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【試合感想文】 7/13楽天3-2日本ハム: 8連勝を決めたコブのセンター前と今江コーチの耳打ち戦術

真っ直ぐ隠され、変化球に意識をおいたなかでの殊勲打

決勝打は小深田大翔によるセンター前だった。

2-2の同点で迎えた9回表の攻撃。1死後に代打・鈴木大地の二塁打を起点に作った2死3,1塁でバッターボックスは寡黙な小兵にまわった。

田中正義との対決は2-2と打者不利。延長戦も視野に入ろうかというそのとき、今季は右投手のファストボールに打率.382とハイアベレージを残してきたコブが、変化球を意識しながらも甘く入ってきたストレートに対して上手くおっつけて中前へ運び、三走が決勝のホームを踏んだ。

今季40盗塁を目標に掲げる背番号0は、この8連勝中、7/6○B0-3E、7/8○H1-8Eに続く3度目のヒーローインタビュー。得点圏打率.333は目下パリーグ5位につける勝負強さをみせている。

しかしこのカード、小深田は悩まされていた。
2戦を終えて2四球は選んでいてもののヒットはわずか1本だった。

初戦で北山亘基のファストボールを弾き返して二塁打にしたことも影響したのか、ファイターズのバッテリーがコブの得意とする速球を極端に隠し、変化球多投の配球に切り替えてきた。

下記表参照。直近4カードでコブに投げられた球種割合をグラフ化してみた。

このとおり、コブの好物である速球割合が日本ハム戦では36%と最も少なかった。

これだけ多くの変化球攻めに遭うと、意識はどうしても変化球に引きずられていく。

実際、本戦3回無死1塁の中飛がそうだった。加藤貴之にスライダー、スライダー、スライダーと連投された後、2-1から大好きな真っ直ぐがポッと投げられ応戦したものの、意識は変化球にあるため、しっかり対応できずイージーな中飛に倒れてしまった。

9回2死3,1塁でも同様だった。

いくら田中が真っ直ぐ偏重で投げてくるタイプとはいえ、こういう経緯があっただけに、変化球の可能性は捨てきれなかったはずだ。カウントも2-2と追い込まれていただけに、なおさら変化球の意識は脳裏の大きな部分を占めていたはず。そのなか、あの剛速球に詰まらされることなく上手く対応したのだった。

試合展開

楽天=1番・村林(三)、2番・小深田(二)、3番・小郷(右)、4番・浅村(指)、5番・岡島(左)、6番・伊藤裕(一)、7番・辰己(中)、8番・炭谷(捕)、9番・山﨑剛(遊)、先発・岸(右投)

日本ハム=1番・清宮(三)、2番・万波(右)、3番・マルティネス(一)、4番・野村(指)、5番・松本剛(左)、6番・石井(二)、7番・郡司(捕)、8番・上川畑(遊)、9番・五十幡(中)、先発・加藤(左投)

両軍のスタメン

今江敏晃コーチと伊藤裕季也

シーズン序盤の貧打が嘘のよう。目下、イヌワシ打線の7月月間打率は.294を誇る。今月の好調もあいまってシーズン打率もパリーグ3位まで浮上してきた。

前日決勝弾を放った浅村栄斗に耳打ちした今江敏晃打撃コーチは、本戦も決勝打を放った直前コブに耳打ちで何やら策を伝授。2試合連続でささやき戦術ならぬ耳打ち戦術が奏功し、話題になっている。

雄平1軍打撃コーチが更迭され、ファームで若手とともに汗を流していた今江コーチが1軍に着任したのは、5/26のこと。以来、楽天ナインのバットから湿り気が消え、楽天の1試合平均得点は大きく改善された。(下記ツイート参照)

伊藤裕季也もその1人だ。

雄平コーチが指導に当たっていた・・・(続く)

...続きは『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2023』でどうぞ。

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2018年9月のGM就任から始まった石井体制も5年目へ突入。今年はGM職を外れて監督業に専念する総決算・集大成の戦いに。監督も「狙うのは優勝ですね。優勝以外を掴まされてもハズレ」と不退転の決意を示す今シーズンを試合感想文やコラムなどで綴ります。

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