【惜別】#26 金刃憲人~画龍に点睛を入れた2016年の好活躍

楽天トレード史上、上位に入る成功例

楽天のトレード史上、『野手の成功例』が鉄平(※1)、藤田一也(※2)なら、『投手の成功例』は小山伸一郎だ(※3)。
その小山に続くのが、本稿の金刃憲人になる(※4)。

※1・・・中日から金銭トレード。在籍2006~2013年。
※2・・・DeNAから内村賢介との交換トレード。在籍2012年~。
※3・・・中日から無償トレード。在籍2005~2015年。
※4・・・2008年シーズン途中に牧野塁との交換トレードで広島から入団した佐竹健太も、金刃に迫る95回を楽天で投げているが、防御率は金刃に遠く及ばず、4.74とふるわなかった。

2006年ドラフトの勝ち組

2006年ドラフト、希望入団枠で立命館大から巨人入り。
同年ドラフト大卒投手組で2018年もプレーできるのは、金刃と同じく大隣憲司(近畿大~ソフトバンク)も戦力外になったため、これで岸孝之(東北学院大~西武~楽天)、浅尾拓也(日本福祉大~中日)の2人だけになっている。
高卒、社会人卒を入れても、田中将大(楽天~ヤンキース)、前田健太(広島~ドジャース)ら、今や10人にも満たない。
あとは全て淘汰され、ユニフォームを脱いでいる。
その厳しさを考えると、金刃は勝ち組の部類に入ると思う。

2012年オフ、巨人との間で2対2の交換トレードが成立した。
巨人へ行く横川史学、井野卓と入れ替わりで、仲澤広基と共に仙台へやってきたのが、当時28歳の金刃だった。

◎金刃憲人 1軍 年度別 投手成績

今シーズンは1軍6試合にとどまる

楽天在籍5年間の成績は135試合、99回1/3、6勝5敗31ホールド、防御率3.35。先発が多かった巨人時代と比べると、楽天では全て救援起用のため、どうしても投球回は減り227回1/3から半減したが、防御率は4.24から大きく改善した。

今シーズンは残念な1年になった。

昨年があまりにも素晴らしかったので、今年も引き続き期待したファンは多かったと思う。
しかし、久米島キャンプで左脇腹を痛め、実戦登板は2軍イースタンでの3月20日まで待つかたちを余儀なくされた。

その後、再び状態が悪化したのだろう。
3月下旬から6月上旬までの約2ヵ月、育成練習試合でも登板ゼロに終わる。
結局、1軍初登板は7月20日日本ハム戦まで大幅にずれ込むかたちに。

新人・高梨雄平の台頭と自身の不調もあり、今季は6試合、3回1/3、防御率16.20、これらの数字は、楽天に来てからワーストになった。
今シーズン、松井裕と高梨を除く救援左腕の対左打者被OPSは.906と精彩を欠いたため、もし金刃がヘルシーだったら…と思わずにはいられないシーズンになった。

ただ、僕はけっこう冷静でいた。
というのは、何度かご紹介したとおり、金刃は2年連続で好成績を残した実績がない。

22試合で7勝を挙げた輝かしいプロ1年目とは裏腹に、2年目はわずか8試合、防御率も7点台まで悪化し、投球回は121回2/3から23回2/3まで激減した。
1年目以来の57回1/3を投げて復活の兆しをみせた2011年も、その翌2012年は1軍登板なし。
楽天移籍1年目の2013年は39試合・防御率1.85でVに貢献したものの、翌2014年は一転、17試合・防御率6.97に終わった。
そのため、今年も心構えはできていたし、8月の戦力外予想記事でも金刃の名前を挙げた。

大きかった金刃の貢献度

そういった『好活躍は数年に1度という周期』はあったにせよ、楽天にとって金刃の存在は、実に大きかった。

金刃が楽天入りした2013年以降、鷲の救援左腕の登板数は、松井裕樹の183試合が1位、金刃の135試合は2位に当たる。
この5年間、楽天で100試合以上投げた救援左腕はこの2人しかいない。

リーグ全体から俯瞰しても、その価値が分かる。
2013年以降、パリーグで救援起用された左腕は88人を数え(先発投手の救援登板も含む)、その成績は防御率3.42、WHIP1.30だった。

この88人中、100試合以上に登板したのは12人のみ。
複数年連続で安定した成績は残せなかったものの金刃は、宮西尚生(日本ハム)、武隈祥太(西武)、森福允彦(ソフトバンク)、松井裕、海田智行(オリックス)らと並んで、その12人に名を連ねる『パリーグの直近5年間を代表する主戦級の左腕リリーバー』だった。

成績も他球団左腕と比べて決して見劣りしない。

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