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『やっぱりどの行事も食べるイタリア~イースター編~』

今年は4月4日がイースター(伊語: PASQUAパスクワ)だったイタリアです。
キリスト教において大切な日のひとつですが、あまりその手のことは詳しくないので省略して、その日にイタリア人がどのように過ごすのか、どのような食事を取るかを書いてみます。

イースターは、クリスマス同様、家族、親戚一同が集まる昼食もあれば、クリスマスと違い、家族やカップル、友だち同士で旅を楽しむ傾向があります。ただし、今年は昨年同様、コロナ禍ですので移動制限があるため、家族でひっそりと過ごすイースターでした。
毎度のことながら書いているとおり、南北に細長い国土のイタリアでは、北イタリアと南イタリアでは同じイースターでも食卓に並ぶものは異なります。ただ共通しているのは、以前に書いたカーニバル最終日から肉断ちをしている敬虔なカトリック教徒はこの日にお肉を口にする点です。


イースターの食事は昼食がメインですが、魚料理ではなく肉料理が食卓に並ぶのが一般的です。イタリア料理はシンプルなことで知られていますが、もうひとつ、山のものを口にするときは、海のものは食卓に並びません。従って、この日の食事はアンティパスト(前菜)、プリモ(パスタなど)、セコンド(肉料理などメインディッシュ)は全てお肉です。
伝統は別として料理が苦手な私の場合、前菜はハムやサラミ類を並べ、プリモはラザニア、メインは子牛のオーブン焼きでした。メインは子羊が並ぶことが多いですが、中には苦手な人もいますので、お肉の種類は家庭ごとに変わります。
日本に比べてベジタリアン率が高い欧州では、もはやこの伝統がなくなりつつある家庭もあります。


南イタリアのナポリではイースターの食卓にカサティエッロと呼ばれる中にたくさんのチーズやサラミ、ハム、ゆで卵が入った食事パンも欠かせません。シチリアでもゆで卵を入れた食事パンクッドゥーラ、南イタリアの定番料理パスタ・アルフォルノ(パスタのオーブ焼き)にイースターバージョンはゆで卵を入れたりします。ここに書いた南イタリア料理はあくまで私の友だち情報ナポリとシチリアのメッシーナです。同じ南イタリアでもそれぞれの地域でお料理の作り方や材料、呼び方も異なります。ここにまで特濃の郷土色を盛り込んでくるのがイタリアです。

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甘いモノに目がないイタリア人、全国区でイースターの食卓に上るドルチェ(スイーツ)は白い鳩の形をしたコロンバ、たまご型をした顔の大きさほどあるチョコレートでしょうか。チョコレートもひとり1個で、大人も子どもワクワクしながら割ります。中にはサプライズのおまけが入っています。シンプルなミルクチョコレートもあれば、ビターチョコレート、ビターチョコレート・ヘーゼルナッツ入りなど様々なメーカーが趣向を凝らしています。もちろん、町のお菓子屋さんでは厳選された材料を使用し、たまごの表面に美しいデコレーションが施された高価なものが並びます。その他に南イタリア・ナポリでは、パスティエーラと呼ばれるリコッタチーズと麦が入ったお花の香りがするしっとりケーキがあります。このお花のエッセンスで春を感じる人もたくさんいます。

また、アーモンドの産地であるシチリアではアニェッロ・ディ・パスタ・ディ・マンドルラがイースターの食卓に並びます。子羊が苦手でもこちらの羊ちゃんはアーモンドの粉を使い、羊を模ったお菓子です。

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イースターの食卓は南イタリア中心でしたが、イースター翌日は北イタリアの出番です。
イースターの翌日はイースターマンデーと呼ばれいますが、イタリア語では『ルネディ・ディ・アンジェロ(Lunedì dell'Angelo)』または『パスクエッタ(Pasquetta)』と言います。この日は日曜日のイースターに続く祭日のためお休みです。
特に北イタリアの人は山のお家に行き、お庭でBBQを楽しみます。肉好き北イタリアの人にとっては青空のもと楽しい時間となります。焼きたてのお肉にビールや赤ワイン、それはサイコー以外何ものでもありません。
北イタリアでよく食べられるトウモロコシの粉を使ったポレンタ(Polenta)を硬めに作ったものまたは残ったものをBBQのときに焼いていただくのも美味しいです。イースターのときに北イタリアでも食事パンを作ります、パイ生地にほうれん草のペースト、リコッタチーズやたまごを入れます。北も南もイースターのときだけでは具材がたくさん入った食事パンが食卓に並びます。

イースターとイースターマンデーの食事についてあれこれ書きましたが、イタリア全国区で言えることは、やはり家族や友だちと集まってワイワイと食卓を囲むことです。
家庭や地域によりレシピは様々ですが、美味しい地元のもの、美味しいワインとともに食卓を囲むイースターはある意味日本の花見に似ているのかもしれません。

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ここでひと息、英気を養ったイタリア人は何とか夏まで頑張って仕事ができるのかもしれません。コロナ禍ではこの夏どうなるのかわかりませんが、あと1か月ほどすれば職場でもボチボチと夏休みはどうするのかの情報収集が始まります。その先には夏のバカンスが待っているのですから。

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