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ガンダムSEEDのセリフを振り返る

あんたは機動戦士ガンダムSEEDって作品を知っているかい?

俺は一時期この作品にどっぷり浸かっていた。
機動戦士ガンダムSEEDで50話。続編の機動戦士ガンダムSEED Destinyで50話。
合計100話の物語だ。

今から見るとするとそれなりの時間を要するこの作品。
おすすめするためには、その作品の魅力ってやつをきっちり語る必要があるよな。

ということで、今回は機動戦士ガンダムSEEDの中から、冒頭に登場する長セリフを引用してそいつを味わい尽くしてみようっていうミクロなトピックだ。

まあ、ちっと俺っちのSF考証に付き合ってみるかい?

物語の冒頭に現れたそのセリフ

俺を捕まえて話さなかったセリフはこのセリフだ。

キャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定…、チッ!なら疑似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結!ニュートラルリンケージ・ネットワーク、再構築!メタ運動野パラメータ更新!フィードフォワード制御再起動、伝達関数!コリオリ偏差修正!運動ルーチン接続!システム、オンライン!ブートストラップ起動!
出展:機動戦士ガンダムSEED

どうだい、この声優泣かせの長セリフ。

さて、一つづつ紐解いていこうか。

キャリブレーション

まずキャリブレーションってなんだって話だよな。

なるほど、標準に合わせることって感じだな。
このセリフが現れてくる状態で、主人公のキラ・ヤマトはものすごい追い詰められているんだけれど、追い詰められているときほど、基準を見失ってはいけないよって教訓が込められているわけだ。

ゼロモーメントポイント

で、次。ゼロモーメントポイント。

ざっくり言えば、二足歩行における動いている状態での重心のことらしい。

このセリフが現れてくる状況ではガンダムの姿勢制御が全うになっていなくて、そいつを光の早さでなんとかしようとしている時のセリフとして、そもそもガンダムくらいの大きさの2足歩行ロボットのゼロモーメントポイントが全うに制御できていないってことが驚愕だね。

何度転んでそのへんのものやガンダムそのものを駄目にしてきたんだろう?

CPG

こいつがちっと難しいCPG。

要するに走ったり歩いたりするために神経系に周期的な信号を生成する中枢パターン生成器ってやつが必要らしい。
この中枢パターン生成器のことをCPGと略すそうだ。

そもそも一定のリズムで足を前に出すとかの制御がままなっていなかったってことだね。

分子イオンポンプ

こいつもちっと怪しいが、疑似皮膚という表現とセットで考えると、細胞膜を通じた物質の移送方法の一つであるイオンポンプのことだと思うんだよね。

ゼロモーメントポイントとCPGの再設定がうまく行かなかった。つまり重心の制御をすでに用意されていた制御機構でコントロールしようとしたけれど、パラメータの設定し直しだけでは対応出来なかったので、より直接的に駆動系を制御している制御システムに感覚の源である皮膚の感覚(この場合はガンダムの足回りの感覚なんだろうな)を直接フィードバックさせることでゼロモーメントポイントの制御をその場で用意したお手製の制御プログラムに制御させる。
そうすることで、なんとか立ち上がれる状態を確保したってことなんだろう。

まあ、普段から二足歩行の研究に携わっていたから出来る……ってわけに行くか!
作品上の描写では何らかの記憶媒体をガンダムに入れている仕草もない。

……あ、そうか。ネットから自分の研究室にアクセスして入手したのかな?

ってかそのくらいしか説明がつかないぞ!

ニュートラルリンケージ・ネットワーク

さてこのあたりから結構怪しくなってくるぞ。

ニュートラルってのは中立のとか動力の伝達されない状態を示している。自動車のギアのニュートラルってのはまさにそれを指すよな。

リンケージ・ネットワークってのは何者なのか?

ググってみてもこのキラ・ヤマトのセリフが引っかかるばっかりでリンケージ・ネットワークって言葉が見当たらない。

言葉の意味通り捉えるなら、リンケージってのは連携、ネットワークはそのまんまネットだよな。

代替の言葉の意味を想定するに、駆動系の動力が伝わっていない時の各関節の状態を連動させるための情報統括を行うための仕組みの状態を再定義したってことなんだろう。

つまり、まっすぐ立っているときにどういう状態になっているかを再定義することで、運動をしている状態との差分を正確に把握するようにしたってことだな。

っていうか、そのあたりのパラメータの正しさをキラ・ヤマトはどうやって把握したんだろう?
乗ったばかりのモビルスーツの構造を把握できるはずもなく、そんな基礎パラメータの正確な情報をどうやったら再定義出来るのか。っていうか、なんで再定義したほうが良いと考えたのか。

永遠の謎だな。
あ、あれか。SEEDを持つものはそのへんが乗っただけで分かるのか(だいぶ適当)。

メタ運動野パラメータ更新

このあたりのSEEDの世界観でのモビルスーツアーキテクチャがどうなってんのかが作品中では殆ど語られていないのでなんとも言えない部分になってくる。

言葉の通り捉えていくのであれば運動野ってのは脳の中で運動を司る部分のことを指す。

それが「メタ」ってのはどういうことになるのか。

メタってのは「高次の」とか「超~」とかって意味で使われる。

そのものを定義する言葉って感じでも使われるよな。

つまりメタ運動野パラメータってのは運動野という運動制御のための仕組みを定義するパラメータってことになるな。

つまり、この時点でキラ・ヤマトは普段の2足歩行の研究と比べて、ガンダムに設定されていたパラメータがずさんに設定されていたことを瞬時に見抜き、それを再調整したことになる。

ほんのちょっと動かしただけでそんな根っこの設定を見直したってのか。
どっからその正しさを導き出したのか。
その辺はもお、見ているあんたの想像力で補うしかなさそうだ。

フィードフォワード制御再起動

このあたりになってくると、まあなんとなく想像はつく。

今までさんざんぱら、運動に関するパラメータを書き換えまくっているので、そのパラメータを前提として各種デバイスへの制御系を再起動しなければならないってわけだ。

とくにフィードフォワード、つまり予め姿勢制御を行う駆動系に発生するであろう外乱(ランダムに発生するノイズのようなもの)を新しいパラメータで想定し直して、実際の駆動系の動作を制御することは避けて通れない作業になる。

そりゃあ運動野の定義からやり直したんだからフィードフォワードの前提になっている情報が書き換えられていることになるわけだから、そいつを制御系に再定義することは必要になるよな。

でもそんなのそんなにすぐに出来るんだっけ?
それはそれ、ガンダムですから。

伝達関数・コリオリ偏差修正・運動ルーチン接続

もぉ、だんだん雑になっていくぞ。

伝達関数は各部所に信号を伝達する際の関数だよな。フィードフォワード系の再起動を行うことで、各部所のインタフェースに渡る情報が最新化された。
そいつをインタフェースの受け取り手である伝達関数にわたすってことだな。

コリオリの力ってのは、あんたも高校のときに物理で習ったよな。

回転に伴う慣性力のことだ。
で、その偏差とは?

偏差ってのは、統計学的なゆらぎのことだ。どんだけ理論値に対してバラけるのか。

ポイントはこのガンダムが立ち上がる場所がどこなのかってことだな。
そう、コロニーだ。

コロニーは回転し続けることで重力を生み出す。
地上での重力とはちっとわけが違うわけだな。

人間であれば、その辺の微妙な違いを小脳が吸収してくれるがモビルスーツともなればそうも行かない。

ってか、そんな基礎パラメータから直さなきゃいけなかったのか。
地球連邦は何やってたんだ。弾幕薄いぞ(違)。

で、もろもろの修正を加えて最終的に運動ルーチンつまり、実際の駆動系に情報を伝達する。

やれやれ、ようやく動き出すよ。

システム、オンライン!ブートストラップ起動!

なんやかんやあって、ようやくシステムオンライン。

ブートストラップってのは、システムの起動をするための起動バッチみたいなものだな。

ブートストラップってのは基本的に入力パラメータを持たない。

つまり起動するだけってことね。

お膳立ては整った。さあ、立ち上がれガンダム!ってわけだ。

つまりは

さあ、ここまでセリフを紐解いていったが、ぶっちゃけモビルスーツのアーキテクチャが全くわからないので、キラ・ヤマトが何を持ってこの短い時間に各種パラメータを正確に再評価できたのかは謎のままだ。

とは言え、この本の10秒程度の時間でモビルスーツは動くようになり、キラ・ヤマトは生き延びることが出来た。

なあ、あんたはどう思う?

このセリフ、直に味わってみたいと思うかい?

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