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食と生命と健康と

(1800字)
歳をとると食と健康がつい勉強のテーマになる。
今までは、食と健康の情報もそうたくさん出回っていなかったこともあり、若い頃は、さんざん不健康な食を日本と海外で食べまくり、楽しく過ごしてきた。
しかし、最近は、食を徹底的に改善して外食を極力控えて、血管内をきれいにできたので、ギリギリ不健康を回避できた(と思っている)。今後の長い人生で、ボケたり寝たきりになることが嫌となると、毎日の食が気になってくる。

性格的に突き詰めることが好きだが、そうすると、食の起源はタネの起源に行き着く。でも、突き詰めても、どこかで自分の潔癖症と折り合いをつけないと、日本では食べるものがなくなる(笑)
それか、自分で固定種を購入して、家庭菜園をどこかの農地でやらないといけなくなる。最近の家庭菜園といっても、プロの農家さんの指導や器具の貸し出しもあり、ズボラな自分でも作物は出来るようだが、子育て世代なら、我が子に食べさせてあげたいという強い思いがあれば、継続は可能だろう。しかし、自分が美味しいものを食べるためや、子育てを終えた自分が子や孫に出来たものを送ってあげるというだけでは、なかなか強いインセンティブが湧かない。

世界の種子の状況が分かる本

この本に出会って、あと人生の数十年をスーパーの野菜だけで過ごして、どれぐらい健康に影響が出るのか、誰も分からない時代を過ごしている。自分の世代がF1野菜を食べてどうなるかの最初の実験台ということになる。しかし、この世代は空気などの環境汚染、ストレス社会の社会汚染、農薬などの化学薬品汚染などなど、汚染だらけの世の中を生きてきたので、F1種子野菜の摂取がどれぐらい健康へのマイナスの影響度合いがあるかを特定するのは困難だろう。しかし、これから子育てをする世代は別だ。この見えないリスクを事前に回避して、子孫を残していくという人類の滅亡を防がないといけない責務がある。

今の世の中は、世界中で知的財産で稼ぐ方向にまっしぐらであり、禁断の世界である食の世界にも1940年代から企業が利益を求めて戦略的に進出してきた歴史がある。
世界の種苗企業はいい種を世界中から集めてその遺伝子を操作し、農薬や多施の肥料に負けず育ち、出来上がりの形状や品質が揃う、味と栄養素の薄いF1品種の野菜が市場に出回っている。

しかし、世界には日本も含めて面白い会社や慈善組織があり、固定種の種を集めて配布したり売ってくれたりする会社も存在している。自家採取ができる種を受け継いていてくれることで、人類の生き残りのためにはとても重要な役割を果たしてくれていると言える。

F1の野菜の普及より、さらなる大きな問題は、ミツバチの消滅の危機だ。
2007年頃に世界で問題となり、今もミツバチの危機は続いている。
この原因として、一つには農薬のネオニコチノイドと巷では言われてきたが、もう一つ、F1の雄性不稔の植物が原因でないかとも言われている。
雄性不稔というミトコンドリア異常の花粉を食べて育った女王蜂は、無精子症のオス蜂を生むらしい。さらに、卵を産まない女王蜂も増えているらしい。
アインシュタインの予言に、「もしハチが地球上からいなくなれば、人類は4年以上生きられない」というものがある。蜂の受粉により植物は生き延びており、それに頼っている人類も同じ運命を辿るのだ。

これは人間にも影響があるらしく、2009年にNHKスペシャルで放映された「女と男」という番組で、1940年代の男の精子に比較して、最近の精子は1/4に減少しているとのことで、今では成人男性の2割が不妊症らしい。番組では環境ホルモンなどのせいにしていて、真実は不明のままだ。

現代の根深いさまざまな見えないリスクに対して個人や家庭で戦うことは容易では無い。企業の経済活動(お金)という強いインセンティブにたやすく負けてしまうからだ。そうなると、気づいた人から自衛するしかないが、若い世代はその経済活動のさなかにあり、また、子育てで、そんな自分で農地を耕す時間を持てる家庭は、そうないだろう。

この世にF1という怪物野菜が登場して半世紀を過ぎて、あと20年で1世紀が過ぎる。その頃には、不妊症などの原因がわかるだろうか?その頃には、もう、若い世代はほんの少ししか生まれていないかも知れない。
ワクチンよりも、もっと根本的な問題を孕んだこの見えないリスクと、どう戦うのか、決断の時が目前に迫っている。(了)

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