【試合評】辰己三塁打で思い出した6年前のお立ち台~7/18○楽天8-3オリックス

藤平2年ぶり先発で及第点

コンディション不良で抹消された早川の代役は、早川と同期の23歳右腕で「テラスハウス」やカップルYoutuber好きの藤平が務めた。

1軍先発は危険球退場した2020年7/26オリックス戦以来の2年ぶり27度目。直近4先発はいずれも責任投球回持たずの降板が続いていた。

結果から言えば、今回も4回でお役目終了。18年以来の白星はお預けに。しかし課題山積ながらも1失点に踏みとどまった投球が、チームの7カードぶり勝ち越しに貢献した。

もし複数失点を喫していたら、ゲーム展開はまた違ったかたちをみせていたと思う。

藤平尚真 球種別の投球診断表

ストライク率は51.9%。この値は今季の楽天先発陣の中でワースト1位の低さだ。

カウント構築、悪すぎ。初球ストライク率たったの27.8%。4球目以降に決着のついた対戦で3球目までに追い込むことができたのも38.5%のみ。ストライク先行0-2は1度だけに対し、ボール先行2-0にしてしまう場面が7度もあるなど、自身有利のカウントが作れず。

まるでいつ降り出してもおかしくない重く立ち込めた曇天を見守るかのような、ハラハラしたリズムの悪さばかりが目立った。

なかでも変化球の精度はイマイチだ。当該34球で奪った空振り1球。総じて効果は薄く、当該ストライク率は5割を切る47.1%だった。

しかし、不思議なことに僥倖もあるものだ。

杉本適時打で1点を返された直後の3回2死2,1塁。6番・マッカーシーの9球勝負。2-2以降に投じた5球のうちの変化球3球が3球連続ストライクを記録することができた。

とくに真っ直ぐが外れてフルカウントになった後の結果球の変化球だ。この128キロを外角に投げ切ったところは、明暗分ける分岐点の1つだったと思う。この1球で見三振になるか、はずれて四球を出して2死満塁とさらなる窮地に立たされるか。その差は大きかった。

良かった点は、最速150キロ、平均146.1キロを計測し、全体の58.0%で使用したストレートだ。

初回中川の3-1左飛、2回杉本の3-1右飛、4回頓宮の2-0二飛などが象徴するように、打者有利カウントで打者が真っ直ぐ狙いでスイングしてきた対決で、いずれも捉えることを許さず、球威押しでイージーフライに退けることができた点だ。

これには本人も手応えをつかんだようで、

「(直球を)一番見て欲しかった部分でもありますし、この球を軸に投げるということはずっと決めていました。カウント負けをしていた状態でもある程度差し込めたとは思うので、その部分は収穫かなと思います」

と報道陣に語っている。

石井監督の評価も及第点を与えた模様。後半戦、2016年ドラ1の意地を見せてもらいたい。

藤平尚真 先発時の投手成績

辰己三塁打で思い出した6年前のお立ち台

この試合、当初は1番・中堅スタメンは西川の予定だった。ところが、同日実施されたスクリーニング検査の結果が試合直前に判明。西川のコロナ陽性が確認された。

急遽、辰己が代役で出場することに。しかし、この緊急事態が逆にプラスに作用。闘志が宿ったのか、背番号8はタイムリー2本、セーフティスクイズ成功と久々の大活躍をみせてくれた。

辰己の3打点は、則本100勝を援護する球団史上初の1イニング2ホーマーを放った6/12○E9-2Gの4打点以来、今季2度目の快挙になった。

とくに印象に残る一打は、1点リードで迎えた2回2死3塁のタイムリースリーベースだ。

ワゲスパックが外角低め狙いで投じた変化球が浮いて真中高めへ。この失投を会心の一撃で応戦。背走する杉本の頭上を軽々越えて右中間深部ウォーニングゾーンに着弾する快飛球になった。

じつは・・・(続く)

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