Re: 育ちまん

現在ちょっとした事情で公開されていないのだが、友人が「子育ちまんが」という名のエッセイコミックを描いている(Twitter, Facebook に1エピソード1ページの形態で連載されている)。作品のジャンルで言えば子育てエッセイマンガだけど、タイトルは「子育てまんが」ではなく「子育ちまんが」。それについての説明は特になかった様に記憶しているのだけれども、自分が育てていると主張するなんて烏滸がましいとでも言いたげな謙虚さを感じさせつつ、子供たちが自ら育っていく力へのゆるぎない信頼を含む、とてもいいタイトルだと思う。「育ちまん」という略称もあって、これは子供たちが「育ちマン」なのかなとも思わせる。

「子育ちまんが」の連載が始まったのは私の子供が生まれる3ヶ月くらい前というタイミングで、登場する兄妹の下の子はウチの子の半年先輩。私はなんとなくこれから起きる事の予習の様な気持ちで読んでいる。たとえば、作中に出てくる「丸々太って砂袋みたいな女の子」という表現がすごく可愛くて面白いなと思って、ではウチの子はどんな赤ん坊になるんだろうと楽しみにしていた。果たして現在のウチの子は、太った感じや寝返り・這いずる事への興味のない感じは似てる部分かもしれないけど、砂袋という感じではないね……えーと……ハムみたいな坊や……?といった調子で、非常に月並みな形容しか思いつかない。子育てエッセイとしてのセンスのよさ、楽しさといった所では、とても叶わないと思う。

世の中には赤ん坊の寝かしつけや夜泣きで苦労する話が溢れているけれど、ウチの子はおっぱいを吸わせると確実に寝てしまうので幸いほとんど苦労がない。そういうわけで普段子の寝かしつけは妻が担当しているのだけれど、たまには妻が夜でかけている時もある。昨夜もそうだった。そんな時の寝かしつけの方法なのだが、こちらの手元にはおっぱいという確実な方法がないため、毎回子供の様子をみながらアドリブで試行錯誤する事になる。暖かい時分には、だっこ紐に入れて寝るまで外を散歩するという方法がよく効いたのだが、この寒い時期に外に出るのは親子共につらいし、寝た子を冷たい寝床に収納する際に起こしてしまうという事も起きうる。できれば起きている状態で寝床へセットして、そのまま寝ていただくのがベストだ。

しかしこれは今まで成功した事がない寝かしつけ方だ。まず親の私が、我が子よお前はもうベッドに入って自分の力で寝る事ができる年頃だと強く信じる。強く信じる気持ちで子をベッドに置く。ベッドの冷たさと、今夜は母は(というよりおっぱいは)いないのかという思いにおそわれた子が泣き始める。子守唄を歌っても効果がない。手を握ったり頭を撫でても逆効果だ。そこで突然少し前の「子育ちまんが」の事を思い出す。兄妹のお兄さんが、お気に入りのおもちゃと一緒に寝床に入るという話。居間のおもちゃ箱から、今日一番よく握っていたおもちゃを持ってきて手渡すと、ふっと落ち着いたようにみえる。さらに赤ちゃんが泣き止むというレジ袋の音がするガラガラの音を聴かせながら、ゆっくり動かして見せる。子はしばらくグズっていたが、ほどなくして眠りについた。覚醒した状態で寝床につき眠るというのは、彼にとって初めての偉業だ。ありがとう育ちまん。

そのお気に入りのおもちゃを持って眠る、という「子育ちまんが」のエピソードを読んで思い出したのは、定番の童話作品「おしいれのぼうけん」だ。この物語で主人公の子供たちがおちいる悪夢の世界では、たまたま手に握っていたおもちゃが悪夢と戦う武器になり、そこから抜け出すための道しるべとなる。ちいさな子供とって手に馴染んだおもちゃは、怖いものや未知のものと対峙するのに必要な、勇気や落ち着きをあたえてくれるのかもしれない。今夜はSassyのなんだかよくわからないおもちゃが、ウチの子に入眠という未知へ挑む力を与えてくれた。一方、初めての子育てに挑んでいる自分にとっては、「子育ちまんが」をはじめとする先輩たちの楽しいレポートが、そういう力を与えてくれる存在になっていると思う。

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