ヒメアノ〜ル観てきました

観終わった後「森田…森田ァ……!!!!!」ってダブルの意味で声が漏れた。森田役の森田剛さん。なんかね、悲しさとやりきれなさがすごい。映画館を出て夜風に吹かれながらぼんやりと森田ってどういう人物だったんだろというのを考えた。考えれば考えるほどにやりきれなさは増す。

映画冒頭から「あっ、古谷実だ…!とっても古谷実だ!」と思った。原作が古谷実なんだからそのままじゃんって感じなんだけど、ヒメアノ〜ルの原作は未読にもかかわらず今まで読んだ古谷作品のあのどうしようもない空気そのままが映画になってた。うだつのあがらない冴えない主人公、悪い人じゃないのかもしれないけどちょっと現実からズレたような人たち、なぜか自分を好きになるかわいい女の子。その中で怖さと鋭さを放つ森田の存在。あえて森田の人となりを詳しく描かなかったという監督の発言を見かけたけど、だからこそラストシーンがつらい。あれがなければ森田は何考えてるのかわからないサイコキラーとして自分の中で処理をしてたと思うけど、何がどうねじれて森田がああなって、そのねじれの原因をどこかで救えたんじゃないのか、どれだけ考えても答えが出ない事について考えるのが止まらない。

個人的にはラストシーンがあるからこそ救われなさが増してると思ったけど、森田正一としては救いがあるのかなぁ…。救いという言葉が正しいのかはわからないけど。ラストをあれにした監督も、ラストシーンの台詞でこの映画に出ようと思った剛くんもきっと優しい。そして優しいことはすごく残酷でもある。


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