【試合感想文】 5/26日本ハム3-4楽天:藤平尚真キャリア初の粘投。太田光の豹変
打つべき人が打った試合
やっぱり、打つべき人が打てばチームは自ずと勝っていくものである。
そんな大原則を改めて痛感させられた初回3失点からの逆転勝利になった。
この試合を落とすと借金今季最多11に。そればかりではなく、この1週間を勝ち越すことができずに交流戦に突入するという事態になっていた。
その意味でも、5月は11勝9敗と好調のファイターズを迎えた3連戦のアタマを取ることができ、かつ連敗ストップの好ゲームになった。
3試合連続HQSとここへきて本来の姿を開放していた相手先発・伊藤大海に土をつけることができたのも、今後の弾みになりそうだ。
冒頭に「打つべき人が打てば」と書いたが、今季の楽天はとにかく打つべき人が打たないがためにリーグ最下位に沈んでしまっている。
打順別成績を確認すると、最も打率が低い打順は1番の.172。その次に来るのが4番の.174なのだ。これはOPSでも全く同じでワーストが1番の.506、ワースト2位が4番の.572だった。
また、4番がヒーローインタビューに呼ばれたのも開幕42試合を消化して今季2度目。4番・浅村栄斗がNPB史上76人目の300二塁打を達成した4/5○E1-0L(楽天モバイルパーク)に続く2度目だった。
侍ジャパン右腕を沈めた浅村栄斗と小深田大翔
それまで伊藤に全く合っていなかったのに、最後の最後で合わせてきた。8回に生まれた浅村の逆転決勝8号2ランはそんな一発になった。
初回2死1塁の空三振は完全着払い。4回1死の空三振では中田浩光アナが「らしくないスイングでした」と実況するほど。6回先頭は右打者が最も打ってはならない打球の1つ、二飛だった。
浅村の一発は甘く入ったカットボール。直前にはフランコの打ち上げた中間飛球のイージーフライがレフト矢澤宏太とショート上川畑大悟の連携ミスでポテンヒットに化けていただけに、試合展開的には最も効果のある2ランになったが、伊藤的には最も悔やまれるのは、5回2死3,2塁、小深田大翔の2点タイムリーかもしれない。
初球の外角スライダーがファウル、0-1からの2球目だった。
解説・野口寿浩さんも言及していたとおり、捕手・伏見寅威のミットは内角ボールゾーン構え。
ボール球でいい。
3球目以降につなげる布石のボール要求。
小深田は真っ直ぐに強いから勝負は変化球。そのための見せ球。
そういう配球だったが、伊藤が力任せになげてきた真っ直ぐが打ちごろに入った。
小深田と言えば、前述どおり例年速球系に強い。
プロ1年目の打率.338を皮切りに.293、.346ときて、今年も真っ直ぐで最も多くのヒットを量産。上沢直之、松本航、澤村拓一、山下舜平太、近藤大亮、髙橋光成、與座海人、加藤貴之ら多士済々の実力派揃いから安打をマークしていた。
そんなコブが、捕手のリードを理解せずに力んで投げてきた失投ストレートを逃すはずがなかった。
この試合、小深田との3打席15球勝負で、伊藤&伏見は真っ直ぐ3球、変化球12球と真っ直ぐを隠す配球をみせていた。8割が変化球だった。そんな中から数少ないストレートを見つけ出してきて、一撃で2度仕留めた2019年ドラ1の嗅覚が光る名場面だった。
藤平尚真キャリア初
初回いきなり3失点だった。
正直あのときは「今日もか・・・」と敗戦を覚悟した。
完璧に弾き返された当たりは1本もなかった。
詰りぎみの打球がコースヒットで外野に抜けるなどした4安打ばっかり。こんな不運は、しばかわの思い出では2011~2012年に在籍したヒメネス以来?!
パリーグ打点ランキング2位の万波中正に先制の中犠飛、今季ファイターズ目玉の新戦力・加藤豪将のNPB初打点、そして2死3,1塁でダブルスチールからの本盗成功を決められ、したたかに点を取られてしまった。
ダメージ残ってもおかしくない立ち上がりだったが、2回以降は修正。この修正力は藤平成長の証だ。
というのも・・・(続く)
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