【試合評】昨季打点王の残念な姿。ドライチ2年目の異常値~5/21●楽天0-6オリックス

2試合連続零敗は2年ぶり

投打がかみ合わない。

2試合連続の完封負けは2019年6/23●E0-3DB、6/25●E0-2C以来。仙台での2戦零敗は2016年9/14●E0-13H、9/15●E0-3M以来の屈辱劇になった。

オリックス先発は球界最高峰投手の山本由伸。過去、楽天戦に9試合先発して負けなし6連勝、防御率1.46の超・難敵だった。

それでも、打線を大幅に組み替えてきたイヌワシ打線は、点こそ取れなかったものの健闘をみせる。

過去9戦必ず6回以上を投げ抜いた強敵に対し、山本の調子がかんばしくなかったとは言え、粘りの応戦で初めて5回でお役御免にしたのだ。

序盤から球数を投げさせた。序盤2回までに57球。黒川の1打席目が如実に象徴していた。結局、投ゴに倒れたが、じつに11球勝負。追い込まれた後にファウルで5度粘りをみせるなど、昨年の投手5冠右腕を大いに苦しめた。この11球勝負は楽天打者が山本に1打席で最も多く投げさせた球数になった。

だから、本戦の勝負は山本が降板した6回以降だったわけだ。

にもかかわらず、先発・早川が5回7安打4失点と崩れた。今季オリックス戦で2試合13回2失点の相性はどこへやら、2回に伏見に先制2点ツーベースをくらうと、3回4回も失点を重ねてしまった。

6回終了時に0-4の追う展開になると、さすがに苦しい。首位に立つ楽天もご多分に漏れず、6回終了時に負けている試合は3勝11敗1分になった。

昨季打点王の残念な姿

ただし、6回は反撃のチャンスでもあった。

1死後、2番・西岡が一塁線突破のツーベース。続く3番に入ったマルモレホスはストレートの四球。二番手・阿部は走者を出してから慎重になりすぎ、ボール先行投球が続いた。

1死2,1塁で4番・島内には制球大いに乱れて3-0。好機到来だ!
しかし、その後の4、5、6球、3球連続見逃しストライクで見三振に倒れてしまった・・・

ストライクを取りにいかざるをえない4球目、5球目は明らかに甘い球だった。それなのにバットをかついだまま。3-2からの結果球は膝元いっぱいにズバッ!

島内は自信を持ってボールと判断し、1塁へ歩きかけていた。正直、僕もボールだ!と感じた球だった。しかし、球審・長井の手は上がってしまったわけだ。ここで誤審だ!と叫ぶのは簡単だが、僕は島内の姿勢にガッカリしてしまった。

3・4月はOPS.703とスロースタートだった昨季打点王は、5月に入りOPS1.074と打棒アゲアゲ。打率も3割に乗せ、調子を上げてきた。本戦も山本から左翼線へ流し打つツーベースに、1-2経由から四球をもぎ取るなど2出塁。しっかり仕事をこなしたが、前述した6回の3打席目は、残念すぎた。

4点を追いかける展開だ。島内にしてみれば、つなぐ意識で塁上を埋めるべく、ボール先行3-0から待球作戦を採用したのだろう。しかし、後ろを打つのは5/10(火)以降OPS.259、打率.071と極度にあえぐ浅村だった。

見三振は四球の必要経費である。しかし、あの場面、後ろにつないだとして今の浅村には多くを期待できないのも事実だった。

だからこそ、あの好機は自身のバットで決める覚悟をシビアに持って欲しかった! 3-0から甘い球が2球連続でゾーンに来たのだから、バットを振って応戦していくべきだったと思う。悔やまれるシーンだ。

このカード、左ハムストリングスを痛めた球界最高峰打者の吉田正は不在。
にもかかわらず、ホームで2つ落としたのは痛い。

これで11連勝の後は4カード連続負け越し。仮に日曜日勝ったとしても悪い流れは払拭できず、予断を許さない状況でチームは甲子園に乗り込むことになる。

試合展開

オリックス=1番・福田(左)、2番・宗(三)、3番・大城(二)、4番・中川(一)、5番・マッカーシー(指)、6番・杉本(右)、7番・野口(遊)、8番・伏見(捕)、9番・佐野皓(中)、先発・山本(右投)

楽天=1番・辰己(中)、2番・西川(左)、3番・マルモレホス(一)、4番・島内(右)、5番・浅村(指)、6番・鈴木大(三)、7番・小深田(遊)、8番・黒川(二)、9番・炭谷(捕手)、先発・早川(左投)

両軍のスタメン

「すべてが一緒の波だった」

「すべてが一緒の波だったというか、勝負所であればもっと出力を上げていってほしいなというのはありました。抑えようが打たれようが淡々としていた」

試合後、石井監督による的を得た早川評だ。

これは本戦に限らず今季の早川という意味合いも含むのかもしれない。
じつは、僕も同じことを感じていた。

というのは・・・(続く)

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