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医学部受験、面接対策のコツ PART 1  *”自己紹介のコツ”前編*<自己紹介>

一石二鳥の面接トピック対策。小論文対策にも

医師である私は、この数年間、ある受験生たちの医学部面接対策をサポートし無事合格を見届けた。過去に私自身が受験した経験と、サポートしてきた受験生たちの頑張りの経験を元に、これから面接を受けようと頑張っている受験生に向けて、大事な面接対策ポイントをお届けしたい。実際、毎年新たに変化し続ける医療系の面接トピックの勉強は、サポートする医学部専門予備校でも指導が難しく、指導教師によってレベルのばらつきが出てしまう事が多く見られる。良い指導者が近くにいない受験生にも、自己学習で力をつけられるように活用していただければ嬉しい。自己学習用に、面接対策の勉強の仕方にも触れたい。そして、この勉強法は一石二鳥になるように出来ている。面接対策は小論文トピックとも重なるので、同時に小論文対策も想定して学習する事も、忘れてないでほしい。受験生の皆さんに、エールを送ります。頑張れ!

まずは、時間がかかるトピックを

最初に手をつけたいトピックがある。面接でも小論文でも、なんども聞かれる可能性のある内容だ。面接官が受験生が”どんな人物か”を判断するための質問だ。このトピックには、受験生の考えのブレを見せてはいけない。このため、受験生は自分自身を見つめる時間が必要であり、できれば数ヶ月前から、考え始め、頭の中で熟成させたい。


“自己紹介クエスチョン” 具体例

それでは、早速、自己紹介クエスチョンの具体例を始めましょう。    

1. 自己紹介をお願いします。
2.〇〇高校(大学・クラブ)出身ですね。あなたはそこで、どんな勉強(経験)をしてきましたか?
3.長所と短所を教えてください。
4.どんな科目が好きですか?                       5.好きな本はなんですか?                       6.最近気になっているニュースは?                                                 7.最近気になっている医療ニュースはなんですか?            8.大学生活ではどんな事をしたいですか?                9.これまで経験した辛かったこと、大変だったことは?         

  

1.「自己紹介をしてください」

                                   ”自己紹介”は、面接官にとっては便利で重要な質問。受験生の性格だけでなくプレゼンテーション力も観察できるからだ。準備として、マインドマップのように、自分の特徴を箇条書きにして、重点的にアピールしたいポイントをよく考えておく事。試験が近づけば、1分ぐらいでまとめて話せるように、声に出して練習する事。解答は個々に皆違うので、以下に記す解答例を真似する事なく、自分でよくアピールポイントを選択しておく事が大切。

解答例:

「小さいころから、私は”ヒトの心と体の関係”にとても興味がありました。きっかけは親友を大げんかをした時、怒ったら心臓がひどくバクバクした事を不思議に感じたことです。そして友達との喧嘩の悩みを人に聞いてもらうと、不思議にドキドキやバクバクした感じが楽になったことが、『あれ、心と体が連動している』と、とても面白く思いました。その後もお腹が痛くなると冷や汗が出たり下痢をしたりするのはどうしてだろうとかが不思議で、よく親に質問したり調べたりしていました。小学生の時、祖父が脳出血で亡くなった時は、どうして元気だった祖父が突然動かなくなって死んでしまったのか、本当に不思議でそのころから体に関する本をよく読むようになりました。高校のプレゼンテーション大会では、人間の脳の仕組みや、心と体の関係について、発表しました。今は、生物や解剖学的な勉強も面白いですが、気持ちの落ち込みなどの感情が体に及ぼす影響にもとても興味があります。現代社会は、身体的な病気だけでなく、多くのストレスから精神的な病気が増えてきていると聞きます。私は医学部に入学したら、体と心の勉強を専門的に勉強し、増加傾向の精神病を予防する医療を行なっていきたいという夢を持っています」

*この自己紹介解答をした受験生は、自分のアピールポイントがないことに悩んでいました。なぜなら、”リーダーシップもとったことがない、クラブ活動も大してしていない、課外活動もない、賞もとったことがない、音楽や運動もそれほどやってない”、と初めは悲観的でした。しかし、よく話をして紐を解いてみると、小さい時の思いつきが、今もずっと心にひっかかっていて、それが人への興味につながっているという”見えない情熱の元”になっている可能性に気づきました。確かに、実際の活動履歴には華々しいものがありません。しかし、自己紹介では、それで構わないのです。正直な自分の情熱が、面接官に伝われば、ちゃんと自分のプレゼンテーションができてしまうのです。派手でなくて、いいのです。面接対策のコツとして、その情熱の根っこになる物を見つけておくところまでは、自問自答をしてください。


2.「出身高校(出身大学)ではどんな事を学んできたと思うか?」

 具体的な出来事、あるいは具体的な考えを示す。          解答例:

「僕は毎年3年間、文化祭の時に友人4人とバンドを組んで曲を発表していました。曲は5曲ですが、新しい曲を自分たちで作って発表するのは、楽しいけれど大変でした。徹夜をして曲を作ったり、時には仲間と喧嘩する時もありましたが、それでも学校の出席は皆勤賞でしたし、何よりも文化祭で僕たちの曲を聞いて喜んでくれた人たちがいたことが、とても嬉しかったです。その経験で、僕は、努力する楽しさや、仲間の大切さを学ぶことができたと思います」*実際は、こんなにきっちりは話せないことが普通です。ただ、印象深かった学校でのエピソードやそこから学んだものについて、書き出しておくことは大切です。試験近くになったら、それを読み返せるからです。

3.「長所は?短所は?」

長所と短所に関しては、短所が難しいとよく言われます。なので、まずは、自分の長所をいくつか箇条書きにし、選択しましょう。「私には長所があまりないな」なんて思う受験生がいたら、こう言いたい。絶対にそんな事はない。あなたにはいくつもの長所がある。よく観察する事は医師には必要な要素だから、さぁ、よく客観的に観察してください。そして書き出してください。短所も同じです。短所は、犯罪を匂わせるものや、正直なところ精神疾患を感じさせるものは避ける事が無難です。短所だったが今はそれを乗り越えたというものは、短所として話して良いと思います。また、くれぐれも嘘はやめたほうが良いと思います。具体的に突っ込まれますので、緊張している雰囲気の中では、ボロが出てしまいます。どうして長所・短所と思うかの具体的な理由書き出しましょう。

長所、例:積極的。冷静。分析力がある。チームリーダー、チームワーク。努力の継続ができる。体力がある。精神力がある。勤勉。チャレンジする。集中力。                            

短所、例:夜寝ることが遅くなることがある(時間が勿体無いと思ってしまい、勉強が終わると、趣味の絵を描く。体のためには時間を決めてやるようにしている)。引っ込み思案(今は以前より乗り越えた)。字が少し汚いと思う。

4.「どんな科目が好き?」

音楽でも生物でも何でも良い。ただし、質問に対し、きちんと理由まで言う事を忘れない。

5.「好きな本は?」

準備段階として、箇条書きにし、理由を書いておく。その中から、ビビッとくるものを選択しておく。どんな本かを短く説明できるようにすること。ついでに、その本の中に書いてあった心に残る言葉などがあれば、引用文として利用できることがあるので、記録しておく。歴史物でも、推理小説でもよい。好きなものなら、医療の内容に関わらなくてよいでしょう。医療以外の分野にも興味があり、広い視野を持っていることも、偏ることのないバランスのとれた趣向の人物と理解されることも多い。また、好きな映画や音楽、スポーツについても、その理由についても、考えておくこと。

6.「最近気になるニュース」             

 政治的な問題でも経済でも、国際問題でも良い。また、小さな3面記事でも良い。医療関係の問題でも良い。ネットのニュースも悪くはないが、時には新聞紙を広げて、たくさんの記事の中から探してみることもオススメする。

7.「最近気になる医療ニュース」

  日本のネットニュースでも、国際面のニュースでも、医療ニュースは毎日のように探せば出てくる。自分の興味のある医療ニュースを探しておく事。大きなニュース(AIによる診断方法の開発、遺伝子診断、ips細胞を使った角膜手術‥)でなくても、小さなニュース(インドで電子タバコの使用や輸出入を禁止する政令が交付された‥)でもいい。それに対する意見も準備しておく。

8.「大学生活でしたいことは?」           

例:クラブに入り体力をつけ、また切磋琢磨できる友人を作りたい。   海外の医療ボランティアをしたい。                  具体的な将来像をリアルに持ちたいので、医療現場での研修をたくさんしたい。

9.「これまで辛かった経験は?」           

自分や家族に起きた事故や病気の体験、学校での人間関係、学外での習い事、何か(習慣)を続けてきたこと。しかし、単に辛かったばかりでなく、大変な事を”乗り越えた”というポジティブな考え方を示せることが望ましい。

*コツ!あなたのアピールポイントはなんですか?


PART1の前編はここまでです。

時間がない受験生が、効率的に勉強できるよう、コツをまとめていきます。PART1は、中編<医師像>、後編<人間関係>と3シリーズです。PART2は、医学関係の質問についてです。もっと情報が欲しい人、勉強の仕方を知りたい人は、コメントなどのレスポンスをお寄せください。受験生も、指導をする先生たちも、サポートする家族の皆さんも、頑張ってください。幸運を祈っております!


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