20190328NOTE表紙

「東北新時代」によるRESTARTを見届けたい!~楽天イーグルス開幕1軍選手評!!

※楽天イーグルス開幕1軍メンバーの選手評を、1人400字で実施します。
※開幕当日の3/29(金)朝まで断続的に追記します。
※とくに断りがない場合、成績は3/24現在。3/26・3/27練習試合は現時点で詳細不明のため入れていません。

※全選手できるかどうかわかりませんが、現在19人を掲載(無料エリア7人+有料エリア12人)。

※掲載順は、岸孝之、茂木栄五郎、森原康平、ブラッシュ、美馬学、浅村栄斗、菅原秀、福井優也、島内宏明、ハーマン、銀次、高梨雄平、ウィーラー、オコエ瑠偉、辰己涼介、嶋基宏、藤田一也、松井裕樹、石橋良太。


岸孝之

『一流の制球力』は今年も健在。
トレードマークの見逃しストライクは267球で63球(23.6%)も獲得した。
対外戦20回で防御率1.80、OP戦でも全体3位と一点の曇りもない。

恐れ入るのはそれを久米島でのスロースタートから始まり、腹七分で作った点なのだ。

実際、開幕前の145キロ以上は今年わずかに1球のみ。
一方、カーブは年々増えて17.2%、20.2%、今年23.4%になった。

力みが出やすいスピードボールを減らし、身体全体を使うことが求められる遅球を増やしたところに、「開幕前はあくまでも調整」という強い意識がうかがえ、例年以上に『6~7割の出力で8~9割の結果を残す』 ことを志向している印象を受けた。

このことは、身体機能の低下が避けられずコンディション維持が困難になる30代半ばで『3年連続の規定投球回』を目指すため欠かせない思想なのだ。

唯一の心配は、則本の前半戦離脱が決まり、エースの重責を過剰なまでに背負い込むこと。その点だけだが、杞憂だろう。


茂木栄五郎

Twitterで何度かご紹介したとおり、茂木の1軍ゴロ率が65.4%、異常な高さを記録している。

投手の調整が道半ばの2月の2軍戦では長打4本を鮮やかに放ち、完全復活の狼煙を上げたかにみえた。
しかし、開幕へ向けて1軍当落戦上の選手がふるいに落とされ、投手の力量が上がる3月の1軍戦36打席では、長打は3/24中日戦に記録した二塁打1本のみ。

OPS.600という“らしくない数字”をみると、昨年秋に負った左肩痛の後遺症を疑わざるをえない。
同じく肩を痛めた島内や岡島が年単位での低迷を余儀なくされた経緯を考えると、暗澹たる思いにさせられる。

さらに平石監督は茂木を開幕2番で起用するという。
ぼくは茂木2番を決して否定しない立場だが、今は時期が悪い。

一般的に2番といえば、打撃に制約のかかる打順。
状態不良の中、守備では内野守備の要=遊撃にすえ、打撃でも難しい役どころでの仕事を任せる判断は、はたして完全復活への最適解と言えるのだろうか?

森原康平

2019年は名実ともに飛躍するメモリアルイヤーになりそうだ。

年明けの自主トレで野球畑の人気YouTuberクーニンに“発見”されたのは大きかった。
「目玉とびでるほどのえげつないスピンのまっすぐ」と驚愕されることに。

そして侍ジャパンの初招集だ。3/10メキシコ戦で日の丸デビューを飾る1イニング零封劇は、あの佐々木主浩さんを唸らせ「フォークは非常に有効だし、威力がある」と高評価。

侍ジャパン含む7回5安打11奪三振2失点と、はやくも自己最速タイ154キロを計測し、視界良好。
ソフトバンク・柳田に失投フォークを一閃されたものの、それ以外はぐうの音も出ない無四球ピッチだった。

指揮官の起用法も追い風になりそうで、今季は中継ぎ力を全面に押し出す青写真を描く平石監督も「右肘の手術を経験したこともあるし、開幕から前半戦はできるだけいい状態で投げさせたい」との意向。

開幕1カ月で15登板して蓄積疲労が祟ったルーキーイヤーの二の舞はないはずだ。

ブラッシュ

バットの先端を投手へ向け、右肘は大きく張り出し、両足を綺麗にそろえる歩幅ゼロ。その異形姿から巨人・菅野の151キロを打ち砕いた戦慄デビューは圧巻だった。

そんなJBは開幕前を50打数17安打16打点、4本塁打、20三振、5四球、1死球、打率.340、OPS.991で終えている。

得点圏に強く打率.538、とくに複数走者時は打率.778と向かうところ敵なし。
BABIP.500が示すように、止めたバットに当たったラッキーなポテン2点打もあるなど、運をも味方につける56打席になった。

そんなJBも本番さながらのNPB特有の厳しい配球にさらされた3/13~3/21には11三振含む16打席ノーヒット。
しかし、平石監督からリフレッシュ休養をもらい、助言を受けて吹っ切れた後の2戦では変化球の見きわめも復調、7打数5安打と上り調子で終えることができたのは朗報だ。

米3Aで5季通算OPS1.000を記録したが、5季中4季は標高1100m以上の球団に所属。高すぎるBABIPと気象条件の差異は織り込んで見守る必要がありそうだ。


美馬学

6度目の右肘手術からRESTARTをはかるベテランは、体調管理の一環で毎日KIRINの乳酸菌飲料「まもるチカラ」を愛飲する。

開幕前は5戦16回に登板して防御率5.63。
全体の被打率.274と悪くはないが、走者有で被打率.400(25打数10安打、3二塁打、2本塁打)と派手に炎上したのが気がかりだ。

これは本人も自覚していて3/23中日戦では「走者を背負ってから、良くない時の投球フォームに戻ってしまった」と反省の弁。
課題は明白のため、きっと修正し、通算防御率2.46と好相性のZOZOマリンの今季初登板に向かってくれるはずだ。

あともう1つ、速球の球速アップも必須。
開幕前は大半が145キロ未満。平均は当方計測141.0キロ、これは前年比2.8キロ減である。
岸が故意に出力を抑えたのとは裏腹に、美馬の場合は手術明けの影響だろう。

修羅場を何度も潜り抜けた美馬のこと、自身の中に『復活の工程表』は描けているはずだ。
則本や岡島など故障に苦しむ選手にエールを送るためにも、魂の粘投をみせてほしい。

浅村栄斗

例年どおりプレーすれば、結果はおのずとついてくる。
しかし、FA選手の宿命なのか、気負う部分も大きくOP打率.184は全体の28位に低迷した。

今年の久米島は指揮官から選手、裏方まで、初日から浅村の一挙一動に過度に注目が集まった。
フリー打撃を見守った指揮官が舌を巻けば、嶋は「やばいです」と感嘆調。
内田、田中、村林、卓丸ら若手は言うにおよばず。

そんな狂騒曲のなか、浅村は戸惑っていた。

西武時代は浅村だけでなく栗山、中村、秋山といった複数のロールモデルが存在したが、楽天では浅村1人だけ。
いきなり『生きた教科書』に祀りあげられ、「やりづらさは、かなりありました」と胸中を吐露。

もっと広角に打ち分けるタイプなのに、ヒットの大半がセンターから右方向で左翼は2本にとどまったのは、“周囲が求める浅村像”に本人が縛られた部分は大きいと思う。

しかし、浅村の下29位には巨人・坂本、30位に中日・平田が。
彼らの存在は励みになる(笑)


菅原秀

開幕1軍切符レースを2軍潜行のまま一気にまくった稀有な例! 
しかし内容をみれば、真っ当な選考だ。

今年の久米島は2016年ドラフト組1軍実績投手で菅原だけが2軍スタート。
同期が1軍での地位を確固たるものにしたり、首脳陣に将来性を高く評価される中、菅原は仲里球場の日々。正直、焦りもあったはずだ。

そのなか、腐ることなく「常に100パーセントの力を出したら持たないよ」という石井2軍コーチの助言を信じ、『力任せに頼らない投球』を掲げ、精進した成果が報われた。

下で5回、11回、18回無失点と結果を積み重ねても、各種報道が菅原にスポットを当てることはほぼほぼゼロで、ぼくも固唾を飲んだが、晴れて3年連続の開幕1軍入り! 

18回で与四球率3.00と制球改善もさることながら、球威も上昇。
被安打は投球回を大幅に下まわる8本、そのうち長打は二塁打1本のみと素晴らしい内容をみせた。
平石監督が検討中というオープナー要員に適役かもしれない。

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