

それでは、またお会いしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?