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BMSGラッパーズチューン -118- を解剖

BMSG内、奇跡の同じ誕生日のラッパー3人が集結し、誕生日である1月18日にドロップされた『118』

SKY-HIとエンジニア/トラックメーカーSHIMI from BUZZER BEATS (D.O.C.)によるプロデュースユニットSOURCEKEYのストイックでタイトなビートにのせ、3人が自身の存在をスキルフルにボースティングするDOPEなHIP HOPチューン。(Youtube概要欄より)

https://youtu.be/yASX5PT_izg

トラックにラップのフロウ、ダンスにビジュアル、カメラワーク等、そこかしこに『考えるな、感じろ』とハラスメント的に強いられそうなくらい、ラップに馴染みがないとしても、感覚的にヤバさが伝わってくる曲だろう。

そのまま耳で楽しむ、目で楽しむのも最高の楽しみ方で、ずっと浸っていたいんだけど、当方、だいぶラップ脳、HIPHOP脳に侵されており、ちょっと理論的に聴いたり、関連事項に思いを馳せがちな体質なため、
『そんな楽しみ方もあるのね』っていうところを紹介していこうと思う。

edhiiiboi
まずは信じられないくらい聞き取りやすい滑舌に、発声、特徴的なガナリ、そしてそれをこのハイスピードラップでこなしている。
14thSyndromeでもそのラップスキルは周知済みで、デビューシングルNOでも多様なフロウ、言葉のデリバリー、そして自身が描いた部屋のイラストの世界観など、幅の広さと才能の奥深さが底知れなくてちょっとヒいてしまったくらい。

あなたはこんなに自身を誇って、カッコつけることできるだろうか。
HIPHOPのリリックや精神性には『リアル』を歌うことに、大きなエネルギーを持つことが特徴的で、聴く人すら強くなった気がしてしまう。

少し脇道それるけど、同じ歳のラッパーTAIKIのTO DO LISTでも、一見クスッとしてしまいそうなリリックもあるが、彼が彼のリアルに嘘をついていないから、そのワードチョイスから独自性や芸術性も高まっていると思っている。

この曲にはedhiiiにとってのリアルが、ぎっちり、文字通り余白なしに詰まっている。
ラッパーたるもの、どの口が何言うかが肝心なんだけど、14歳を武器に、14歳が吐ける言葉のインパクトの強さをもってして、歳の関係ないステージで勝負している。あ、15歳になったのか!
アリーナドームも夢じゃなかった は14thSyndromeのTAIKIのリリックから繋がってるのも最高。

あとこの出で立ちと、MVになったときの場馴れ感の半端なさ。
知る限りだけど、これまで場数を散々踏んできたと、いう経歴では無いように思うけど、もう自身の魅せ方がわかっていて、SKY-HIが見初めているのは伊達じゃない。

edhiiiのパンチライン*
・夜は部屋にこもってリモート会議『ちょっ忙しいんだわ』
・俺の名は少年edhiii boi BMSG LIL異端児
*パンチライン(わかりやすく言うと決め台詞、最もイカしたワード)

ちなみにedhiiiと同じく15歳の頃のNovelCoreについてはこちら

SOTA
まずはMVでオリジナリティ、アイデンティティを存分に発揮している、初っ端のトラックの金属音に対して、痺れるような音ハメ。これだけで人を惚れさせるって最高でしょ。

ラップで気になったのが
『見たこと無いtype』というワードチョイス。
これJP THE WAVYの超WAVYでごめんね の
『今まで見たことないこのtype』
サンプリング*だと思うんだよね。
*サンプリングとは
パクリじゃなくて、引用することにより、敬意を評す役割を持つ、HIPHOP界隈のカルチャー
*楽しみ方としては、『わー!これあの曲のパンチラインじゃん!HIPHOP IQ高いなー!あのラッパーのことリスペクトしてるんだ~』的な。

非公式しかなかったMV↓

JP THE WAVYって誰?って方、またまたご冗談を!
あなたは既に知っている。

この曲ね。
SKY-HIとも最近ラジオで話してるよ。

最近の曲だとこんな感じ

って、また脇道逸れてると思ってるかもだけど、紹介するからにはちゃんと意味がある。
この曲のトラックメイカーはNovelCoreのWAGAMAMA MONDAIJIでおなじみのKMである。
ほらね、音楽を共通言語にして、いろんな点と点が繋がって線になるの楽しいでしょ?

JP THE WAVY自体が元ダンサーのラッパーだし、SOTAと発声も近くてもしかしたらお手本にしてるかもね。

SOTAのパンチライン
『トレンド常習犯』とか『多彩もほどほどにしときなさい』ってボースティングしてるの、SOTAが言うから説得力とパンチ力がめちゃくちゃ強い。
それにBE:FIRSTでのラップでは見せない、『モテちゃって困るんだよねスタンス』だからこれまたかっこよく聞こえる。

『湘南産』で地元レペゼン(代表して誇る)して、
『超minor』でSMS(ちょうまいなーとしょうまいなー押韻)をネームドロップ(名前を挙げること)してて、どこを切り取ってもラップスタンスがもう完全にHIPHOPなんだよな。
前後が早いラッパーだけど、このビートにばっちりハマってラップしているところがなんともかっこよすぎる。ラップ歴1年未満て嘘だろ。

ラストを飾るNovelCore
こういうマイクリレーものって、共作だし、もちろんお互いが喧嘩してるわけないんだけど、絶対に自分が一番と誇るマインドで臨んでいることが多い。
それを物語っているCoreの第一声がこちら
最初も最後も関係ねぇ 俺が立ってる箇所が常にピーク

ラップを普段熱心に聞かない層には、ラップの韻を踏んでるところって、語尾ばかりだと思っているかも知れない。脚韻といいます。
例えばedhiiiの

階段を上る決して下ることはない
人間離れしてるこの存在
誰にも真似できないからドンマイ
118この三人のShowTime
みたいだろアナタも是非とも招待

は全部母音に変えると太文字部分が onai に近い響きで展開されている。

対してCore は頭韻を織り交ぜて、テクニカルに韻や共通の音を散りばめている。

118
画みたいな話 今 現実に
118 じ日 じ肩書での旗本に
ランナーズハイ 何回でもスピットする
出るエンドルフィン
ブースの中 フジヤマの頂 唾はマグマに
RingRing 鳴り止まないサイレン
異端 麒麟 問題

ラップにはこうしたボースティングもの(自己賛美・自画自賛)がよくあるんだけど、蹴落としているのではなく、自身を誇っているリリックの数々はBMSGのスタンスありきの中で表現されているのが興味深かった。


おまけ①
HIPHOPのトラックにはネームタグ、プロデューサータグというものがある。
HIPHOPのトラックって、トラックメイカーが楽曲上に『俺のビートだぜ』っていうアピールのために、曲が始まる前に、そのトラックメイカーの楽曲だと示す役割の、いわゆる画家のサインのように音や、声を入れる。
NovelCoreの曲で『LIL諭吉~』って聞こえたことありませんか?あれです。
ちなみにBE FREEのプロデューサーChaki Zuleuもネームタグあります↓

でね、Gifted.もそうだし、118でもはじめに『BMSG』が入ってるのを聴いて、細かいところまでHIPHOPマナーに沿っているなと思った。

118を押す音が電話のダイヤル音を使っていたり、コンテナの番号、ダイヤル錠、エレベーターの階数、昔風日付表記も2022 1 18だったり、映像にも118を散りばめているのもこだわりがあってアーティシズム感じる。

それてSKY-HIもMV中にちらっと出てくるけど、あのSKY-HIがそれだけで我慢できるはずないと勝手に思ってる。きっとSKY-HIも参加するRemixが出てくるんじゃないかと期待をしている。
(で、俺はどこでラップすればいいんだけ?とか聞かずに、当たり前の顔して入ってきてほしい)

おまけ②
過去のSKY-HIのマイクリレーものをシェア。
上述したような、『俺が全部(注目を)持ってく!!!!』っていうアティテュード(態度)に溢れていてどれもかっこいい。

特にTurn Upはオーバーキルしてる

What's GenerationのRAUDEFはSKY-HIともNovelCoreとも曲やってるし、KOPERUはCreepy NutsのR指定の元相棒であり、118のMV作ったISSEIと曲作ってる。こういう点と点が繋がっていくのが楽しいんだよね。

KOPERU&ISSEI

先輩たちに囲まれたShock

THE FIRSTでも耳馴染みあると思うけど、改めて聴いても思想とか、メッセージ性が強い

マンガをテーマに歌われているラップ

歌詞はこちらを参照しました。
https://www.uta-net.com/song/313054/



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