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【試合観戦記】 4/27楽天4-1ロッテ:解説席を唸らせた2番村林のつなぎ。再確認できた4番島内の存在感

解説席を唸らせた村林一輝つなぎの1本

「その前に村林選手に対しての2ストライク0ボールからのライト前が一番痛かったですよ」

8回、みごとな逆転劇をみせたイーグルス。1点ビハインドのなか澤村拓一と火消しの後続に短長5安打を浴びせ、一挙4点を奪った。

これでイーグルスの逆転勝利は6度目を数え、ホークスと並ぶパリーグ最多タイになった。

中軸の浅村栄斗、島内宏明による連続長打攻勢は見ごたえあり。楽天の3番、4番が同一試合で長打を放ったケースは今シーズン初の快挙だった。

打撃低迷で苦しむ島内の69打席目で生まれた今季初タイムリーが決勝打になったわけだが、戦況を決定づけた右越えフェンス直撃の2点三塁打が生まれる前、じつは《地味ながらも重要なつなぎの1本》があり、そのことを指摘したのが冒頭の発言の主、解説・薮田安彦さんだった。

8回の澤村KO逆転劇は、先頭の9番・小深田大翔が三振に倒れた後、1番に戻って小郷裕哉の左前から始まった。

1死1塁で2番・村林一輝に打席がまわる。

この試合ヒットのなかった26歳は、この打席でもバットを振らないまま、はやばやと0-2と追い込まれてしまう。

しかし、3球目だった。
外角低めスプリットにくらいつく、うまいバッティングをみせた。

追い込まれたことで逆につなぎの意識が高まった、と薮田さん。

セカンドが横っ飛びをみせた先の1,2塁間をしぶとく破って打球は右前へ。
1死2,1塁とチャンスを広げて、3番・浅村、4番・島内にまわしたワケだ。

賢明な読者のみなさんならお気づきだと思うが、じつは一輝は右方向への打撃があまりうまいとは言えない。
キャリア通算115安打のなか、ゴロで抜けた右安を数えると、この1本を入れてわずか9本だ。

プロで初めて1,2塁間をゴロで破る右安を弾き返したのは、高卒5年目が経過した2021年4/13ロッテ戦(楽天生命)の9回2死2,1塁の打席だった。

0-2と圧倒的不利なカウント状況で、滅多にない打席結果を作り出し、クリーンアップに得点圏での活躍の場を作った村林の一打は大きかった。

走者を進めるべく1,2塁間に狙いを澄ました応戦だったが、打球方向がもう少しセカンド側に寄っていたら、4-6-3のゲッツーコース。まさに明暗分けた1本だ。

試合展開

楽天=1番・小郷(右)、2番・村林(遊)、3番・浅村(三)、4番・島内(指)、5番・鈴木大(一)、6番・阿部(左)、7番・辰己(中)、8番・太田(捕)、9番・小深田(二)、先発・内(投)

ロッテ=1番・藤岡(二)、2番・角中(左)、3番・ポランコ(指)、4番・ソト(一)、5番・安田(三)、6番・山口(右)、7番・佐藤(捕)、8番・小川(遊)、9番・和田(中)、先発・メルセデス(左投)

両軍のスタメン

改めて感じる!3番・浅村を活かすための4番・島内の存在感

「安堵感とかそういう気持ちの方が強かった」

「初めて緊張した打席でしたね。あんまり緊張しないんですけど、ここまで打てないとちょっと感じるものがあった。1個成長できた」

ふだんは飄々としているあの島内が、試合後こんなことを言うとは、よっぽど追い詰められていたのだろう。

日米通算500登板に迫る豪腕との対決はフルカウント8球勝負だった。

場面は浅村の二塁打で同点に追いつき、なおも1死3,2塁。
ゴロか三振を奪いたい相手バッテリーと、打球に角度をつけて外野へフライを打ちたい島内。

その攻防は8球全てスプリット。最後の最後でゾーン内に甘く滞留したところを捕まえ、右越えフェンス直撃となる2点三塁打を放ってみせた。

フルカウント8球勝負といえば、4/9●E4-5B(京セラ)で惜敗した試合が思い出される。

天敵・田嶋大樹に5回2失点の粘投を許し、3点を追う状況で迎えた6回だった。マウンド上は二番手・吉田輝星。小郷の二塁打で1点返してなおも2死2塁、8番・石原彪の打席で代打起用されたのが島内だった。

この場面も本戦のvs澤村と同じくボール先行2-0からの入り。そしてフルカウント8球勝負までもつれた。

結果球は本戦と同じくゾーン内に滞留した落ちる球。
しかし結果は捕邪飛に終わっていた。

いっぽう、本戦8回の決勝三塁打は、打つ予感は強く漂っていた。
3タコに終わっていたが、いずれも外野へ捉えたフライ。あとはいつ堰を切るか?の問題だった。

それにしても69打席目で今季初の適時打だったことにも驚かされる。

昨年の不振があった上での今季のスランプだ。
これだけ打てないと他の首脳陣ならサジを投げてもおかしくないところ。
たとえば、もっかのところ打率十傑でもOPS十傑でもランクインする辰己涼介を代わりに中軸起用しても不思議ではない。

だが、本人も「打ててなくても使ってもらって」と口にするとおり、ここまでのスタメン15試合中14試合が4番、5番というクリーンアップでの出場だ。ベンチを温める場面も増えてきたが、今江敏晃監督の辛抱強い起用は目を見張るものがある。

浅村の今季打順別成績を確認すると、

3番49打席でOPS.969
4番52打席でOPS.409

やはり浅村を活かす最適解は3番で、浅村を4番から解放して3番にすえるためにも、日本の野球観では特別な打順といえる4番を任せることのできる人材は、今のところ島内しかいない、そういう判断になったと思われる。

今季は阿部寿樹と伊藤裕季也が楽天の4番に新たに就任したが、両者とも4番に座ったとたん結果を出すことができなかった。
ということを考えたとき・・・(続く)

...続きは『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2024』でどうぞ。

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