DV2021 (15) 7月19日の訴訟審問

こんにちは。明日7月19日はDV-2021にかかわる複数の訴訟の審問が開かれる重要な日です。
同様の訴えを起こしている複数の案件がまとめてMehta判事にアサインされておりますが、そのうちのひとつGoh vs DOSのリード弁護士Charles Kuck氏によると明日の審問は以下のような順序で進められるということです。

この4つの内容について、BritSimonが以下のブログ・ビデオで詳細に説明しています。ビデオは30分以上ありましたので、時間のないための方に要点を簡単にまとめておきたいと思います。

1. Justiciability

まずは訴訟の正当性について争います。つまり「原告にはこの内容で被告を訴える権利、正当性があるか?」というそもそもの点についてから話が始まるわけです。これは裁判の形式に則ったもので、そんなに深い議論にはならないだろうというのがBritSimonの見解です。

2. INA 212(f) interpretation and Delay

INA 212は移民法の中で大統領の権限について書かれている部分です。トランプが大統領だった時、アメリカ国内でのコロナ蔓延とそれに伴う雇用危機(まあそれもトランプ政権の失策が主な原因だと思いますが)からアメリカ国民を守るという名目で移民の締め出しが始まりました。具体的にはPP−10014などの大統領令によって国外からの新たな移民の入国をかなり厳しく制限し始めました。これに伴って国務省は入国制限だけでなくビザの発給も制限し始めました(いわゆるNo Visa  Policy)。
DV2020裁判での争点のひとつはこれらの大統領令が違法であるかどうかでしたが、Mehta判事は「大統領には移民の入国を制限する権限があり、一連の大統領令は合法。ただし入国を制限できるからといって、ビザの発給を制限する権限があるわけではない。なので国務省がビザ発給業務を怠ったことは違法であり、DV2020に関しては残った時間で最善の努力を尽くさなければならない」という判断をしました。
DV2020案件に下された判断は当然DV2021にも当てはまって然るべきなのですが、国務省(とその管轄のKCCなど)はDV2021のビザ発給業務を相変わらず怠っており、今回もその点を原告側弁護士が糾弾することになると予想されます。

3. Case-specific claims

ここでは以下の4点について議論されるようです。

① No Visa Policyの違法性(これは上述の通り。今回も違法とみなされる可能性が高い)
② 国務省が設定した移民ビザ処理の優先順位付けの違法性(DVが優先順位で最下位に位置付けられていることに対する正当性の欠如が争点になります)
③ 上記1、2の政府側対応によるDVビザ発給遅延の停止・改善命令要望
④ 原告のビザ申請案件の処理実行命令要望

4. How Relief will work

Mehta判事がDV2020、DV2021の当選者に対してどのような打開策を提示可能かについて議論されるようです。例えば以下のような裁判所命令が検討される可能性があります:

・COVIDの影響で面接が行えない大使館に対して、リモート面接やアクリル板設置など安全に面接を実施できる環境を整えて大使館業務を再開するように指示する
・もし業務停止している大使館がある場合、その大使館でスケジュールされることになっているケースを近隣の大使館に移管するよう指示する

ただし、恐らく明日の時点では最終的な判決は下される望みはかなり薄いです。明日の審問を経て、数日後以降に裁判所の判断・指示が出される可能性が高いです。

ちょっと雑な記事になってしまい申し訳ありません。審問は日本時間で今日の夜中(7月20日の午前2時)に始まるため、できるだけ早く公開したくしたかったため、細かい点は割愛しておりますことをご了承下さい。

いい結果になることを祈りましょう。

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