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InDesignからのPDF書き出しするとき、「見開き」は避けましょう

InDesignからのPDFを書き出すとき、「とりあえず、見開きで」とする現場が多いようです。

「これまで、ずっとこれだったから…」でなく、2023年、この慣習について考えるタイミングです。

「見開き」とは、書籍や雑誌などを開いたときに向かい合う左右ページのことです。

「見開き」を避けるべき理由

A. ページ番号が一致しない

「4-5ページ目を開いているのに、PDFでは3ページ目になっている」のように、ページ番号が一致しません。

「●ページの〜の件ですが」のようにコミュニケーションするとき、紛らわしいです。

B. PC以外で見るとき、小さく表示されてしまい不便

「見開き」で書き出すと、InDesignの2ページ分が「PDFでは1ページ」の扱いになってしまいます。いまどき、iPhone/iPadなどモバイルデバイスで見るとき、とても小さく表示されてしまいます。

詳細を確認するには拡大表示が必要です。そのため、スクロールの手間が増えて不便です。

ユーザーにとって利便性が低いため、ウェブサイトなどで公開するPDFでは、「見開きでの書き出し」は絶対に避けるべきです。

Acrobatでの見開き表示

そもそも、なぜ見開きが必要なの?については、いくつか理由があると思いますが、「AcrobatでPDFを確認するとき、見開きで表示できない」(と思い込んでいる)と思われます。

結論からいうと、次の2点について解説します。

  • Acrobatでのページ表示を設定できるのに面倒(知らない)

  • InDesignの書き出し時、Acrobatの表示を設定できるのにしていない

前提知識として、Acrobatの「ページ表示」オプションについて把握しておきましょう。

Acrobatの「ページ表示」からページレイアウトを変更

Acrobatの[表示]メニューの[ページ表示]のサブメニューからページレイアウトを調整します。

単一ページ表示

  • 「単一ページ表示」では1ページずつ表示されます。

  • 「スクロールを有効にする」をONにすると、ズーム比率によって前後のページが表示されます。

  • 「他のページとの間にスペースを表示」オプションをオフにすると、ページ間のアキが消え、破線が表示されます。

見開きページ表示

  • 「見開きページ表示」では、2ページずつ表示されます。

  • 「スクロール表示」、「他のページとの間にスペースを表示」オプションは、単一ページ表示のときと同様です。

表紙を表示

「見開きページ表示で表紙を表示」オプションをオンにすると、1ページ目のみ、「片ページ」で表示されます。

書籍などのページもので、見開きを正しく表示するためには、「見開きページ表示で表紙を表示」オプションをオンにします(右)。

一方、裏表で構成されている制作物(チラシ、アンケートをスキャンしたもの、名刺など)は、「見開きページ表示で表紙を表示」オプションをオフにします(左)。

「ページ表示」オプションのまとめ

書籍などの「ページもの」のPDFをAcrobatで表示するには、次のように設定します。

  • 見開きページ表示

  • 他のページとの間にスペースを表示(※お好み)

  • 見開きページ表示で表紙を表示

Acrobatの「ページ表示」オプションをドキュメントごとに設定する

ここまで読んで「うわっ!面倒…」と思われた方は、こちらのみを把握しておきましょう。Acrobatの「ページ表示」オプションは、ドキュメントごとに記憶できます。

Acrobatの[ファイル]メニューの[プロパティ]をクリックします。

キーボードショートカットは⌘ + Dキー。
DocumentのDと覚えます。

[文書のプロパティ]ウィンドウが開くので、[開き方]タブに切り替え、[ページレイアウト]のポップアップから「見開きページ(表紙)」を選択します。

[倍率]を「全体表示」にしておくとよいでしょう。

ファイルを保存すると、この設定は記憶され、改めてPDFを開くと反映されます。

[表示]メニューから設定するよりもずっとラクですので、[文書のプロパティ]ウィンドウで設定する方がよさそうです。

InDesignの書き出し時にPDFの表示を設定する

[Adobe PDFを書き出し]ダイアログボックスで[レイアウト]のポップアップから「見開きページ(表紙)」を選択すると、PDF内にその設定が埋め込まれます。

ある意味、これが一番シンプルな解決方法です。PDF書き出しプリセットに記憶できますので、設定しておくとよいでしょう。

綴じ方

実際の書籍では、左綴じ/右綴じがあります。

Acrobatで単ページのPDFを見開き表示するとき、逆になっていて困った経験をお持ちでしょう。

InDesignで新規にドキュメントを作成するときに「綴じ方」を設定します。

後から変更するには[ドキュメント設定]を開きます。

[ドキュメント設定]は[ファイル]メニューから開きます。
キーボードショートカットは、⌘ + option + Pキーです。

Acrobatでの「綴じ方」の確認と変更

AcrobatではPDFの「綴じ方」を[文書のプロパティ]ウィンドウの[詳細設定]タブで確認・変更できます。

[読み上げオプション]にあるため、一瞬迷いますが、ここです。

「綴じ方」に関してのまとめ

まとめ

InDesign

  • 書き出すとき、[レイアウト]でページ表示オプションを指定する

  • ドキュメント作成時に「綴じ方」を設定

    • または追って[ドキュメント設定]で変更

Acrobat

[ドキュメント設定]ウィンドウ(⌘ + Dキー)で次を設定するとPDFに記憶される

  • ページレイアウト

  • 綴じ方

Acrobatの[表示]メニューの[ページ表示]のサブメニューからもページレイアウトを変更できますが、ドキュメントには保存されない


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