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【戦評】ちょっと無茶すぎたかも?!平石さん!!~4/13●楽天0-1ソフトバンク

今季ワースト2安打、0-1の惜敗

桜咲く仙台に若鷹軍団を迎え撃つ首位攻防3連戦。

対千賀戦で接戦勝利を収めた初戦の感動勝利に続き、第2ラウンドはがっぷり四つに。
両軍投手陣が好投し、9回までスコアレスが続く目の離せないゲーム展開になった。

試合は今季2度目の延長戦に突入。
決着ついたのは10回のこと。

楽天はこの回から三番手ハーマンが登板。
しかし、森原から「大佐」と呼ばれている助っ人右腕が、不運にも見舞われ決勝点を献上。

1点を追いかける裏の攻撃。
先頭・田中が四球で塁に出たが、拙攻も響き、森に封じられゲームセット。

四球は本戦でも8個獲得、チーム出塁率は依然リーグ1位の.364を維持したが、いかんせんヒットが今季ワースト2安打では点を取ることが難しい。

結局、昨年8/17ロッテ戦以来となる0-1で敗戦。
2012年から始まった『がんばろう東北デー』では、いまだ白星なしの7連枚になった。

◎『がんばろう東北デー』の成績
2012年10/4西武戦△E4-4L
2013年10/3ロッテ戦●E6-7M
2014年9/27西武戦●E3-4L
2015年9/19オリックス戦●E1-9Bs
2016年9/10日本ハム戦●E4-7F
2017年9/9オリックス戦●E3-5Bs
2018年4/14西武戦●E1-5L
2019年4/13ソフトバンク戦●E0-1H

カード勝ち越しをかけた3戦目へ。
今季初登板の先発・美馬にその命運が託されることになった。

チーム成績は13試合8勝4敗1分、ソフトバンクと並んで1位タイ。
ゲーム差は3位・日本ハムと2.0、4位・西武と2.5、5位・オリックスと3.0、6位・ロッテと4.5とした。

両軍のスタメン

ソフトバンク=1番・牧原(左)、2番・今宮(遊)、3番・内川(一)、4番・デスパイネ(指)、5番・上林(右)、6番・松田(三)、7番・福田(中)、8番・甲斐(捕)、9番・高田(二)、先発・ミランダ(左投)

楽天=1番・田中(中)、2番・茂木(遊)、3番・浅村(二)、4番・島内(左)、5番・ウィーラー(三)、6番・銀次(一)、7番・ブラッシュ(指)、8番・足立(捕)、9番・オコエ(右)、先発・美馬(右投)

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今季初めての・・・

改めて10回の攻防をおさらいしてみよう。

10回表、若鷹軍団の攻撃。

先頭で打撃不調の5番・上林を1球で一ゴに退けたハーマン。
しかし、続く6番・松田にカウント球のカーブを中前へ弾き返され、出塁を許した。

じつは松田のゴロ打球、、、

※2020年4月13日、本記事を全文公開します。

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楽天内野陣が2塁ベース左側の二遊間で今季初めて外野への突破を許したヒットだった。

下記表のとおり、楽天内野陣のゴロアウト率は81.1%。
これは昨年3・4月の73.5%を大きく上まわる好成績。
開幕躍進の背景には、良く守る内野守備陣の貢献度もじつに大きい。

◎4/13終了時、楽天内野陣のゾーン別ゴロ処理数

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遊撃の定位置「I」~二塁ベースすぐ左の「M」まで44本のゴロが飛んだ。

そのうちヒットはわずか2本。
最初の1本は4/7オリックス戦(△E5-5B)の4回頓宮の遊安(上記表の青丸)。
茂木が良く追いついたものの、身を1回転翻しての1塁送球が逸れたこともあり記録はヒットになった。

しかし、外野到達のゴロヒットは、本戦の松田のセンター返しが初(上記表の赤丸)。
2年連続で遊撃守備に不安を抱えた茂木も、今季は良く動けている。
この一帯での数多くのゴロ処理に貢献してきたが、松田の当たりは球足速くて追いつけなかった。

敵軍ながら、あっぱれ 

驚いたのは、松田の二盗だ。

続く7番・福田の打席、2-0からの3球目で仕掛けてきた。
判定は間一髪、平石監督がリクエストを要請するほどの微妙なタイミングだった。
スロー映像でもどちらとも言えるものだったが、敵軍ながら勇気あるスチールになった。

現在、若鷹軍団は怪我人続出の緊急事態だ。
これ以上の負傷者は絶対に許されない非常時にある。

そのなか、松田の立ち位置は、代替えの効かない主戦級の1軍戦力。
年齢も故障リスクの高まるアラフォーに突入し、当然、怪我での長期離脱はNGの身だ。

そういう状況下で、試合数も開幕まだまだ14試合目。
怪我リスクを考えたとき、ここで無理して盗塁を仕掛ける必要性は、かなり少なかったと思う。

たとえば、2017年7/23オリックス戦。
ペゲーロが二盗を仕掛けてハムストリングスを負傷した。
そこから強打者の輝きが一気に失われた実例をみれば、リスク回避して走らないという選択肢も十分妥当の場面のはずだ。
ぼくが若鷹軍団の指揮官なら「動くな」の指示を出していたと思う。

それでも、仕掛けてきた。
その勇気に唸らされた。

怖いもの知らず

舞台は決勝打のシーンに移す。
2死3,1塁、高田への代打・栗原が初球145キロを中前へ弾き返した。

結果球はストレート。
見逃せば恐らく低めに完全に外れたボール球だった。
それをゴルフショットのような巧打で中前へ運ばれてしまったのだ。

これ、打者が内川や松田といった1軍実績十分組なら、こんなことは起きていないと思う。

低めボールゾーンの変化球ならともかく、当該ゾーンのストレートだ。
それも際どいところではなく、完全なボール球。
もし1軍実績豊富な打者なら、十中八九は手を出してこない球である。

しかし、栗原は2軍を主戦場にする発展途上の若手だった。
1軍への出場機会に飢えている若鷹だった。

ある意味の「若気の至り」「怖いもの知らず」が生み出した、楽天側からみれば「不運」としか言いようのない決勝打になった。

それは無茶だよ、平石さん

そのため、ぼくはハーマンを責める気にはなれない。
しかし、あえて無理して何か注文をつけるなら、その対象はハーマンではない。
10回に彼を送り出した首脳陣の起用法なのだ。

開幕13戦目でハーマンの登板は8試合。
これはリーグ最多9登板の松井や森に続く、同3位タイの多さになっている。

しかも、ハーマンの連投起用は、はやくも3度目を数えた。
連投3度目以上のパリーグ救援投手はハーマンのほかに同僚の松井(4)を始め、日本ハムの浦野(3)、玉井(3)、宮西(3)、ソフトバンクの嘉弥真(3)と森(3)の7人いる。

彼らの中で最年長は今年35歳のハーマンなのだ。
もっと言えば3度ある連投のうち2度が、リリーフ投手にとって体調管理が難しくなる前日ナイター翌日デーゲームの「ナイトデー連投」だった。

ちょっと無理させすぎかな?と感じる。

実際、本戦を終えて、ハーマンの成績は単発/連投初日と連投2日目で大きく明暗分かれている。

単発/連投初日が防御率0.00(5回・自責0)に対し、連投2日目は13.50(2.2回・自責4)なのだ。

ベンチには前日登板のない森原、福山も控えていた。
連投になるけどハーマンより若くて疲労回復も早いであろう宋もいた。

もちろん、森原から大佐と呼ばれている助っ人右腕は、素晴らしい投手だ。
だからこそ彼に頼りたくなるのも理解できる。

しかし、彼も今年35歳で加齢からは逃れることはできない。
下記のとおり、年々速球のスピードは下落傾向にある。

◎ハーマン 年度別のストレート平均球速と最速
2017年 平均147.5キロ、最速154キロ
2018年 平均146.9キロ、最速154キロ
2019年 平均144.5キロ、最速150キロ

おそらくハーマンのバックアップとして獲得したブセニッツ。
新外国人投手が2軍調整中で、今しばらく時間がかかりそうな気配にある。

そのため、今後もハーマンの活躍は不可欠になってくる。
彼を生かすも殺すも首脳陣の采配次第。

もっとコンディションに配慮したクレバーな起用で、ハーマンにベストな環境を整えてあげてほしいと思う。
今年のリリーフ陣は力量十分の者が多いので、それができる状況が揃っていると思う。
ぜひ平石監督、伊藤コーチにご検討いただきたい。

◎ハーマン 試合別 投手成績

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思惑はずれたイヌワシ打線

美馬も本当に良いピッチングをしていた。
今季からチェンジアップも本格的に使うなどマイナーチェンジを施しながら、テンポの良い投球は変わらず。
まるで心地よい4つ打ちのダンスミュージックに身も心も委ねている、そんな快感がそこにはあった。

それだけに白星をつけてやってほしかったが、好調打線がミランダの前に沈黙した。

ミランダといえば、5回2失点に抑えられた昨年9/1(●E3-4H)の初顔合わせの印象が強い。
99球中、チェンジアップなど落ちる球を47球(47.5%)も多投され、そのうち13球で空振りを喫するなど翻弄された。

しかし、本戦のミランダは、その70.4%が速球。
落ちる球は25.6%にとどまり、この配球変化が好投の要因だった。

落ちる球を警戒していた楽天打線はその思惑をいなされる格好になり、7割で多投された速球に詰まらされる場面が多かった。
また速球の出来も、ミランダ本人いわく良かったという。

残念だったのは、3回1死1塁、4回無死1塁、8回2死2,1塁の場面だ。

これらはいずれも、浅村とオコエが四球出塁したシーンだった。
打撃の調子が上がらない両者がもらった僥倖の出塁劇だったため、ぜひ生かしたかったが後続凡退で残念無念だった。【終】


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