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Spectee村上さん講演 ~後編:起業と未来予測~

2018年6月21日の「躍動する企業人」第2回、Spectee代表 村上さんの講演のメモを前後編にわたってご紹介いたします。
今回は後編です。(前編はこちら

・AIなどテクノロジーの変化の中で何が重要でどう戦うか
・スタートアップが大企業と対等に渡り合うために必要なこと

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起業のきっかけ

早稲田大学ビジネススクール(WBS)を 2011年に卒業した。
いつかは起業したいな、と思っていたが、その年に東日本大震災が起こった。
それでやりたいなと思ったことは、すぐにやっておかないといけないと思ったので、会社を辞めて個人事業主として起業しました。

インキュベーションプログラムに通って、このころから注目され始めた。
WBS卒業生のOpen Network Lab最優秀賞は上坂君(株式会社viibar代表取締役 上坂優太氏)以来だと思う。

結構泥臭くやってきて、創業時から急成長してきたわけではない。
また確固たる信念があって、ビジネスモデルを築いてきたわけでもない。ビジネスをやっていく中で、ようやく見えてきた感じがしています。

情報爆発の時代とSpecteeの挑戦

44ZB(ゼタバイト)・・・ZBは10の21乗バイト。
これが2020年に達する、世界のインターネット上の情報量だと言われている

人口爆発と言ったりするが、今は情報爆発の時代だとも言われる。
「ググレカス」と言われるが、もはやググっても出てこない時代になっていく。

欲しい情報が必ずしも今のアルゴリズムに従って出てくることはない。
たとえば「火事」なんて情報は、通常、自分のツイッターのタイムラインにほとんど上がってこない。それだけ珍しい事象だということ。
上がってきても精度の確認が必要。Googleでも太刀打ちできない状態になってくる。

もはや正しい情報を探し出すのが無理な時代が来る。
2025年には160ZBになると言われている。

(オバマ前大統領の精巧なフェイク動画を見つつ)
AIが作ったフェイク情報を人間はほとんど見分けることはできなくなってきました。
津田大介さんの『情報の海の中から宝石を見つけ出す』という本があります。
まさにゴミ情報の中から、必要な情報を見つけ出す必要がある時代です。

Specteeは報道情報を提供している会社であって報道機関ではありません。
僕たちの事業ドメインは「必要な情報を届ける会社」
必要な情報は、必ずしも報道情報だけではない。

たとえば自分がこれから行こうと思っている場所が、どんな状態なのかを知りたいというニーズがある。
それで京都にサイネージを設置している。
若い人は行きたいお店を探すのに、インスタグラムで探す。
観光に来た人に、そうした情報を提供することを行おうしている。

技術進化と各社の対応

最近、シンギュラリティが起こる、起こらないかが話題になっているが、僕は起きるかどうかが重要だとは思っていない。
ソフトバンクの孫さんはこれを信じていて、AIやIoT、ロボットの会社になろうとしている。

AIと人との対決もよく報道されている。
1996年にIBMのディープブルーがチェスで人間のチャンピオンに勝った。
その当時、コンピュータが人間に囲碁で勝つのは、50年は無理と言われていた。しかし、たった20年後、2016年AlphaGoが人間に勝ってしまった。

さらに自己学習型のAlphaGo Zero が出てきた。
AlphaGoでは、人が長時間かけて教えていた。
しかしAlphaGo Zeroは、たった3日間の自己学習でAlphaGoに勝ってしまった。その後100戦100勝し続けている。

スマホの寿命は2020年までかもよ、と最近あちこちで言っています。
コミュニケーションデバイスはおよそ10年サイクルで移り変わってきました。
 1990 ポケベル
 2000 ガラケー
 2008 iPhone(日本販売)
2010 年にはみんながスマホを持つようになった。
では2020年は…?スマホは生き残っているのか?

企業でこれからスマホ向けのビジネスを考えていたら、もはや手遅れだぞ、と思っています。
そろそろスマホの時代というのは終わりを迎えているのではないかと思っている。
将来のSNS(Facebook)はVRで行われるのではないかとFacebook自身も予測している。

今ある常識が来年も通用するかというとそうとも言えないくらいのスピードで進化が起こっています。
Specteeではテクノロジーの進化予測表を作っている。

テクノロジーの例:小型ドローン
親指サイズのドローンが開発されています。
これを兵器として使えるのではないかという予測も出ている。
画像認識を使い人の顔を認識して、爆弾を積み、ターゲットを追いかけて攻撃できてしまう。

テクノロジーの例:電気自動車
電気自動車のNIO(中国)によるレース映像が公開されています。
彼らの開発した電気自動車が、ガソリン車によるコースレコードを超える様子です。
中国のベンチャーが作ったというところがポイントで、その技術力に驚いた。

テンセントは、自分たちの現在の事業は10年後にはなくなっていると確信している。
だから、いま稼いだお金は全て次の事業創出のために投資している。

ソフトバンクも次々にドメインを変えていっていて、新たなドメインに投資している。それは今の事業が継続しないと確信しているから。
トヨタですら e-Paletteを発表した。

未来予測

未来に起こる2つのこと
・エクスポネンシャル(指数関数的な未来)
・突然変異による大変革

・エクスポネンシャル(指数関数的な未来)
歴史をふり返ってみても、これまでも人口やコンピュータの処理能力は直線的に伸びてきたわけではない。

バイバインという、5分後には2倍になるドラえもんのアイテムがあるが、まさに指数関数的な増加の例。
最初は1個が2個、2個が4個という増え方だが、最終的には増えすぎて処理できなくなって、宇宙に飛ばしてしまうオチがついている。
直線的成長をしてきた会社は、いずれ指数関数的に伸びる環境に追いつけなくなってしまうと考えている。

・突然変異
予測していた未来とは、まったく異なることが起こるということ。
未来の事象は、現在の延長線上に現れるばかりではない。

可能性の探求とスピード

こうした変化についていくために、社員全員に開発を行わせたり、外部の機関とコラボレーションしたり、報道だけではなくて、可能性をどんどん、どんどん突き詰めていこうとしています。

新しいものも出てきていて順調に伸びていっているが、今の新規事業の延長線で考えていって、リリースしたときには外部環境が変わっていることも大いにありえます。

生き残るためには、とにかくスピードを上げることが必要。
開発も意志決定も、とにかくスピードを上げようとしてやっています。

村上 建治郎(MURAKAMI, Kenjiro)株式会社 Spectee (Spectee Inc.)代表取締役 CEO

1974年、東京都生まれ。高校卒業後、渡米し英語学校に通い、ネバダ大学に留学。1999年12月に同大学理学部物理学科を卒業。帰国後の2000年4月、ソニー子会社に入社し、動画配信やオンラインゲームのソニーのデバイスと組み合わせた企画販売をする仕事に従事。2004年に外資系の製薬会社向けの開発受託会社である Charles River Laboratories(本社:ボストン)に転職し、日本支社の立ち上げに携わる。2007年にシスコシステムズに転職し、法人営業を担当。シスコ在職中の2009年に早稲田大学ビジネススクール(WBS)に入学し2011年3月に卒業。2011年末にシスコを退職し「リブリ株式会社(現:Spectee)」を創業する。

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