社内が“UXデザイン”を学習するチームになるために取り組んだこと
先日、社内で行われた UX に関する勉強会を見て、手前味噌で恐縮ですが、昔とくらべて随分レベルが上がったなと思っています。
(もちろん、まだまだ研鑽する必要はあります)
これは2年前の状態を知っているからこそ言えることであって、当時は数人のスキルを持った、かつ自律的な人たちがUXデザインを社内に啓蒙しているような状態でした。
社内勉強会の目的は1点で、属人性をなくしチームでユーザーのことを考えてデザインできるようになるためです。
私は以前から、勉強会を通して社内全体がユーザーのことを考えてデザインできる集団にしていきたいと考えていました。
UXデザインを外部の会社ができるのか?
少し話がそれますが、“UXデザイン”を外部の会社が担うことができるのか?という疑問があります。
UXデザインはユーザーの体験を向上させることで、ビジネス課題を解決するというある種、橋渡しのような位置づけという捉え方ができます。
なので、外部の会社が本気でUXデザインできるのか?(単発の作りきりで終わる形態でできるの?)と言われれば難しい印象を受けますが、弊社はビジネスモデル、つまり契約形態を変えることでUXデザインを一緒に進めることが両社の利益に資するようなかたちにしております。
このあたりはまだ手探りですが、我々のような立ち位置の会社がユーザーとビジネスにどうやってコミットできるか?は引き続き模索していく内容だと考えています。
チームでデザインができる組織にするために
先日、読んだ「デザイン組織のつくりかた」というのは大変参考になりました。
優れたデザイン組織をつくるために必要なことが、基盤/成果/マネジメントの3軸にわけられていました。
※「優れたデザイン組織の作り方」より
書籍を読むと確かにそうだと頷きつつ、これ全体に取り組むにはかなり大変です。
優先度をつけないと時間的なコストがかなりかかってしまい、途中で挫折する可能性もあるんじゃないかなと思います。
ただ、私どもが上記テーマに取り組むタイミングではこういった類の書籍がなかったので、いろんなマネジメント本や参考書籍を参考にしつつも、自分たちの業務や状況に類推させながら取り組んできました。
この記事の結論(意識していたこと)
書籍と共通する点も少しあるが、自社の場合は以下5つにフォーカスしていたと思います。
1. 信頼に基づいたチーム文化を醸成させる
2. 共通の言語を浸透させる。
3. 成果物の使い方とタイミングを実感してもらう。
4. 権限を委譲する
5. 評価制度に組み込む
本質としては、
・ ユーザーの利用動機や行動を深く理解できるようになる。
・ その解決策をデザインできる組織になること
ことだと思いますが、最初からそこに対して高いレベルを追求することはしませんでした。
多くのスタッフやが、ユーザー体験をデザインできるようになるために何をすればいいのか悩んだかと思います。
「ユーザーを理解しよう」「インサイトを理解しよう」と声高に叫んでも全員ができるようにはならないですよね。
ユーザーを理解するためには、ユーザーの行動データをつぶさに集め、それを見る方法を収斂させるなどが必要ですが、志向性および難易度も高い業務です。
(誰もができることだとは思っていない。)
チームで大事なこと
なので、まずは信頼に基づいたチームや文化を醸成することが大事です。
「これを言っても大丈夫なんだ」とか「ここがわからなかったんだ。じゃあ私知ってるのでこのアイデアでどうでしょうか?」などのコミュニケーション量を増やすこと。
社内を観察しているとコーチングができたり、橋渡しできる人を複数人見つけました。
そうなると、私は徹底的にその人をサポートするように心がけました。
彼らのやり方が目標に近づけているのかどうかをレビューいれつつ、ともかくチーム力があがるように応援をする。
チーム形成はコミュニケーションの早さと深度でしか進められないと思っているので、ここを円滑にすることがキーだよなと。
この部分を円滑にするために、ツールの導入、自動化、キーマンとのコミュニケーションを増やしたりしました。
具体的には以下のような変化が現れました
1. デザイナー自身で勉強すべきテーマを設定するようになった
2. デザインプロセスが変わった
3. お客さんとのコミュニケーション方法が変わってきた
4. 目的と役割が明確になり、行動が変わってきた
弊社は、大きくマネージャー層、リーダー層、スタッフ層と分かれていますが、スタッフ層の仕事の質を上げると組織全体の質が上がります。
なので、このスタッフ層とリーダー層の交流を増やすことがかなりポイントだということに気づきました。
評価制度もOKRを導入
そして、社内の仕組みを変えようと思うと、評価制度も同時にチューニングをしていかないといけません。
弊社はいわゆるOKRを導入しているのですが、ここで多くのチームの目標に“ユーザーのことを考えた目標”が入ってきました。
そして、マネージャーと個人が月1回すり合わせをしていくことで軌道修正や目標を修正し、ユーザーに価値が届けられているかを確認しています。
デザイナーをタイプにわけて支援(マネジメント)する。
そして、リーダーやマネージャーがマネジメントで大事なのは、相手に合わせて接し方を変えるということです。
個人のスキルについては、職能における上長や先輩など専門的なアドバイスをいつでもうけられるようにしていますが、ポイントはその時の対応方法かと思います。
私は個人のタイプを以下のように分類して、どのあたりにどういうサポートが必要なのか相手に合わせて変えるようにしています。
この図でポイントは意志決定を誰がするのか?という点です。
意志決定は経験の有無だけではなく、基本的にストレスが伴うものです。
コーチングを学習したの人は、すべてType:CかType:Dでいきたいと思いますが、相手がまだ具体的な指示が必要な場合もあります。
目指すところは、Type:Cの人を増やすということだと思いますが、ここになるとビジョンやミッションがずれていると離職されるという課題にぶつかります。
だから、デザイン組織が目的意識を共有するという基盤が最初に築かれていないと、組織運営は大変になるのだと思います。
いずれにせよ、この文章を読んでいるかたはデザインが大事!世の中にもっとデザイナーが増やしたいと思っている方が多いと思いますので、何かの参考になれば幸いです。
まとめ
長くなりましたが、社内が“UXデザイン”を学習するチームになるために取り組んだことは以下の5点です。
1. 信頼に基づいたチーム文化を醸成させる
2. 共通の言語を浸透させる。
3. 成果物の使い方とタイミングを実感してもらう。
4. 権限を委譲する
5. 評価制度に組み込む
デザイン組織をつくるという目的を達成するためにはマネジメントもセットで必要です。
今日はこの5つに似たことを試してみるそのときにどうすればいいかヒントになればと思って書いてみました。
もし、このあたりで困っている人がいたらぜひ教えてください。
私も悩んでいます(笑)ので、共有してもらえれば嬉しいです!
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