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富士フイルムスーパーカップについて 〜3連覇が2連覇よりむずかしいのは当たり前ではないか?〜

ゼロックススーパーカップ改め、富士フイルムスーパーカップが開催された。対戦カードは川崎フロンターレ対浦和レッズ。

毎年開催されるこの大会は、リーグ戦とカップ戦の勝者が戦うだけでなく、リーグ戦開幕を控えた時期での、チャンピオンチームの状態がわかる試合でもある。

今回は、リーグチャンピオンの川崎からみた試合展開からを探り、今期のチームについて予想していく。(浦和ファンの方ごめんなさい)

川崎は2連覇したあとに迎えるシーズン。つまり3連覇をかけたシーズンとなる。2017年・2018年に連覇したあとの2019年は優勝を逃している。今シーズンは3連覇をかけた2回めの挑戦でもある。

はじめに言っておきたい。2連覇より3連覇の方が難しいという声を聞くが、個人的には当たり前なんじゃないかと思う。むしろ2連覇のほうが難しくなるかもしれない理由を教えてほしい。

川崎だけに与えられた3連覇への挑戦を目指すチーム編成には変化がある。

昨シーズンの主力からは、旗手がセルティックに移籍、チャナティップが札幌から加入したことが、スタメンに影響する主な移籍になっている。

だが、左ウイングがオリジナルポジションであるチャナティップはどちらかというと夏に移籍した三笘の代わり。旗手のポジションであったインサイドハーフで出場するのは大島である。(昨年は怪我でリーグ戦には7試合しか出場していない)

大島は元々主力であり、怪我さえなければなんの問題もなくフィットするはずだ。怪我だけが心配だ。怪我だけが。

試合展開は、前半早い時間と後半終了間際に失点し、0-2で敗戦。

まず気になったのは、中盤の動き。

身体が重いのか、ディフェンスラインやウイングがボールを持ったときに、中盤の選手が顔を出すタイミングが遅いように感じた。そのため、家長やチャナティップにボールが入っても、オーバーラップしたサイドバックを使うか、後ろに下げるかといったプレーが多くなっていた。

前半の失点シーンでは、浦和の酒井にボールが入ったときの寄せも甘く、得点を決めた江坂へのパスも、シミッチのカバーが遅れていたようにも見える。

ただし、これについてはシミッチの昨年からの課題かもしれない。ディフェンスラインがボールを持っても顔を出さないため、後ろからビルドアップができず、ロングフィードやクリアを選択するプレーが目についた。

しびれをきらした家長が中盤に下がり、ビルドアップに参加することで、20分辺りからリズムを掴めるようになってきたが、それでもなかなかシュートまではいけない。

中盤から前の崩しでは、脇坂の動きだしとポジショニングがハマらないため、上手くボールが回らない印象をうけた。新たに14番を背負うことになった初試合ということもあり、緊張していたのか?

左ウイングに入ったチャナティップも、フィットまで時間が掛かりそうな印象を受けた。縦への突破を仕掛ける場面が少なく、後半はインサイドハーフでもプレーしたが、違いを見せるには至っていない。

2017年に加入した家長も、適正ポジションを見つけるまでに半年ほど時間を要している。チャナティップがどれだけ早くフィットするかが、3連覇の鍵を握るかもしれない。

マルシーニョや、今回はベンチ外だった宮城も左ウイングの候補として控えており、良い競争が生まれれば、チームにとってもプラスになるだろう。

ディフェンスラインに関しては2失点したものの、大きな綻びはないように感じた。中盤の動き出しが遅かったことでパスの出しどころに困るシーンが合ったが、中盤が改善されれば問題ないはずだ。

ジェジエウが怪我のため、谷口と車屋のセンターバックがファーストチョイスになりそう。車屋にはジェジエウほどの高さやフィジカルはないが、技術と左足のフィードに関しては日本人の中でもトップクラス。

この試合でも、スピードと技術を活かしたボール運びと高精度のフィードが目立っていた。試合展開やチーム状況によっては、3バックも選択肢としては有効かもしれない。

山根と登里の両サイドバックに関しては、中盤の動き出しやポジショニングが良くないことで、窮屈さを感じていたようだった。それでもポジショニングや技術で打開していたのは流石だった。現状、この二人に代わって同レベルのプレーをできる選手がいないのは課題かもしれない。

前線に関してはダミアンはさすがの強さを見せていた。知念や小林も出場したが、この3人をどうやって回していくのかは監督も頭を悩ますかもしれない。

3人全員が必ず出場時間を確保できるわけではないため、出場時間がないときのケアをどうするのか?鬼木監督の腕の見せ所でもある。

キーパーのチョン・ソンリョンも含め、30代の選手が増えてきたチームでは世代交代も求められる。昨シーズンは、登里の怪我により旗手が左サイドバックで出場し、一気に海外移籍まで駆け上がっていった。三苫の移籍後は宮城が台頭し、勝ちを掴んだ試合もあった。

今季はどの選手が台頭してくるのか?勝ち続けながらチームを循環していくのは大変。それでも、川崎というチームはそれを期待できるだけの戦力を有している。今季も期待してみよう。



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