ファンのみんなへ

健太です。

まずは、ニューイヤーコンサート、来てくれたみんな、本当にありがとう。いつものことながら、結局みんなに元気をもらっちゃう。大事な一年、とても良いスタートが切れたと思います。改めて、今年もどうぞよろしくお願いします。

さて。発表、しました。新メンバーあいちゃんの加入。

この新メンバーの加入という大きな出来事を、祝福してくれるファンのみんながいる。そのあたたかさにとても嬉しくなります。僕らにとって未来がパッと明るくなったこの出来事、喜んでくれてありがとう。どうぞおおいに期待していてください。

でも、人によっては複雑な気持ちもあるだろうということも、もちろんわかっています。りっちゃんもファンのみんなにとても愛されていたこと、そしてファンのみんなが、あの4人でのニコルズを特別なものに感じていてくれたこと。それはこの上なく嬉しいことだし、ファンのみんなのそういう気持ちがあってこそ、僕らはずっと活動を続けてこられた。本当に、心から感謝しています。

りっちゃんは、結婚とその生活を最優先に生きていくという、ニコルズの活動とはまたベクトルが違う「幸せ」を手にする道を選び、僕ら3人はニコルズを続け、結果として新しい仲間と一緒に歩んでいく道を選びました。今回の新メンバー加入のニュースについて、僕ら自身コメントを出しているけど、そこに長々とした文章を載せるわけにもいかないので簡潔にまとめています。それが全てと言えば全てには違いないんだけど、書ききれていない思いもたくさんあります。

今日は僕の気持ちの深いところまで知って欲しくて、思いをつらつらと書きたいと思います。かなり長くなると思うけど、みんなに知って欲しいから書きます。

僕はミュージシャンです。そしてD.W.ニコルズのメンバー。ずっと音楽のことばかり考えて生きてきたし、人一倍音楽が好きだと思っている。かなり音楽にはうるさい。そして、自分が作り出して奏でる音楽には、いろいろな責任と、人生を背負っています。自分の人生、メンバーの人生、スタッフの人生。大げさに聞こえるかもしれないけど決して大げさなことじゃないです。だからこそ、より一層自分の音楽には妥協をしたくない。そう思って毎日を生きています。

りっちゃんが脱退するということになって、僕らの選択肢は3つあった。一つは、ライブの度にサポートドラマーを入れてバンド編成で続けていくということ。もう一つは新しいメンバーを入れるということ。そしてもう一つはドラムレスの3人編成で続けていくということ。

でも、大切な大切な4人目のニコルズの椅子に、りっちゃんではない誰かが座るということに対する違和感を誰よりも強く感じていたのは、10年間同じ4人で続けてきた僕ら自身。そこで僕らは、3人編成だからこそできる、それでいて変わらないニコルズをやろうと決めた。まずそれでやれるところまでやろうじゃないか、3人でもすごいんだぞってところをファンのみんなに見せてやろうじゃないか、と。

いざ3人でスタジオに入ってみると、これがなかなかうまくいった。3人だからこそ表現できるニコルズもあったし、変わらないスピリットをより強く打ち出せると思った。3人の結束も、より強まった。

ところが、やっぱり大きな問題もあった。色々なイベントの出演オファーはバンド編成でのオファーがほとんど。大きいイベントでは特にそう。そりゃそうだ。ニコルズは4人組バンドとして認知されて、それを積み上げてきて今のポジションがあるのだから。イベントの主催者側にとってはドラマーがどうとかはほとんど関係ないのだろう。1人くらいメンバーが変わったところで、だいちゃんが歌い、しゃべり、バンドがしっかり演奏さえしていればニコルズなのである。

そういった色々なイベントに出られなくなると、ニコルズの活動を継続していくのは現実的に難しくなる。難しいどころか、事実上不可能と言える。みんなそれぞれ他の仕事をして時々ニコルズをやる、という活動ならできるかもしれないけど、僕らはそんな活動をする気は毛頭ない。

それにニコルズの楽曲たちはバンド編成でないとちゃんと表現できないというのも事実ではあった。3人のアコースティック編成での表現はあくまで別バージョンなのだ。つまりそれで続けていくということはそれこそバンドの「方向転換」に他ならない。しかし僕らは方向転換をするつもりはないのだ。

というわけで、仕方なく、というのとも違うのだけれど、バンド編成でのライブをやるために、サポートという形でニコルズに合うドラマーを探した。3人でツアーを回りながら、いくつかはバンド編成でイベントに出る必要があった。もちろん、メンバーにしたいというような人がいればいいなという気持ちも無いでは無かったけれど、そんな人は思いつきもしなかったし、僕らのお眼鏡にかなうようなドラマーはそうそういるもんじゃないと思っていたから、そこまでは全く考えていなかった。

りっちゃんの脱退を発表してすぐ、色んなドラマーが「何かあったらいつでも言ってよ!」と遠回りにサポートを立候補してきたけど(笑)、どのドラマーもニコルズで4人で一緒に演奏したいとは思えなかった。みんないいドラマーばかりだったけど、ニコルズで4人でやるということを考えるとどうもピンと来なかった。

そんな中、メンバーの意見が一致して候補に上がったのが、対バンしたバンドでドラムを叩いていたりライブを見に来てくれたりしていた、萬玉あい、あいちゃんだった。大阪に住んでいるし、現実的には色々たいへんだろうけど、ドラムもコーラスもいいし、そもそもニコルズが大好き。そして人としての雰囲気も、彼女となら4人で演奏する姿がイメージできるんじゃないか、と。もちろん、それでもあくまでサポートとしてのイメージだった。サポートミュージシャンで入ってもらうにしても、僕らはそこまでシビアに考えていた。だからましてや新メンバーを入れるなんて可能性はほとんどゼロと考えていた。心底バッチリだと思える人でなければメンバーとして考える気はないし、そんな人とはそうそう巡り会えるはずはない、と思っていた。だからそれはこれからまた長く活動していく中で出会えたらラッキーだな、くらいに思っていた。

さて、あいちゃんがサポート候補に上がったところで、まず実際に音を合わせてみないことには何ともわからないし、何より本人がやってくれるかどうかもわからない。まずは何もかもさておいて、とりあえずスタジオに入ろうということで、東京まで来てもらってスタジオに入った。

僕はあいちゃんの演奏はライブで見ていたし音源でも聴いていた。それで「良いな」と思ったから声をかけたわけだけど、実際に一緒に演奏するのは、見たり聴いたりするのとはわけが全然違う。僕はメンバーの中である意味一番経験豊富だ。ニコルズに入るまでは色んなバンドやサポートをやってきたし、入ってからも、ライブのサポートもレコーディングも、プロデュースもしたことがある。だから色んなドラマーと一緒に演奏をしてきた。そんな僕は経験上、演奏を見たり聴いたりして良いなと思ったドラマーが、いざ一緒に演奏してみると全然ピンとこない、ということがとても多いことを知っている。そして一緒に演奏して良いと感じたドラマーでも、もしニコルズで叩いたらと考えたとき、ハマりそうだなと思ったことはほとんどない。だから、正直言ってほとんど期待していなかった。「サポートならお願いできるかな」という感触なら上出来くらいに失礼ながら思っていたし、もしだいちゃんとまなんが好感触だったとしても、僕に引っかかるところがあれば話を進めるのはよそうという強い意志を持っていた。

ところが、セッションしてみて驚いた。とにかく演奏しやすかった。タイム感も跳ねる具合も、驚くほどしっくりきた。それに、こういう「曲を覚えてとりあえずスタジオ入ってみよう」という場合、全てのプレイを完全にコピーするわけではなく、ある程度は何となく合わせるというのが普通なんだけど、その何となく合わせてくるフィルが何ともバッチリで気持ちよかった。実はそこにこそ、そのドラマーの持っているものが顕著に現れると僕は思っているんだけど、その何となく合わせるフィルが、曲というか僕のイメージにバッチリはまるということは、曲の流れ、歌の流れ、アレンジの流れが自然と理解できているということ。というか、僕のイメージするものと合っている、ということ。これも今まで経験したことのないものだったから驚いた。さらに細かな注文をしても、多分そのイメージがすでに共有できているからなのか、話が早かった。最初の頃こそ様子をうかがって叩いていたけど、セッションを重ね、ディスカッションを重ねていくうちに、背骨のしっかりしたビートを叩き出した。思っていたよりもずっとずっと芯のあるドラマーでもあった。

だいちゃんとまなんもご機嫌な様子だった。とても楽しそう。そして何よりだいちゃんの歌はとても伸びやかで、まなんのベースもとてもグルーヴしていた。今までにないほどに。それが何よりの答えだった。

もちろんもっと上手いドラマーなんていくらでもいるだろうと思う。でも、こんなにニコルズに合うドラマーは他にいないだろうと思った。プレイスタイル、音色、歌詞への寄り添い方、曲やアレンジの理解度、音楽に対する姿勢、ドラムに対する考え方。さらには女性であること、コーラスが良いこと。全てがバッチリだった。こんな出会いがあるなんてと驚いた。ビビビと来たとはまさにこのことだった。そしてサポートではなく、正式メンバーとしてニコルズに入って欲しいという気持ちになったことは3人とも一致していた。

あいちゃんは、バンドマンとしてではない道へ進むための新しい生活を始めたばかりだった。でも僕らは、ニコルズに入らないかと話をした。それはつまり、ニコルズに人生を懸けてみないかということだ。せっかく見い出して歩み始めたばかりの新しい道を捨てて、右も左もほとんどわからないであろう東京に出てきて、僕らと一緒に人生を歩んでみないか、と言ったのだ。僕らはそれを決断することがどれだけ大変なことかわかっているつもりだ。それだけの覚悟が僕らにはあったし、それだけの価値のある未来が見えていたからこそ、の話なのだ。

あまりの急な話でもあったし、あいちゃんは相当困惑したことだろう。でも、しばらく期間を置いて考えた結果、「ニコルズになる」という決断をしてくれた。

僕らは、早く誰かをメンバーに入れたいというような考えは全くなかったから、他のドラマーの候補というものは全く考えていなかった。だから他の誰かを試すどころか、候補を挙げることすらしていない。僕らにとっても、あまりに早い、新メンバーの決定だった。

こんなに早く新メンバーが加入するということに戸惑うファンもきっと多いだろうと思った。前にも述べた通り、りっちゃんもファンのみんなにとても愛されていたこと、ファンのみんながあの4人でのニコルズを特別なものに感じていてくれたことは、僕ら自身よくわかっているから。でもニコルズにはドラマーが必要なのです。さらには全員が正式メンバーとして活動できるのが現実的にベストなことには違いないし、僕ら自身が正式メンバーで活動したいという思いに違いはないのです。そして僕らは信じられないくらい早いタイミングで、「一緒にニコルズをやりたい」と一点の曇りもなく思えるメンバーに出会うことができたのです。

それは、音楽を作り、奏で、届ける僕らにとって、この上なく幸運なことです。僕らがいつも言っている目標は「続けていくこと」。そのために必要な最適なピースが揃ったのです。

僕はスマイルフェスティバルで「ニコルズは、できた」と言いました。結成から11年、りっちゃんとともに10年歩んで、D.W.ニコルズというバンドの揺るぎない大切なものができました。できたから、もう揺るがないのです。3人になっても変わらなかったように、新しい4人になっても変わりません。僕らは、積み上げていく。コツコツコツコツと積み上げてここまできました。これからも積み上げていきます。

新しい風が吹いて、僕らのミュージシャンとして一番大切な「創造力」がまた花開いているのを実感しています。あいちゃんはまさにカンフル剤になった。すでに新しい作品へ向けて、あいちゃんを加えた4人で制作を進めています。『スマイル4』。今までと変わらない、でもフレッシュで躍動感あふれる作品になると思います。

僕らのハッピーとラッキーを、一緒に祝福してくれたなら幸いです。これからのニコルズに期待して欲しい。これからもよろしくお願いします。

D.W.ニコルズ 鈴木健太

#dw25 #dw25_kenta

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?