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増税と還元と大混乱

あんたのところは消費税が10%になってからこっち、どんな感じで暮らしているかね?

現実、消費税が増税されたことによる悪影響ってやつは、もう織り込み済みと言わんばかりに、平静を装って入るが、なにげに現場は大混乱していると俺は感じているんだよね。

例えば消費税増税とセットで始まっている制度が2つある。

一つが軽減税率。一つがキャッシュレス・消費者還元事業だ。

そのどちらも、結構な闇を抱えている。

今回は、この2つの制度について、改めて考えてみる回だ。

ちょっとマジで考えてないと、この国はもう転落途上国って言われているんだから、やばいぜ?

軽減税率というわかりにくさ

軽減税率。ぶっちゃけものすごくわかりにくい仕組みだ。

現実的に、街の八百屋さんが、手計算でどうこう出来る代物じゃない。

何しろ例外というか、運用上で人間が直感的に判断できる仕組みじゃないんだよね。

例えば、牛丼屋。吉野家はイートインと持ち帰りで価格を変えているので、牛丼の並盛を中で食べてお持ち帰りで牛丼並盛を1つ注文したとすると、こうなる。

¥352(税抜価格)×1.08(持ち帰り分)+¥352(税抜価格)×1.10(イートイン分)=¥380+¥387 =¥767

で、このイートインの分を途中まで食べて、中に虫を発見してクレーム返品するとしたら、この¥387分の返品になる。

でも、持ち帰った弁当に虫が入っていたら¥380の返金になるよな。

ものは全く同じものの返品なのに、「買い方」で返金額が違うようになるってことだ

これがコンビニだとさらにわけがわからなくなってくる。

同じアイスを2本買って、1本をイートインで1本を持ち帰ったケースで、持ち帰ったほうに何らかの問題があって返品するとするじゃんか。

でもレシートには、たしかに1つはイートインで1つは持ち帰りって書いてあったとして、今返品したものが「イートイン」の対象商品で問題になったのか、「持ち帰り」の対象商品で問題になったのかって、見分けがつかないわけなんだよな。
なんつっても、商品は全く同じなわけだから。

なので、「イートインで問題になったんじゃ!消費税10%の金額を返金せんかい!」ってお客様に言われたら対応するしかなくなるよな。
たとえ、「おまん、さっき食っとったときは問題なかったじゃろがい!」って思っても、それが記録には残っていないんだから、実質お店側の泣き寝入りだ。

軽減税率は汚職の温床

それよりも問題なのが軽減税率が汚職を生み出す仕組みだってことだ。

わかりやすい所で言えば、新聞だ。

定期購読の新聞については軽減税率対象商品になっている。
でも、おんなじ定期購読でも雑誌は軽減税率対象商品になっていない。

なんじゃそりゃ?って思うよな。

そこでなんとなく調べてみると、ちょっとおもしろいことが見えてくる。

出版社と新聞社の売上規模の差だ。

出版社の2018年売上トップは講談社で1,179.5億円。
新聞社の2018年売上トップは読売新聞で6,039億円。

5倍強の違いがある。

つまり、それだけ動かせる金に違いがあるってことなんだよね。

これじゃあ、闇献金みたいなわかりやすいことをするんじゃなくても、政治家に働きかけることが出来る強い業界が生き残って、そうじゃない業界は軽減税率の恩恵にあやかれなくなるって意味だよな。

問題は、軽減税率ってカードを権力者に与えてしまったってことなんだと思うんだ。正当な手続きで軽減税率適用っていう我田引水を許しちまうってことだからな。

キャッシュレス・消費者還元事業の大混乱

さらにこの訳のわからない制度が現場を混乱させている。

あんたもこのマークが飾られている店で買い物したことあるよな?

こいつがまったくもって意味がわからない。

まず、還元方法がさっぱり統一されていないってことが問題だ。

例えばコンビニは、きっちりシステム対応してくれて、レジが還元額を支払金額から差っ引いてくれる。

スゲーかんたんに言ってしまっているけれど、ここには複雑怪奇な計算が成り立っているんだよな。

まず、コンビニのケースでは2%分が還元されるんだが、その2%って何の2%なのかって話だよな。

この2%ってのが「支払額」の2%なわけだ。

例えば、ウィルキンソン(税抜¥96)4本を持ち帰りでコンビニで買ったとするじゃんか。

そうするとレシートではこんなふうに計算された結果が記されているのを見てもらえる。

¥96×4 = 384円(税抜合計)
¥384×0.08(軽減税率分) = ¥30(消費税額)
¥384+¥30 = ¥414(税込み支払額)
¥414×0.02(還元分) = ¥8(還元額)
¥414-¥8 = ¥406 (実際の支払額)

……ついてこれる?
つまり、この¥8は一部は消費税の支払いを肩代わりしてくれているってっことなんだよね。
これが還元じゃなくて値引き扱いになっていたら、税抜合計額が変わることになって、消費税額が変わることになるところだけれど、流石にそれは大混乱になるからな。

さらにこいつでウィルキンソン1本を返品したとするじゃんか?
したら、還元分のポイントなんて加味出来っこないから、¥96×1.08=¥104の返金をせざるを得ないんだよな。

そうなってくると返品したほうが還元ポイント分丸儲けって話だ。
さらにイートインなのかどうなのか問題が絡んでくると、もはや人間が運用出来る状態じゃないことは、容易に想像がつくよな。

さらにさらに、このキャッシュレス・消費者還元事業の看板挙げておいて、実際には還元してくれない店ってやつも出てきている

しかも、現場のヒトはその仕組を理解していないから、「還元されてないじゃないか!」って言われても、「申し訳ございません」としか言いようがない。

もう、こうなってくると悲劇を通り越した喜劇だ。

なあ、あんたはどう思う?

こんな制度を通した政治家の名前、チェックしておいたほうが良いと思わないか?


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