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浸透するサウナ文化。検索ビックデータから見える過去からの変化とトレンド

こんにちは。データマーケティング本部の棚原です。

皆さん、3月7日は「サウナの日」です!
以前、サウナに関するレポートをまとめましたが、そこから少し時間も経ち、直近の動向に変化がありそうだなと思ったので、サウナの日にかけて再調査しました。

今回は、以下の内容について調べています。


ブーム初期(2019年)と現在の違い・変化


ドラマの放映があり話題になり始めた2019年と、直近1年間の検索データを比べてみると、検索数が多いワードが以下のように結果として出てきました。
※直近一年間:2023/02/10〜2024/02/15

■    検索数TOP30(抽出条件:「サウナ」を含むキーワード全て)

サウナグッズ関連は青太字、共通するサウナイキタイ(同義ワード)は赤太字

まず、変化として大きく表れているのは、サウナグッズへ関心を寄せる人が増えていることです。
サウナハットやサウナマットの検索数が顕著に増えていました。

また、効果やダイエット方法といったフレーズが2019年は上位にきていますが、直近では、東京や大阪、名古屋など場所に関する検索が上昇しています。これは「サウナ」という文化が浸透したことによって、足を運ぶことを前提とした検索をしている人が増えていること考えられます。
サウナに関する物事が、この数年でメディアに取り上げられることが増えたので、その影響もあると思われます。

続けて、2019 年では検索されず、直近検索され始めた新しいワードを見てみます。

■ 直近 1 年間で出てきた新たな検索ワード

サウナハット関連と施設の指名検索が目立ちますが、施設に関しては前述のメディアの影響からか、
話題の新しい施設の他に、老舗について関心を持つ人も現れているようです。

一方で、いくつかある中で一方で少し気になったのが、「体に負担」というワードです。
ブームの裏で安全性や健康への懸念を持つ人が一定数存在していることがわかります。
また、以下はその検索推移です。

2022/7/2以前は検索されておらず、この頃から一定の関心が持たれ始めています。直近でも関心の高まりは続いている様子があるので、サウナの体への負担という切り口でメディア訴求や施設利用者への説明などがあると、不安を取り除くメッセージングができて良いのかもしれません。

さらに、検索数の伸び率を比べて、どんな物事にどれだけ注目が高まっているのかを見てみました。

■直近 1 年間の検索者数上位の伸び率

サウナハットに関しては約 25 倍と、ピックアップ外の 30 位以降のワードを含めても非常 に伸び率が高くなっていました。 その一方で、ととのう、入り方などは他のキーワードと比べると伸び率が低く、新しい言葉 として検索されることが減り、サウナ文化の浸透が進んだ一片かと思われます。

データの羅列が続いておりますが最後にもう一つ、私の個人的な興味からサウナ施設と施設の目玉とその伸び率を見てみました。

■直近 1 年間のサウナ施設の検索者数上位と伸び率

一部重複するようなワードはありますが、2019 年にはない新しいワードがいくつか見られ、 冒頭述べた施設の乱立はここからもうかがえます。
全体的な傾向としては、素泊まりに特化した施設が多く、提供される食事もサウナ飯として 話題になっている施設が多くなっています。
一方で、レジャーとしてのサウナも話題を集め始めていそうです。

まとめると、この数年で起きている変化は以下になりそうです。

  • 「サウナ」自体の浸透が進み、関心はサウナをよりどう楽しむかにシフトしてきている

  • 上記に伴い、サウナグッズの注目度が高く、サウナスタイルの多様化も進んでいる

  • ブームを受けて、この数年で新しいサウナ施設が急増している

私自身サウナが好きで、これまでに色々なサウナ施設へ足を運んでいますが、特に都心部については、気がつくと新しいサウナ施設ができていることがよくあります。さらにデータにも現れていたように、サウナ飯(食事)に力を入れている施設も非常に多くなっていると感じます。

ヘビーサウナーとライトサウナーの行動の違い


ひとつ前はあくまで全体的な傾向を見ていきましたが、サウナ好きの中には週に何度も行くようなヘビーユーザーや、そうでないライトユーザーもいるため、それぞれを一定の定義のもとで可視化してみたいと思います。

ヘビーサウナーに好まれるセルフロウリュ

ヘビーサウナーの定義

アウフグース、ヴィヒタ、セルフロウリュ、オートロウリュ、ロウリュ、高温サウナ の検索者
→ サウナに対して、一定の理解が無いと検索しないようなワードを選定

ライトサウナーの定義

サウナ おすすめ、サウナ 効果、サウナ 入り方 の検索者
→ 物事の指名検索をしない層をライトサウナーと定義

アウフグース、ヴィヒタ、セルフロウリュ、オートロウリュ、ロウリュ、高温サウナ の検索者
→ ベビーサウナーを除外する意図で、上記ワードの非検索者を対象とする

<セグメントのイメージ>

抽出対象期間:2023/08/15〜2024/02/10 ※共通

全体数は非公開ですが、各母数に対してそれぞれのワードがどれほどの割合で検索されて いるかを見てみます。

■検索割合順ランキング

条件の都合上、やや偏りが出やすいですが、ヘビーサウナーは「場所の検索が顕著」な一方 で、ライトサウナーは「サウナ以外の関心」が前提となっていそうです。

実際の行動をイメージして簡単にまとめると、ヘビーサウナーは「サウナに入ることが目的」であり、ライトサウナーは「ボディメイクやリフレッシュの一環」でサウナに入っていると思われます。

そのため、サウナ施設がまとまっているサウナイキタイ(情報 Web サイト)への関心度合いがヘビーサウナーの方が高い結果になっていると考えられそうです。

注目を集めているもの、困りごと

ここまでの情報を踏まえて、
ヘビーサウナーとライトサウナーに共通して注目を集めているのは、「サウナグッズ」です。

たとえば、「サウナグッズ」と検索した人が過去にどんなキーワードを検索していたのかを見てみる と「サウォッチ」「サウナメガネ」「サウナ イヤホン」などの顕在ニーズが見えました。

では切り口を変えてみて、それぞれにどんな困りごとがありそうかを見てみましょう。

■ ヘビーサウナー:「アウフグース」検索者

「サウナ入り過ぎ症状」が目立ちますが、以外にもヘビーサウナーと考えられる方も「サウナ デメリット」という検索をしていることから、熱中しつつも、どこか罪悪感・不安要素がある可能性が考えられます。

■ ライトサウナー:「サウナ 入り方」検索者

ライトサウナーと考えられる方の、最も検索されやすい別のワードは「サウナの正しい入り方」です。これは、とりあえずサウナに来てみたはいいけれども、正解がわからず気になっているという特徴が表れています。
また夜勤明けといったフレーズやトレーニング関連のワードから、身体的な疲れが溜まりやすい職種や体を動かす趣味の方に、温泉などと同じ位置づけで好まれていると思われます。

インフィニティチェアで入浴後休憩する様子

検索データで分かった注目されているサウナ施設

様々なデータを可視化していく中で、関心を集め続けている施設をいくつか発見できたので紹介いたします。※DS.INSIGHTのTrend機能を利用しピックアップしています

サウナ東京

約1年前にオープンした赤坂にあるサウナですが、本格設備などが話題で、直近も引き続き注目を集めています。予約、混雑といったフレーズも共によく検索されているので、入浴することを趣旨として興味を持たれている方が多いと思われます。

万葉倶楽部 豊洲

こちらは2024年2月にオープンとなった特に新しい宿泊施設です。年末年始から注目され始め、営業開始とともに一気に注目を集めています。宿泊施設の隣に大型のショッピングモールがあり、今までにあまり見ないスタイルの総合型施設が話題になっているようです。

Sense Sauna(センスサウナ)

2023年11月にオープンした、名古屋駅エリアにある本格サウナです。
宇宙をテーマとした一風変わったサウナ特化型施設で、現在の検索数自体は他の2つと比べるとそこまで多くないものの、これから話題になる兆しを見せています。

他にも同じような傾向を示すキーワード(施設名)はありましたが、話題になる要素として共通したのは何らかの新奇性があることでした。これも、サウナが一般的になっている裏打ちの1つとして捉えられるのではないでしょうか。

さいごに

私自身のサウナに行く頻度としては、一週間に1~2回程で、ライトサウナーよりは少し数が多いくらいになるのですが、疲労感や汗の量などからこれは体に問題が無いのだろうか?と思うことも度々ありました。
実際に、検索データで可視化すると同じようなことを思っているような検索行動が見つかったのですが、2日に1回以上行くようなヘビーサウナーと思われる方にも、その不安が持たれている点は意外でした。

このように、検索データでは思っていた意図と矛盾するような行動も現れることがあり、そこに潜在的なニーズの種やヒントが埋まっていることが多々あります。
マーケティングの一つの武器・手段として、検索データの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

ヤフー・データソリューションでは、今後も分析に役立てていただける調査レポートの発信をしていきます。今後ともヤフー・データソリューションをよろしくお願いいたします。

※ 今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ (パーソナルデータ) については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません。

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