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角野隼斗 全国ツアー2022 “Chopin, Gershwin and… “ 東京国際フォーラム

2021年を振り返る集大成のようなコンサートだという全国ツアーの千秋楽。収容人数5,000人というピアノリサイタルとしては異例の大きな会場は満席だったのだそうです。ホールの左右袖にある大きなスクリーンに映るライブ映像は、巧みなカメラワークと照明で映画を見ているかのような素晴らしい作り。演奏前のプロローグには昨年の演奏活動を振り返る映像が流れていました(だいぶおしゃれ)。クラシック音楽家として前代未聞のブルーノート公演から始まり、国内の有名なホール、海外でのストリートパフォーマンスなども含まれ、そこにさりげなく差し込まれたワルシャワフィルハーモニーホールの文字(だいぶかっこいい)。ピアノコンクールとして世界で最も歴史が長く、有名とも最難関とも聞くショパン国際ピアノコンクール(以降ショパンコンクール)。そのステージで演奏する角野さんの勇姿がそこにあり、ライブ配信で声援を送ったその映像は未だに高揚感を覚えるもの。そんな追体験をしながら、世界トップクラスのショパンと、フルオーケストラを迎えた協奏曲、ジャズアレンジやオリジナル作品などクリエイティブな”かてぃん”の世界も楽しめる贅沢なほど盛りだくさんのコンサートでした。

この公演は東京国際フォーラムからライブで配信され、筆者は会場で、さらにアーカイブを配信で観覧しました。

この記事はクラシック音楽初心者が、勉強がてらコンサートの余韻を味わう目的で残す、備忘録に近いコンサートレポートです。


プログラム

ショパン:ワルツ 第1番 変ホ長調 Op.18「華麗なる大円舞曲」
角野隼斗:大猫のワルツ
角野隼斗/ショパン:胎動
ショパン:マズルカ ハ長調 Op.24-2
ショパン:エチュード イ短調 Op.25-11「木枯らし」
角野隼斗/ショパン:追憶
ショパン:マズルカ 嬰ハ短調 Op.63-3
ショパン:ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35「葬送」
角野隼斗:ティーン・ファンタジア
ガーシュウィン:ピアノ協奏曲 へ調
<アンコール>ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11 第2楽章(ピアノソロ版)
<アンコール>ショパン:ワルツ 第6番「子犬」変ニ長調 Op.64-1
<アンコール>ショパン:ポロネーズ 第6番「英雄」 変イ長調 Op.53

<出演>
ピアノ:角野隼斗
指揮:藤岡幸夫
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

公演日:2022年2月20日 (日)東京国際フォーラム ホールA
配信:2022年2月20日~2022年3月5日

プログラムノート(アンコール追加版)
※画像をクリックでPDFにリンクします

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ショパン:ワルツ 第1番 変ホ長調 Op.18「華麗なる大円舞曲」

筆者にとって2021年の角野さんのご活躍でいちばん印象的だったのはショパンコンクール。それ以来、角野さんが弾くショパンは特別なものになっているのですが、その世界のトップクオリティを思い知らされるような美しい音色にまず惹きつけられました。その中に微笑ましいような無邪気さやピアノを弾くことの楽しさも感じられて、角野さんのピアノは輝いて弾けるような音に幸福感を覚えます。おしゃれで親近感のあるようなリズムも大きな魅力で、クラシック・ジャズ・ポップスなど幅広いジャンル特有のリズムをそれぞれ見事に表現される方ですよね。そんな角野さんの”個性”について、また今回の公演についてご自身が語っていらっしゃるnote記事がこちら

コンクールを含めていつもYouTube/インスタライブなど配信で楽しませていただいている角野さんのピアノを生演奏をお聴きするのは初めてでしたが、この作品のような本格的なクラシック曲、とくにショパンコンクールのために準備された曲をホールで聴くのは格別でした。天才的な才能がある方とはいえ、この音を出すためにたくさん努力されたのでしょうね。こちらのインタビューではコンクールによって”音の出し方が変わった”ということについてお話されています。

今回は記事のいちばん最後にショパンコンクールでの演奏動画と演奏曲リストをまとめています。「華麗なる大円舞曲」は2次予選で演奏されています。

また、3/9(水)角野さんのラジオでまさしくこの公演のこの曲の録音(フル尺)が放送されました。radikoエリアフリーがある方はぜひ。



角野隼斗:大猫のワルツ

2曲目はオリジナル作品。角野さんのもうひとつの顔であるYouTuber・ネットピアニスト”かてぃん”としての一面ですね。角野さんのオリジナル作品は遊び心があり、天真爛漫で多くの人を引き付けるお人柄が感じられます。クラシックという基盤がどっしりとしていて、ショパンなどのロマン派を感じる華やかでドラマティックな作風が素晴らしいですよね。この作品も伝統的なクラシック音楽の特長が生かされて、軽快なのにエレガントな奥深さがあります。今回のようなショパンプログラムの中に入っても自然に溶け込む質感。前進的で無邪気な”かてぃん”さんと、正統派のクラシック音楽をひたむきに再現する”角野隼斗”さん、どちらも同じピアニストだというのがおもしろいところですよね。

音源はヱビスビールのWeb CM。「子犬のワルツ」から「大猫のワルツ」にあまりに自然に移行していくあたりからの頭出しです。「大猫」の次はあの曲に・・・。



角野隼斗/ショパン:胎動

ショパンのエチュードOp.10-1をオマージュした作品。先日のブルーノート公演(筆者のnote記事はこちら)やYouTube/インスタライブでも披露されていますが、角野さんは様々なジャンルの作品をマッシュアップする、いま大人気のネットピアニストの先駆けの方(筆者調べ)。ショパンコンクールに出演される前からも日本の難関ピアノコンクールで優勝されるなど、クラシックピアニストの実力がある方ですし、オリジナル作品のセンスは唯一無二。両方ハイグレード。角野さんほどの逸材は世界にどれだけいるのか(いないのではないか)と考えてしまいます。この曲の疾走感あるメロディは、まるでショパンが現代に来て生き生きと演奏活動をしている姿を見ているかのようです。

もしこの現代でショパンと会話できるとしたら、彼の残した作品が約200年を経てもどれだけ評価が高いのかを見せてあげたいだけでなく、時代に合わせながらも偉大な音楽家の意思を忠実に継ぐ、こんなに素敵なかたちにして再現するピアニストがいることをお知らせしたいですね。またそれが世界中の人々を魅了し、ショパンを生かしているのだということを。

この作品を含め、今ツアーで演奏された新しいオリジナル曲はショパンコンクール中(またはその本格的な準備中)に作曲されたと思われますが、角野さんが心血を注いでショパンと向き合ったからこそ生まれた作品であると思うと、コンクールがどれだけ大きな存在だったのかがわかりますね。角野さんがメンバーであるポップスバンド・Penthouseのピアノソロにもショパンが登場しているといいます。コンクール準備期間でもその他の作曲・演奏活動など多忙だった角野さん。ライブでも即興がどうもショパン寄りになってしまっていた!ともインスタライブ(たしか)でお話していらっしゃいました。

後から振り返ってみると、今回のプログラムはショパン(過去)の次にかてぃん(現在)、そしてさらに進化した次世代のショパン/角野隼斗という流れを作っていて、その過去と未来を繋ぐ役割の曲だったのではないかと思えてきました。

動画はショパンコンクール最中にジャン=マルク・ルイサダさん(角野さんの先生)を訪ねたフランスで撮影されたインスタライブからの「エチュードOp.10-1」。(頭出しができないので残り20:35あたりから)コンクールのために最高潮に仕上げた演奏だと思うと感慨深いのと同時に、ショパン以外も演奏する余裕があるのかと驚きました。ピアニストさんの指慣らしとはそういうものなのでしょうか・・・。



ショパン:マズルカ ハ長調 Op.24-2

コンクールの「ショパントーク」というインタビュー番組で、初めてのショパンという話題に。角野さんはどの作品かは覚えていないが初めて弾いたショパンはマズルカ、それを楽しんで弾いていたのを覚えているとお話されていました(筆者の翻訳note記事)。コンクールに参加するために実際にポーランド・ワルシャワに行ってみると、マズルカのリズムがポーランド語のアクセントそのもののようだと発見したといいます。筆者はそれまでショパンの音楽の中にある民族性をほとんど意識したことがなかったのですが、コンクールとそれにまつわるコンテスタントのお話を伺ううちに、中でもそれが顕著なマズルカのリズムにすっかり大ファンになりました。例えば有名ジャズピアニストの小曽根真さんは角野さんのジャズのリズム感を大絶賛していますが、ジャンルを越えた抜群のリズム感でマズルカの独特なリズムを忠実に再現されていると感じることができます。

この日、ショパンの音楽に真摯に対峙している演奏が、とても美しくドラマティックで引き込まれました。

音源は昨日3/10、角野さんが企画されたウクライナ支援チャリティーライブから、冒頭を少し。電子ピアノのコミカルな音色がなんともかわいい、貴重なマズルカです!ショパンコンクールでは予備予選と2次予選の2回演奏されています。



ショパン:エチュード イ短調 Op.25-11「木枯らし」

身体を大きく揺らし、コンクールの時よりずっと感情豊かに演奏されている印象。躍動感とリズム感と、高貴でキラキラとしたピアノの音の美しさが素晴らしかったです。ショパンコンクールやYouTubeで何度も拝見して感動していた曲ではありますが、コンクール前と後ではずいぶんと違う印象。あの世界一のステージに立った方なのだと改めて実感させられる、本格的なショパンの世界観が凄まじく、いつの時代のどこで演奏を聴いているのか混乱するような感覚。これまで見たことのないような角野さんが私たちを異次元に連れて行ったかのような、浮遊感あるひとときでした。

ショパンコンクールの演奏と聴き比べてみると、個人的なイメージではワルシャワの方が寒そうな木枯らしでした(笑)。この日の会場がある日比谷周辺の上品な街路樹やパリのおしゃれな並木道に吹いた風が似合う印象でした。

こちら、テレビ番組「情熱大陸」では昨年の紀尾井ホール公演での「木枯らし」の演奏が取り上げられています。クラシックとジャズ・ポップスの演奏方法の使い分けについての興味深いお話もされているので、そのお話あたりから頭出ししました。



角野隼斗/ショパン:追憶

いったんスポットライトが落ちると角野さんがステージ奥へ。ショパンの部屋のイメージで作ったというその一角にはアップライトピアノが置かれており、ピアノ脇にある間接照明が温かい光で照らし、こじんまりとして心地よいリビングルームのような雰囲気。5,000人いるコンサートホールが一気にプライベート空間を感じさせるおしゃれな演出でした。コンサートホールでのご活躍と同時に、自宅からのYouTube/インスタライブも続けている角野さんのいつも拝見する景色を想起して、どこか落ち着きます。ちなみにこのアップライトは”新しい僕の相棒”という角野さんご本人のもので、わざわざご自宅から会場に持ち込んだのだそう。

流れるような旋律と弱音がとても美しい作品。この曲にはバラード第2番 Op.38の冒頭のテーマが使われていました。筆者は3階席のほぼいちばんうしろの席だったのですが、その弱音がこんなに遠くまで聴こえるのはなぜだろうと不思議で、プロの技を感じさせられました。印象的だったのはアップライトの弦をハープを弾くような、弦楽器のピチカートのような、直接手で音を鳴らしたこと。角野さんの遊び心でしょうか。アップライトを使ったことについてコンサート後に角野さんが「これがやりたかった」とおっしゃっていたのは、もしかしてこの演奏方法も含まれていたのでしょうか。

音源は前述のチャリティーライブから。「バラード第2番」はショパンコンクールの2次予選で演奏されました。



ショパン:マズルカ 嬰ハ短調 Op.63-3

この日2つめのマズルカ。ショパンならではの物悲しいメロディは祖国ポーランドに戻れなかった想いが感じられるものですが、ひとりの部屋を演出したステージではそのイメージが強調され、角野さんというよりまるで今ここにショパンがいるかのよう。時空を超えて観客をショパンの小さな部屋に連れていく演出が本当に絶妙。無邪気に遊ぶように音楽を作り出している方(簡単そうという意味ではなく)とは全く別人のような角野さんの世界に深く吸い込まれるような没入感がありました。角野さんがどれだけショパンを研究されたのか、感服です。

コンサートがどんどんダークな(?)ショパンの世界に入っていくと思ったら、この次に演奏する重厚な曲につなげるためだったのではと後から気づきます。

角野さんの音源がなかったので、ルイサダ先生のものを。



ショパン:ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35「葬送」

改めてピアノの音の美しさに感動。ショパンコンクールでの演奏のときは集中していて無心だったと明かしていた角野さん。この日の表情豊かな演奏に、角野さんがやりたかったことはこれなのだと、感慨深いものがありました。緊張感が走るくらいの真摯なクラシック音楽。角野さんの深い深いショパンの世界が本当にかっこいい。

昨年を振り返り、ショパンコンクールの凱旋コンサートという位置づけでもあった今回の公演。昨年は私たちの心を一緒にショパンコンクールに連れて行ってくれてありがとうとお礼を言いたくなりました。

ショパンコンクールでは3次予選で演奏されています。


角野隼斗:ティーン・ファンタジア

休憩を挟んで第2部。まずおひとりでステージに戻った角野さんはジャケットのボタンを外し、シャツの裾を出し、”いつもの”角野さんといった雰囲気で軽快で楽し気に演奏したのはガーシュウィン「I got rhythm 」。その後に挟んだトークで「プログラムにない曲を弾いてしまいました」と会場を和やかにしていました。

このオリジナルは少年の冒険心を忘れたくないという気持ちが込められた作品なのだそうです。いつまでも少年のように無邪気で人懐こいようなお人柄の角野さんでいてくださるといいですね。「I got rhythm」にインスパイアされた本格的なジャズといったメロディ。プログラムにない演奏もこの曲への伏線だったのですね。ガーシュウィンもジャズの作風でありながらクラシック音楽家にカテゴライズされる作曲家。筆者は不勉強で存じていないのですが、ガーシュウィンも角野さんのように伝統的なクラシック音楽のオン・オフを上手く切り替えていらしたのでしょうか。ついさっきまで荘厳な葬送ソナタを弾いていた同じピアニストだいうのが信じがたいばかり。

音源は前述のチャリティーライブから。

こちらは角野さんが広告に出演されているカシオさん提供の素敵なお部屋から配信されたYouTubeライブから「I got rhythm」



ガーシュウィン:ピアノ協奏曲 へ調

ここで角野さんが「サッチー」と親しみを込めてその通称で紹介する指揮者の藤岡さんとオーケストラが登場。オケが準備をする間、軽くおふたりのトークを挟み会場の雰囲気がさらにぐっと明るくなりました。おふたりは藤岡さんがMCをされているテレビ番組に角野さんがゲスト出演されてから何度も共演が続いていますが、今回の公演では角野さんからのオファーだったのだそうです。藤岡さんは角野さんのタッチの美しさを称賛されていました。

筆者は初めて藤岡幸夫さんを拝見したのは、緊急事態宣言中に多くの音楽家が活動の場にされていたYouTube。著名な若手指揮者たちと裏話を暴露しあう「The Three Conductors」という画期的な番組のゲストで登場され、そのユーモアセンスに抱腹絶倒。神回と呼ばれていました(笑)

大スケールの協奏曲にお馴染みの楽器、ピアニカが登場。角野さんはピアニカ協奏曲を作るなどしてもっとクラシックに取り入れてみたいとおっしゃっており、本当に実現しそうで興味深いです。ファンが多い角野さん、これからも大きなホールでの演奏が続くという想像は難しくないですし、それに耐えられる音量が出る逞しい楽器ではありますよね(笑)これからも角野さんのセンスでいろいろな楽器をおしゃれにクラシックの舞台に仲間入りさせて、私たちを驚かせてくれるのではと期待してしまいますね。

今回の選曲について、ガーシュウィンは演奏回数が多い有名な「ラプソディー・イン・ブルー」だけではなく、こんなに素晴らしい協奏曲もあるのだと紹介したかったのだといいます。オーケストラのドラマティックさと優雅さがありつつブルージーで、筆者の想像以上に魅力的な作品との出会いとなりました。またコンサートで聴ける機会があることを願います。

ここでは第一楽章が終わったところで楽章間にもかかわらず拍手が起きてしまうというちょっとしたハプニングが。その気持ちに共感する、最終楽章かのようなダイナミックな終わり方が素晴らしい第1楽章でした。また、配信映像でわかりましたが、藤岡さんはジャンプしたり、最終楽章は大きな笑顔で締めくくり、とても良い表情をされていて、躍動感ある指揮が素敵ですね。グランドピアノもアンコールで調律が入るほどの熱演でした。

音源はこの東京公演直前のYouTubeライブから。奥に見えるアップライトピアノがこの日ホールに持ち込んだものですね。


<アンコール>ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11 第2楽章(ピアノソロ版)

オーケストラメンバーがステージから退出し、アンコールは再びステージ奥の”ショパンの部屋”から。再び抒情溢れるあの美しい弱音でのアレンジ。この日もっとも心の琴線に触れた曲になりました。またこの曲はショパンコンクールのファイナルで多くのコンテスタントが弾いたもの。もし角野さんがあと1回審査を通過していたら・・・と感慨深くなってしまいました。

また、オケの演奏者たちがステージからはけるのをステージ上から見送った角野さん(ご本人がおっしゃるとおり、ソリストが見送るというのはなかなか見られない光景 笑)。筆者にはあの熱い協奏曲を演奏した仲間たちと別れて、自宅に戻ってその幸せな余韻をひとりになって回想しているようなイメージで、静かながらとても幸せな響きに聴こえました。とにかくエモいひとときでした。

先ほどのインスタライブで残り9:33あたりから演奏されています。この後のコンクールファイナルのために練習されていた最中だったと思うと、グッときますね。



<アンコール>ショパン:ワルツ 第6番「子犬」変ニ長調 Op.64-1

その後ステージ中央に戻った角野さんは、なんとコンサートではありえないスマホ撮影を促し、会場は歓喜の声が上がりました。観客のシャッター音と共演するとおっしゃるその粋な計らい、そしてこんな革命的な発想はさすが角野さんですね。配信で見ると観客席のスマホの明かりが星空のようで、それも演出のひとつかのようにすら思えました。

筆者がそのスマホタイムに撮影した写真。5,000人のホールがいかに巨大か伝わるでしょうか。もはやどなたなのかわかりません(笑)むしろ、このピアノリサイタルの歴史を変えるような大きな会場の良い記念になる1枚です!

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<アンコール>ショパン:ポロネーズ 第6番「英雄」 変イ長調 Op.53

最後は観客のみなさん待望といったような、会場を熱い空気にした英雄ポロネーズ。

アンコールのトークではこれでツアーが終わること、それを応援してくれた方々への感謝の気持ちを伝える角野さんは、感極まって目が潤んでいるような表情をされていました。このツアーのテーマである昨年1年間が終わるという意味でもあるのでしょうね。数々の有名なホールでの演奏、驚異的に上がった知名度、コンクールで世界の注目を集めたことなど、インタビューなどでもこの1年は大きな飛躍であり、特別であったとおっしゃっています。角野さんの感動や情熱がこもったこの日の演奏は、いつまでも記憶に残るものになりそうです。

音源は再び「角野隼斗のはやとちりラジオ」から、この日のフル音源を。

http://radiko.jp/share/?t=20220310013305&sid=MBS

ラジオでもお話されていますが、最近公開されているこちらのテレビCMでも演奏されている曲。ショパンコンクールでは2次予選で演奏されています。


最後に

ショパン、リスト、ベートーヴェンなど偉大なピアニストたちが生きた200~300年前は、クラシック音楽は今でいうロックやポップスのように人々を熱狂させたものだったといいます。今回プログラムされたショパンやガーシュウィンもそうしたように、角野さんのような革新的な音楽家が新しい時代に合ったかたちで表現し、人気を再燃させ、クラシック音楽はいつまでも生き続けていくのかもしれませんね。いまの子供たちが角野さんに憧れてピアノを習い、人気ピアニストになり、また新たな時代に合わせた演奏でこの先何百年と素晴らしいクラシック音楽を引き継いでいくのではと楽しみになります。


ショパンコンクールの動画と演奏曲リスト

今回の公演で演奏されたものは※マーク、頭出しのリンクを入れています。

予備予選
ノクターン 第13番 ハ短調 Op.48-1
マズルカ ト短調 Op.24-1
マズルカ ハ長調 Op.24-2 ※ (02:02:44)
エチュード イ短調 Op.25-4
エチュード イ短調 Op.25-11 「木枯らし」※ (02:06:34)
バラード 第2番 ヘ長調 Op.38 ※ (02:10:36)


1次予選
ノクターン 第13番 ハ短調 Op.48-1
エチュード 第1番 ハ長調 Op.10-1 ※(6:31
エチュード 第10番 ロ短調 Op.25-10
スケルツォ 第1番 ロ短調 Op.20


2次予選
マズルカ風ロンド ヘ長調 Op.5
バラード第2番 ヘ長調 Op.38
ワルツ第1番 変ホ長調 Op.18 「華麗なる大円舞曲」※ (17:07)
ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53 「英雄ポロネーズ」※ (22:30)


3次予選
4つのマズルカ Op.24 ※ (3:09) タイムスタンプはOp.24-2
ポロネーズ 第7番 変イ長調 Op.61 「幻想ポロネーズ」
ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」※ (25:35)
スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 Op.39




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