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迷子の行動学

大型連休になると、動物園は混雑します。

そして動物園に来てテンションが上った子供は、先へ先へと走りがちです。
結果として、迷子が発生します。これは動物園の必然です。

全ての子供が終始落ち着いて行動し、一件も迷子が発生しない動物園は、どこか根本的に間違っています。

動物園と迷子は、居酒屋と焼きおにぎりのように切っても切れない関係なのです。

そこで本稿では、動物園での迷子について、⓵保護者から迷子の捜索依頼を受けた場合と、⓶迷子の子供を保護した場合に分けて、行動と対応について経験則をお話します。

1.迷子の捜索依頼を受けた場合

性別、年齢、服装の特徴、子供とはぐれた時間と場所などを保護者の方から聞き取り、捜索スタートです。

なるべくわかりやすい特徴のある服装だと探しやすいです。色だけでなくキャラクター柄も重要なヒントになります。

逆を言えば、わかりやすい服装をさせておくことが自分の子供が迷子になったときに役に立ちます。今日は子供にどんな服を着させたかを、きちんと覚えておきましょう。

帽子やリュックは迷子が迷子でいる間に体から離れている可能性もあるので、あまりそこにだけ注目しすぎると見落としの確率が上がってしまいます。パーカーなども暑いと脱いじゃいます。
上着、ズボン、靴。これらの組み合わせが最重要の情報となります。


さて、経験則ですが、迷子になった子供の行動は2タイプに分類できます。

迷子になったことを理解し、親を探している迷子
と、
迷子になっているという自覚がないタイプ
です。

この2タイプには年令や性別との相関はあまりないように感じます。
「3歳児だからそう遠くには行っていないだろう」
「8歳なら自分から探して合流してくるだろう」
「女の子だからじっとしているだろう」
などという先入観はすべて迷子の捜索には有害です。迷子は驚くほど速く遠くへ動くこともあります。

それぞれのタイプ別に、行動の傾向と探す際のポイントをまとめると以下のようになります。

・迷子になったことを理解し、親を探している迷子
親を探そうとする子供は、なぜか人の流れに逆走します。こちらに向かってくる人の顔を確認しながら、今まで歩いてきた道を入口、さらには駐車場に向かって引き返すのです。

実際、このタイプの子供は駐車場での発見率がとても高いです。

泣いていることもあれば、不安げな様子なこともあり、毅然とした表情のこともあります。これも年齢性別にあまり関係しない気がします。

・迷子になっているという自覚がないタイプ
お気に入りの動物の前や、ショップのおもちゃ売り場でひとりで楽しんでいる可能性があります。とにかくひとりで楽しそうに過ごしており、ぱっと見迷子には見えないので、捜索が難航するタイプです。行動範囲にもばらつきがあります。

ただ、一人遊びに飽きるともう帰りたいと思うようで、こちらも駐車場での発見率がなかなか高いです。

捜索依頼を受けた際には、子どもの性別や年齢、服装だけでなく、乗ってきた車の車種と色、どのあたりに駐車したかも控えておくと役に立つことがあります。

2.迷子を保護した場合

保護者による捜索依頼より先に迷子を見つけて保護した場合、まずは名前を聞き出さなければなりませんが、泣きじゃくっていて喋れないことが多いです(泣きじゃくっているから迷子だと気がつくわけですが)。そんなときは、靴を脱がせましょう。

服にはあまり名前は書いてありませんし、書いてある名前は本人の名前とは限りません。お下がりで、本人以外の名前である場合もあります。泣いている子供の服をめくるのは倫理的にも問題があります。
その点、靴ならば毎日脱いだり履いたりするものなので内側に名前が書かれている可能性が高く、お下がりである可能性も低いです。
泣きじゃくっていて名前を言うことができない迷子を保護したら、まずは靴を脱がせて名前を確認しましょう。

(ちなみに遠足の場合は、名札をしていない場合は水筒やリュックに名前があります)

泣いて喋れなくても、ゼスチャーや頷くことはできます。何歳かを指で示してもらったり、「今日は誰と来たの?」ではなく「誰と来たの?お父さん?お母さん?おばあちゃん?」と、頷いたり首を横に振ったりすることで返答が得られる形で質問することが重要です。

・迷子を保護者に引き渡すうえでの留意点
保護したことを伝えると、保護者の方が迎えに来ます。「〇〇ちゃん!どこにいたの!あ、ありがとうございます!」と言って子供を引き取り、すぐに立ち去ろうとしますがちょっと待ってください。

その大人の人は、本当に迷子の保護者ですかね?

連れ去り犯罪抑止の観点からも、必ず子供に「この人、お母さん?」「お父さんで合ってる?」と確認をして、頷いたのを見てから引き渡しましょう。

以上、これから混雑してる動物園に子供連れで出かけられる方や、迷子が頻発する施設で働いている方の参考になれば幸いです。


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